見出し画像

【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(4)「”虚偽DV訴訟”原告の”印象勝利宣言”は正しいか」

※写真はイメージでありジョークですが、ある弁護士への「嫌味」を込めて。w

<プロローグ>弁護士はここまでさりげなく間違える

こちらの弁護士は、虚偽DV訴訟(後述)や離婚後共同親権問題に関心の高い方ですが、いわゆる虚偽DV訴訟(後述)で、半田市が誤りを認めて原告と和解したと指摘し、その証拠となる和解文書を公表されています。

当事者の代理人でもない弁護士が、どのようにしてこの文書を拡散しているのか、その法曹倫理にまず疑問を投げかけたくもなりますが、記事を全て読み直した結果、上記の発言、とんでもない誤魔化しを発見しました。

第1段落と第2段落の関係にご注目ください。
素直に読めば、同一の訴訟についての発言のようにあたかも読めます。

それは間違いです。
実は全く別の訴訟なのです。

1、虚偽DV訴訟とはどんな訴訟なのか

まず、ご存知ない方に虚偽DV訴訟とはいかなる裁判だったかをご説明します。

〔引用〕日本経済新聞電子版2019年9月24日付

ドメスティックバイオレンス(DV)を受けたとする元妻の虚偽申告を警察が信じたため娘と面会できなくなったとして、愛知県の40代の男性が元妻と県に計330万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は男性の上告を退ける決定をした。19日付。計55万円の賠償を命じた一審判決を取り消し、男性の逆転敗訴とした名古屋高裁判決が確定した。

判決によると、男性と元妻は2006年に結婚し、翌年に娘が生まれた。12年に元妻が娘を連れて別居し、16年にはDV防止法に基づき男性に住所などを知られないようにする支援を県警に要請。支援の要件を満たすとした県警の意見に基づき自治体が住民基本台帳の閲覧を制限し、男性は娘と会うことができなくなった。

18年の一審名古屋地裁判決は「DV被害は事実無根とは言えないが、診断書がなく誇張された可能性がある」と判断。一方、今年1月の名古屋高裁判決は「元妻が男性と娘の面会を妨害する目的でDV被害を申告したとは言えず、県警の対応も違法とは認められない」と結論付けた。〔共同〕

この記事では詳しく紹介していませんが、二審の名古屋高裁判決は、けがの写真、過去の相談事実、男性の自白等から、男性の身体的暴力と言葉による暴力を明確に認定しています。(次回以降、判決文をご紹介します。)

裁判自体は、訴えられた妻や半田市、愛知県警等の全面勝利です。したがって、最高裁が請求を棄却し、確定した判決を半田市が改めて和解するはずがありません。

おかしいと思って調べてみたところ、当該男性は、改めて半田市を狙い撃ちして別の裁判を起こしていました。

2、なぜ改めて半田市を狙い撃ちしたのか

原告側の意図については、以下の記事が詳しく紹介しています。

今回、半田市のみを提訴したのはなぜか。

「ムダな争点を排しました。責任は受付市町村にあると高裁が判断したのですから、受け付けた半田市だけを訴えようと」(梅村弁護士)

なぜこんなに支援措置にこだわるのか。

「支援措置制度のおかしさを世に訴えたかったからです。この措置は『被害者の申告』のみに基づいて、受け付けを行います。仮にその申告内容が虚偽だったとしても、罰則が存在しないんです。

申告された相手は一方的に『DV加害者』扱いされ、反論の機会も与えられません。ですので、虚偽の場合、加害者扱いされた人は、名誉を侵害されてしまいます。

また同時に、連れ去られた子どもの情報も、公平中立であるはずの行政機関から完全に秘匿されてしまいます。妻による面会審判不履行後も最低限行うことができていた、学校訪問と手紙のやり取りによる静香ちゃんとの交流さえも、DV支援措置以降できなくなってしまっています。

これは離婚前から、親権を剥奪されるのと同じです。要するに、何の反論の余地も与えられることなく、行政機関から子の親であることを一方的に否定され、子どもと生き別れ状態にされてしまうんです」(梅村弁護士)

※名前は仮名です。実在の同名人物ではありません。(by foresight1974)

梅村弁護士は、当該男性の虚偽DV認定をあくまで諦めていないようです。「仮に」とことわりながら、全面的に虚偽DV前提で話を進めています。。。

3、半田市は何を謝罪したのか?

裁判の詳細は、上記に挙げたフリーライターの西牟田靖氏の記事に紹介されています。

裁判では、半田市がさまざまな事情を知っていながら支援措置を受け付けたことが重視された。それは、面会交流審判の存在であったり、広子さんの半田市への相談内容だったり、佐久間さんがもともと知っている半田市内の住所をブロックしても暴力被害防止とはならなかったり、といったことだ。それは、警察の支援相当の意見を受けて、受理したという事情はあるにせよだ。

広子さんが暴力被害を防止する目的ではなく支援措置を申請している――そのことを半田市は知りながら受理し、住民票等を利幸さんに対してブロックした。

裁判所は、半田市に落ち度があることを指摘し、佐久間さんとともに和解勧告がなされ、両者はそれに従った。2020年3月19日のことだ。

※名前は仮名です。実在の同名人物ではありません。(by foresight1974)

この記事を読んで、まず私は、西牟田氏が裁判を取材したり、裁判記録を実際に閲覧したりしたのだろうか?と疑問を持ちました。

おそらく、この裁判は民法709条か、国家賠償法1条か、いずれかの請求原因を立てているはずですが、裁判所は半田市の過失の有無を審理するにあたり、当然第1段落の内容は審理するはずです。
つまり、当たり前のことを書いているに過ぎない。

そして、第2段落の内容が立証されているなら、次に挙げる梅村弁護士の発言は明らかにおかしいです。

「裁判だと判決が出るまでに時間を要しますので、和解勧告に応じました。金銭目的の裁判ではないので、金銭請求は放棄する一方、謝罪と被害内容を明確化することを求めました」(梅村弁護士)

前に挙げた第2段落の内容が事実ならば、当然過失が認定され、半田市に損害賠償義務が生じます。原告代理人が金銭請求を放棄することは、依頼人に対する背信行為です。
想像ですが、おそらく西牟田氏は、裁判記録をきちんと読んでないです。

ここからは推理ですが、半田市のみを狙い撃ちにした裁判は、このままでは請求棄却だったはずです。
ただし、半田市側に1か所だけ「落ち度」らしいものがあった。それが、以下の半田市担当者の発言によって判明しました。

「(元妻と娘が)半田市から転居し支援措置が終了していたにもかかわらず、手続きを怠ってしまいました。その点について謝罪いたします」

この箇所について、西牟田氏は「和解条項では、支援措置を受け付けたこと自体を謝罪していたにもかかわらず、その点についての謝罪は口にしなかった。」と指摘していますが、これは正しいでしょうか?

もう一度、冒頭の弁護士の方が公表された和解条項を確認してみましょう。

半田市が陳謝しているのは、和解条項「1」の箇所だけです。
しかも、「不適正な取扱い」を謝罪したのであり、支援措置を受け付けたことを謝罪などしていません。
支援措置の受付けが適法だったことは、前の虚偽DV訴訟で確定しているからです。
つまり、西牟田氏の指摘は明らかに間違っている。

ここからは推理ですが、

①半田市のみを被告とした、虚偽DV2次訴訟も旗色が悪く、支援措置の「受付」の違法性が立証できず、したがって原告の損賠賠償請求権が棄却寸前であった。

②裁判所の意図は不明ですが、おそらく3月なので、担当裁判官の処理件数を増やしたかったこともあるでしょう。半田市担当者の言う通り、支援措置終了後、手続きの過怠を指摘して和解を勧告した。

③和解交渉において半田市は強気の姿勢を貫き、原告の主張する謝罪は「受付の違法」から大幅後退し「不適正な取扱い」にとどまり、支援措置終了後に原告が受けた被害の”レッテル”等については、「重く受け止める」にとどまってしまった。

④司法関係者ならほぼ明白な、原告敗訴同然の訴訟を「名誉回復」まで、西牟田氏がお化粧した。

ちなみに、この一連の過程で、前回記事で問題にした、反対取材等については、前の虚偽DV訴訟の代理人である可児康則弁護士にコメントを求めています。回答は得られなかったとのことですが、半田市の代理人ではない弁護士がコメントするはずがありません。

4、”親子の再開はいつ”とあるけれど。。。

結びの文章で、親子の再開はいつ?という見出しで結ばれていますが、そもそもこの記事の途中で一方的に言いつのられている、「DVが事実無根」であるという男性の主張が、前の虚偽DV訴訟で全く正反対の事実認定がされている以上、元妻側が会うことは事実上ありえないでしょう。

そもそも西牟田氏の本件訴訟に対する取材姿勢と記事を検証すると、明らかに誠実さを欠いています。可児弁護士がコメントへの無視を貫いたのは当然の姿勢だと思います。

それはどういうことか?
については次回記事でご説明します。

※次記事

【お知らせ】
2021年4月から、新しいニュースレターを発行します。
今までと変わらない、正確で信頼性の高い法律情報をタイムリーにお届けいたします。




【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。