見出し画像

【最速公開】どこよりも早い、池田良子「実子誘拐ビジネスの闇」(飛鳥新社)読書ノート【ネタばれあり】(その6)

【お詫び】本文中、人物名の一部に誤りがあり、訂正・差し替えをしました(2021/4/29 23:20)

〔写真〕あまりにも表紙が恥ずかしいので、カバーかけてもらいましたw

【前記事】

こんばんは。
今日もちゃっちゃと読み進めていきます。
P.186から。

ネトウヨ雑誌を根拠にしたDVシェルターバッシング

第6章も出典の分からない講演からスタート。
DVシェルターに逃げてきた母と娘、母こそが虐待者、「無情なバケモノ」との内容。
日付は2015年4月27日。日付も具体的なのに、この本にしては珍しく、ネットで内容が割り出せない。

うーん、これは宿題にします。

で、「「実子誘拐」ビジネスを行うにあたり、DVシェルターは必須の施設」(P.187)ですかー。
DVシェルターを利用していない方も大勢いらっしゃると予想されるのに、必須とは思えないのですが、この章では、DVシェルターの存在を、異様なまでの執念深さで叩く。
しかも、出典は全部、「祖国と青年」から。

「祖国と青年」とは、右翼団体日本協議会・日本青年協議会の機関誌です。
住所は、東京都目黒区青葉台3-10-1 VORT青葉台II。
同じフロアにあの日本会議があります。

この「祖国と青年」。調べてみると、何度もDVについて取り上げています。

令和元年10月号 ※DVを捏造する民間シェルターの問題点/エドワーズ博美
平成30年12月号 わが子に会いたい 親子断絶を助長する司法の問題点 エドワーズ博美
平成30年8月号 虚偽DVによる子供連れ去り被害の実態/エドワーズ博美
平成28年2月号 ※離婚を推奨する「女性センター」の実態 男女共同参画という名の家族破壊工作/エドワーズ博美
※印は本書で紹介されています。

あと1つ。
令和3年4月号 家族破壊に終止符を!(1)左翼・フェミニストによる家族破壊の手口/エドワーズ博美

なんてものもあります。

このネトウヨ雑誌の取材を喜んで受け入れているのは、何と「子どもオンブズマン日本」を名乗るNGOです。

「子どもオンブズマン日本」事務局長は鷲見洋介という人物で、2019年12月、欧州議会議員Richard Yung氏が来日した際、東京で面会しています。

Richard Yung氏は、昨年7月、欧州議会が子どもの連れ去り問題について、対日非難決議を採択した際の中心人物の一人です。

このことを誇る、「子どもオンブズマン日本」ブログ。

裁判官や法務省のメンツより、子どもの権利を守り北朝鮮拉致問題を解決する。
どちらが大切なのか?
考えるまでもないと思います。
(上記ブログ記事より)

なるほど、だんだんお里が知れてきた。

杉田水脈議員の擁護と従軍慰安婦の否定

本書の本当の狙いは、実子誘拐ビジネスの根絶ではない。
それに借口した、サヨク・フェミニズムバッシングの本なのです。

その決定的証拠が、P.195から始まる従軍慰安婦バッシングとP.198からの杉田水脈擁護論です。

杉田議員が、自民党の会議で「女性はいくらでもうそをつける」と発言したことは「標的にされた」とさくっと被害者ポジション。
杉田議員が過去に実子誘拐ビジネスに言及したことを取り上げ、「この問題の本質を理解している数少ない議員」(P.200)と持ち上げる。杉田議員の問題発言への批判を「レッテル」と攻撃し、徹底的に擁護しています。

そして、女性はうそをつく動物だという根拠となる読売新聞の記事やテレビ東京の番組「DEEPナイト」の放送内容を挙げています。

そして、「シングルマザー」「児童扶養手当」利権として、赤石千衣子氏の名前がまた出る。そして延々批判。
駒崎弘樹氏も巻き添えを食って第6章は終了。

最後にメルトダウンを起こした筆者の主張

最終章である第7章で、またもや赤石氏が槍玉に。
赤石氏らがたくらむ(そんなフィクサーだったのかー 棒)世界は全体主義社会とのことなのです。(雑に紹介)

お。P.229に右派知識人気取りが最近崇拝するハイエク登場。

誤解がないように言っておくけど、ハイエク自身は後に「共産主義への批判が足りなかった」と反省はしているものの、「隷従への道」自体はナチスドイツ批判が本質です。

あれ、日本ってナチスドイツの同盟国じゃなかったっけ?

長々と読んできましたが、P.235から示す筆者の主張は、「フレンドリーペアレントルール激推し」です。

「希望の光はフレンドリーペアレントルール」ですか。
本書唯一といっていいくらい、前向きな小見出しですな。w

「松戸判決」では、卒田さんが提案した「自分が親権者になれば、母親に子どもを年間百日以上合わせる。その取決めを破ったら親権者を変更する」案を採用した。これを法制化すればよい。つまり、離婚別居時には共同養育の取決めを公正証書にすることを義務化するとともに、その取決めを破った場合、裁判所は親権者を変更しなければならない旨を法律で規定すればよい。
(P.233)

。。。絶句。。。
ということは、、、原則「単独親権」でいいっていうこと!?
そういうこと!?

著者の池田氏はやっぱりわかっていなかった。
フレンドリーペアレントルールは、「現行法」を前提とした考え方であり、共同親権とは相反する考え方です。

いったい著者は、この232ページの間、共同親権の何を擁護してきたのでしょうか???

筆者は、フレンドリーペアレントルールさえあれば、このようなことが可能になり、実子誘拐ビジネスを撲滅可能だと主張します。

この取決めを実行していく上で、第三者が関与する余地はない。せいぜい、取決めが守られなかった場合に裁判所が親権者変更で介入するくらいである。これによって裁判所は、夫婦が子どもを相手から奪い取るための闘技場ではなくなる。「実子誘拐」の教唆幇助も、DVシェルターの監禁も、FPICによる監視もすべて不要だ。
養育費についても取決めに記載し、公正証書にすることを法律で義務づければ、養育費の取立てと称して人権派弁護士らが介入することもない。養育費が支払われない場合、裁判所に訴えれば、裁判所が無料で執行してくれるからだ。養育費から三〇%の手数料が抜き取られることもない。児童扶養手当増額を要求する利益団体も養育費支払いセンターも不要である。
(P.236)

※太字部分は笑うところです。

で、共同養育が可能なのか?という脱線で、竹内結子氏(故人)、中村獅童氏、千秋氏、遠藤章造氏らの有名人がご登場。
なんでも有名人のゴシップで根拠づけるのはミーハーなのか!?

かどうかはさておき、次の文章で私の腹筋は崩壊しました。

なお、離婚後共同親権制を導入しても子どもと会える制度的保障はない。いまでも離婚前は共同親権であるにもかかわらず、「実子誘拐」に遭った瞬間から子どもに会えなくなる。子どもと確実に会うためにはフレンドリーペアレントルールの導入が必須である。
(P.240)

共同親権をさりげなくdisってますねwwwww
太字部分は、本書唯一といっていいほど、正しい意見が書かれている箇所ですwwwwwww

筆者の願望は分かります。
すでに共同親権推進派の内部からも忘却されつつある、フレンドリーペアレントルールの夢よもう一度!!というわけですね。w

この本はハナから一般の方や、反対派が議論の肴にするために書かれたんじゃない。
筆者には、推進派内部から、フレンドリーペアレントルール肯定派が排除されることへの危機感があるのです。

でも、それはもはやメルトダウンな主張といっていい。
筆者が書いているように、フレンドリーペアレントルールが抑止力として機能するのは、親権者変更が可能で、つまり、単独親権が前提のルールなのです。
それを共同親権下でも実現したいというのは、筆者の理屈立てを前提としたならば、明らかに論理が破綻しています。

【注】離婚後共同親権とフレンドリーペアレントルールが両立しない、ということではありません。制度設計次第で両立させることも可能ですが、筆者の主張では無理です。

で、最後に昨年やっていた家族法研究会に登場した、赤石千衣子氏、千田有紀氏、渡辺久子氏を呼び捨てで罵倒して、終わりかな?
ハンナアーレントと、、、片親疎外デマですか、最後までやれやれ。

おわりに

の最終段落付近で、また罵倒したい面々を列挙して、最後はポエムね。
はいはい、あー終わった。

(次回で最終回!)

【連載一覧】



【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。