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PHR(Personal Health Record)サービスを国はどのように考えているか?

この記事では個人の健康診断結果や服薬歴等の健康等の情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組み(以下「PHR」という。)について、国がどのように考えているのかについて説明していきます。

PHRとは?

PHRはデジタルを活用して健康・医療・介護に関する個人様々な情報を統合的に収集し、一元的に保存したデータです。「生涯型電子カルテ」といわれることもあり、生涯にわたる個々人の健康増進や生活習慣の改善を実現するために活用が進められています。情報の管理を個人自身が行うという点が特徴です。

具体的なデータとしては、下記のようなものがあります。
・定期健康診断の結果
・現在までの既往症
・服薬状況について
・妊娠・出産に関する経過
・体温・血圧・脈拍などバイタルデータ 

現状のPHRの状況について

国が考えるPHRの全体像については下記になります。

経済産業省’PHR(Personal Health Record)サービス の利活用に向けた国の検討経緯についての資料別紙3より引用

PHRを実現していく上で重要なのが上記図からもわかるようにインターネットを介した情報のやり取りが前提にある点です。個人の生涯にわたる健康情報を一元管理するものあるため、セキュリティ対策や個人情報保護は常に高いレベルで実施しなくてはならないのは言うまでもありません。現状バラバラにある情報をまとめていく上で安全・安心にPHRサービスが活用出来るようにするためにも情報の扱い方に対するセキュリティや運用管理体制などルールが不可欠です。

PHRなどの ヘルスケア事業を進めていく上で、中央省庁が定める各種ガイドラインに適合する必要があり、事業で取り扱うデータによって、遵守すべきガイドラインが異なります。
EMR/EHRに関係するデータを取り扱う場合
・総務省・経済産業省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」
・厚生労働省公表「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
への準拠が必要

PHRに関係するデータを取り扱う場合
総務省、厚生労働省及び経済産業省から公表された「民間PHR事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」
への準拠

民間PHR事業所における情報の取り扱いに対する基本的指針はとして下記のような事があげられます。
・健診等情報の機微性等を鑑みた個人情報保護法等に定められた対応
・丁寧な同意の取得
・情報セキュリティへの対策
・申出に応じた消去
・自己点検と結果の公表等の必要な対応を民間PHR事業者に求める内容となっています。

詳細については下記をサイトをご参照下さい。

さらにPHRの個人のニーズや、国としての健康増進に繋がるなど効果的な活用といった点においても考えていく必要があります。高齢者などでスマートフォンなどのデジタル機器の扱いに慣れていない方々はPHRをうまく利用できないのではないか?本来受けられるはずの医療サービスが受けられないといった「医療格差」につながらないか?などの視点も重要となってきます。

直近のPHRの動きについて

最後にこれからのPHRについて説明していきます。
今後、保健医療分野では、予防・健康増進の重要性が高まるとともに、個別化されたより効果的な介入等への期 待が高まっています。 そのためには、保健医療情報の適切かつ効果的に活用できる環境を整備することが必要です。

具体的には下記の図のように段階を踏んで3つの取り組みを進めていく事になります。
1 国民・患者が自らの保健医療情報を適切に管理・取得できるインフラの整備
2 保健医療情報を適切かつ効果的に活用できる環境の整備
3 質の高い保健医療を実現するための保健医療情報の活用(研究開発等の推進)

経済産業省’PHR(Personal Health Record)サービス の利活用に向けた国の検討経緯についての資料別紙3より引用

1のマイナポータルの直近の動きからも国の本気度が伺えますし、国民の皆様にとってもPHRは身近なものになってきています。

まとめ

この記事ではPHRについての概要と、現状の状況と問題点、これからの動きについて説明させていただきました。効果的なPHRの普及に向けての現状理解に繋がればと思います。


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