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【シーズン1/4レビュー】ジェフユナイテッド市原・千葉(第10節終了時点)

2勝3分5敗/勝ち点9/20位

2023年シーズン、早くも10節を消化。
おらがユナイテッドは勝ち点9の20位。
早くも残留争い圏内に沼ハマしている。
よもやよもや、である。

ここまでの結果、戦績には大いに失望したファン、サポーターも多かろうと思う。私もそうである。
ただ、今頃は昇格争いに加わっているはずだ、もっと言うと首位争いをしている!と確度高く期待していたファン、サポーターは果たしてどれだけいるだろうか。
今季のジェフについて楽観視していたファン、サポーターは多くはなかったはずである。私もそうだった。

そう考えた根拠について、編成、戦術、そして財政の各観点でそれぞれあげていこうと思う。

編成

実は、この選手・指導者の編成面が今季の1番のボトルネックになっている気がする。そうなってしまった遠因は他にある気はしているのだが…
オフの加入、退団における主なトピックは以下に集約されるのではないだろうか。
最少人数の流出で最大戦力を喪失
今オフ、多くの選手が残るも昨季ユンナイテッドにおける攻守の「柱」であったチャン・ミンギュと櫻川ソロモンが揃って退団した。
しかも同じカテゴリのクラブへ(チャンはFC町田ゼルビアへ完全移籍、ソロモンはファジアーノ岡山へ期限付き移籍)。
この伸び盛りでもあった2人を失った影響は小さくないと私は考えている。これは今季の戦術面の方針転換とも相まって影響の大きさが見えにくい面もあるが、決して小さくないダメージとして今季の現場には響いている気がする。

チャンについては、尹監督就任と時を同じくルーキーとして千葉にやってきた。以来3シーズンに渡りほぼ欠かせない選手として試合に出続けジェフの中心選手となった。
負傷者多数で中盤の選手が足りないときはボランチもこなすなど(GKもやった)、緊急時におけるポリバレント性能も発揮。
ポジションはCB、3バックではリベロとして地上戦・空中戦問わず相手ストライカーとマッチアップを繰り広げ、背後を取られた味方DFのカバリングでチームのピンチを幾度も防いだ。
ユンナイテッド後期においては、ディフェンス組織を統率するタスクも担っていたことも記しておきたい。ポジショニングやボールホルダーへのアプローチのタイミングについて、最終ライン中央から声で味方を動かしていたのだ。
現地観戦の折、「ダイスケ!!」、「イッキ!!」と先輩DFの名を叫び的確に指示を飛ばすチャンの姿を目撃したファン、サポーターも少なくなかったはずである。

ソロモンは、地元出身&アカデミー育ちの逸材として大いに期待を集め、ユンナイテッド期にファーストトップとして定着。
尹監督の守備に重きを置く戦い方のもと、相手のビルドアップを最前線で規制する泥臭いオフザプレーを献身的にこなし最前線から守備組織を構築する役割を担った。
攻撃では自陣低い位置から前に送られるボールの逃げ道≒預け先として、「困ったらソロモンへ」の通り懐深いポストプレーで陣地回復の時間を稼ぐタスクも遂行。チームの戦い方の都合もある難しい中で着実に得点数も重ねて成長を感じられた数シーズンを送っていたと思う。

彼らに代わる補強については、機能補完的意味合いよりヘッドカウントの観点で一応は成された(または未だ成されていない)。
ソロモンに代わる補強としては大分トリニータから呉屋大翔が、新卒選手として新潟医療福祉大から小森飛絢が加入した。
一方、チャンの後継にあたる人材はオフの時点では補強されていない。さらにDF田邊がJ2第4節終了後に川崎のチーム事情から千葉を退団しており、最終ラインの選手数は昨季から現在実質マイナス2である。

呉屋の実績、実力は説明不要かと(昨季は対戦相手として大いに苦しめられた)。ちばぎんカップでは流石の嗅覚と決定力を見せたが、リーグ開幕から未だノーゴールが続いている(徳島戦の逆転弾はオウンゴール扱い)。

一方の小森については、序盤大コケしたチームにあって救世主とも言える活躍で、その名の通り"ヒーロー"ともいえる存在に早くも成った。開幕から8試合に先発、既に5ゴールをマークし得点ランキングは2位タイにつけている。1試合平均のシュート数3.8はリーグ1位(いずれも第10節終了時点)。既にJ1からの引き抜きに怯えるファン、サポーターも少なくないだろう。

この2人以外の千葉の補強は主にサイドの選手に集中している。流出した「柱」の2選手はセンタープレーヤーなのに、だ。
椿、田中、日高はいずれもサイドプレーヤーでいまストッパーを務めている松田も本来はSBの選手だったはず。
埋めるべきセンターの穴が埋まらなかった(埋められなかった)編成
この編成の歪みが、戦術の方針変更と相まってどのように影響したのか、戦術面の昨季からの変化についても少し言及する。

戦術

昨季まで尹監督の右腕だった小林慶行HCがそのまま内部昇格、初のJ監督としてジェフを指揮することとなった。
ユンナイテッドにおいても攻撃面を指導していたのは、現小林監督だったという話もあったので、尹監督の守備的志向から攻撃的志向に転換することは容易に想像ができた。
実際に今季のジェフのスタイルは、ユンナイテッドに比べて重心が「前」に移っている。端的に言えば待ち構えて跳ね返す「静」の守備から、プレッシングを軸とした「動」の守備への変化が大きい。
この前傾守備へのシフトは、攻撃面でも影響を及ぼしている。
まだ10節終了したばかりだが、攻守数値面の昨季からの変化は顕著である(データ出典:Football LAB)。

【ゴール期待値】 昨季:1.13(15位)⇒ 今季:1.70(2位)
【平均ゴール数】 昨季:1.04(19位)⇒ 今季:1.00(18位)
【被ゴール期待値】昨季:0.78(1位) ⇒ 今季: 0.98(6位)
【平均被ゴール数】昨季:1.00(6位) ⇒ 今季:1.60(16位)

上記数値は攻撃面/得点面の評価指標のひとつ、ゴール期待値と実ゴール数、被〜はその逆である。
ゴール期待値とは?という部分の説明は本稿では割愛する。
文字通りゴールが期待できる度合いと思っていいかと。

ゴール期待値は、昨季から大きく伸びている。
ゴールが期待できるシュートチャンスの創出は頻度高く再現性高くできているのではないかと思える。
ただ、実ゴール数は期待値からビハインドしており、端的に言えば「決定力不足」と言える。
逆に被ゴール期待値は、大きく変化していない(悪化はしていない)。だが実際の被ゴール数は期待値よりも悪い値である。相手のワンチャンスを阻止できていない

個人的に課題だと思うのは、被ゴール期待値と被ゴール数の乖離の部分。
先程の編成のパートでも言及した部分に係るところかと。
攻撃面の期待値の高さは、相手陣内からのプレッシングが軸になっている。良い守備が良い攻撃に繋がっている、ユンナイテッドで手にしたかった成果を早くも得ている点は上々の出来。
重心が前に移ったことで全体の陣形は相手陣寄りになるため、DFラインの背後にはスペースが生まれやすく、事実CBの背後やサイド奥のスペースにロングパスを蹴り込まれると、ピンチになりやすい場面は昨季よりも増えている。
それは今季の戦術を採る以上ついて回る問題ではあるものの、個人的にはそうした場面における対応と、その対応を取る選手とのアンマッチが原因で、期待値と実際の失点との乖離が生まれているのでは?と思えてならない。

チャンが去った最終ラインは鈴木大輔と新井一耀、そして松田陸が3バックを形成(日高を加えて4バック気味の場合もある)しているが、特に昨季からのCB2人は高さ強さはあるものの、スピード不足が否めない
背後に走られる場面が多くなり、伴ってスピード勝負の場面が多くなる中、上記2人が千切られてしまったり、置き去りにされている場面が散見される。
逆に背後を取られることを恐れて、ボランチより前の選手がコンパクトにプレッシングのモーションにある中でも、後方に留まり目の前にスペースを与えてそこをドリブルで使われる場面も散見される。
群馬戦や山形戦の失点では、そうした対応の誤りやスピード不足を突かれてのものだったかと記憶している。

ヴェルディ戦のように、点差と時間帯によって昨季のように引いて守るやり方もなくはないが、今季はあくまで相手陣内でのプレッシングからスピード感を持ってバイタルエリアに侵入し、ゴールを陥れるアプローチを強みとしていて、数値的には成果を得ている(決定力はまた別問題だが、、)ので、この形を継続すべきとは思う。

強みとなりつつある前からアクションするアプローチにあって、後列の選手が足を引っ張る形となってしまっているのは早急に改善すべきかと思う。
攻撃で得た勝ち筋を、守備の脆さで取りこぼす試合が続いてしまうと順位は上がっていかない。
改善策としては、シンプルに早めに足の速いCBを補強することと、GKも含めた裏を取られた際の予防措置を整理すべきかなと。

補強に関しては、出来るならオフにやっていたと思うがそれが成されていないというのは、恐らくクラブの財政的体力面の問題なのかなと。。
そこについては、また別の機会に詳しく書けたらなと思う。

個人的には、今季の戦術・アプローチに関しては好意的に受け止めているし、ファン・サポーター的にも受動的な戦い方だったユンナイテッドに比べて、見ていて楽しいサッカーにはなってきていると思う。

これに結果がついてくればいいのだけれど。。
シーズンレビューはまた、シーズン折返しの際に。
(おわり)

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