「アマギフ3万円」、8回脱毛なのに48回払い 契約内容実はローン 東京のメンズクリア

 ひげや全身の脱毛を宣伝するメンズクリア(クリア社・勝沼潤社長、東京都渋谷区)の宣伝が物議をかもしている。月額九百八十円で脱毛施術を受けられるという内容だが、その実のところには、複雑な契約内容や実質的な信販(ローン)契約など、誇張した内容の宣伝が多い。検索しても、「賢く使えばメリットがある」、「詐欺ではない」というステルスマーケティング広告が多く、実際の評価や評判が見えてこない。アマゾンのギフト券を使った宣伝のうらに、どのような契約が隠れているのか。


◇ 月々3千円、実は48回ローン

 同社のコースでは、ひげ全体の脱毛コースや全身脱毛などの契約が提示されているが、実際の総額は十一万〜十九万強となる。一括払いか分割払いを選ぶことができるが、月々払いの場合、契約内容はローン契約となる。その上、分割手数料は年一六・八%となり、一般的な消費者金融と同程度のローン契約を結ぶことになる。


 当然、月々の支払い契約に基づいて施術を受けることになるが、同社の八回脱毛コースは月々三千円としながらも、実際には四十八回のローン契約となるため、八回の脱毛コースと大きくかい離した契約を締結することになる。

◇ 4回脱毛で48回払い

 業界最安値をうたう同社だが、実際の契約金額は最低でも十万円以上となり、決して安値ではない。同社の宣伝サイト上では一見すると月々五千五百円で四回の脱毛が受けられると記載されているが、注釈では「全身脱毛四回プラン。十九万六千八百円」との記載がされていて、実際に受けられる回数と支払金額に大きなかい離が生じている。

 その上、定期契約となるため、契約後に解約を申し出た場合は所定の解約金を支払わなければならない”仕掛け”になっている。

◇ 契約すれば実質4年ローン

 同社の展開するキャンペーンでは、ひげ脱毛のほかに全身脱毛、陰部脱毛など様々なコースが用意されているが、そのすべてが四年払いの場合の月額と総額表記となっている。分割払いの場合、同社と提携するライフティ社との契約となる。その場合は信販会社が同社に支払いをする形となるため、実際の支払金額にライフティ社の定める利息が上乗せされることになる。同社は法に基づきCICなどの信用情報機関に情報登録しているため、支払いが遅れた場合は自身の信用情報に傷がつくことになる。

 契約内容を検討すると、①実際に施術を受けられる回数と②支払回数との差が大きく、契約する前に検討を重ねたほうが良い内容になっている。

◇ アマギフプレゼント、実は6か月無料の代わり?

 同社は度々動画配信サイト「ユーチューブ」などに広告を掲載していて、配信内容は大手通販サイト「アマゾン」で使えるギフト券を三〜六万円をプレゼントするというものだが、贈呈条件は①二年間の定期契約をすること。②友人などをメンズクリア社に紹介することの二つの条件が定められている。条件を満たす場合にギフト券がもらえるが、その際には六か月分の支払いが免除されるため、実質的なキャッシュバックとなっている。

◇ 「脱毛サロン」相談増加、国民生活センターも警鐘ならす

 脱毛サロンをめぐっては、契約を巡るトラブルがあとをたたない。国民生活センターに寄せられた相談では、二〇二一年度に寄せられた相談件数が四千百六件にのぼり、前年比では約四三%増となっている。統計のある二二年六月末日時点で二千五十三件もの相談が寄せられている。

 また、契約当事者の年齢は実に七三・三%が十〜二十歳代の若年層で、問題の深刻さをうかがわせている。同センターに寄せられた相談では、「SNSでひげ脱毛が月額約千円、全身脱毛が約三千円とうたう広告が表示され、エステ事業者のサイトで予約をした。エステサロンに行くと、ひげや脱毛をしたい部分を選べる約五十万円のコースを勧められた。高額だったため、広告掲載のひげ脱毛を受けたいと申し出たところ、『納得のいく脱毛をする場合は、これぐらいの料金がかかる』と言われ、契約した。クレジットの分割払いは三十六回払いで、分割手数料が付き総額約六十万円だった。大学生のため支払っていくことが難しい。クーリング・オフしたい」という相談が寄せられている。

◇ 民法改正で18歳成人、契約前に一度再考を

 二二年四月一日から成人年齢が十八歳に引き下げられて以降、美容関係の契約をめぐる相談が後を絶たないと同センターは話す。同センターでも、「分割契約は支払いが遅れれば信用情報に影響し、その後の生活にも支障をきたすことがある。契約する前に内容をもう一度精査し、少しでも不安ならきっぱりと断ってほしい」と話している。

 若年層を中心に、美容やゲーム、金融関係の契約を進める宣伝がはん濫する中で、今一度自分の見た宣伝が本当に「甘い話」かを考え直してほしい。儲け話に裏があるのは古今東西変わらない。

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