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短いおはなし

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2016年2月の記事一覧

風媒街



「そう、明日の便に乗るの」

 突然過ぎる話にどんな反応をするかと心配していたが、母は穏やかに笑った。そして、頭の中で思い出を回想したのだろう、ぼくの全身を眺めて「大きくなったわねえ」とひとり言のように呟いた。

「寂しくなるわね」

 今度は壁にかかった父の写真のほうを向いて、同意を求めるように言った。

 あたたかな日差しが窓辺に注いでいる。空気中には生き物たちの息吹が感じられる、春独特

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