発達障害と詐欺~引っかからないために覚えてほしいこと~


詐欺について調べて

発達障害と詐欺、というタイトルでいくつか書いた。自分で引っかかったものもあるし、調べたものもある。これからもこのシリーズは更新しようと思っているが、自分の経験・発達障害について書かれた本や記事を読んで、発達障害の持つ特性の中で詐欺師と相性最高(最悪)になるものがある。

詐欺師と相性抜群の特性

それは、「すぐに目の前の報酬を求める」ことだ。発達障害は、とにかく、目の前の報酬に弱い。有名なマシュマロ実験で、10分待てば2つもらえるのに、1つ食べてしまう、といった物理的なものだけではなく、精神的な報酬、快楽、面倒なことに本当に弱い。
例えばだが「(まだ何も始めていないし、調べてもいない段階で)私、医学部に行く!!」などと言ってしまうのもそうだ。これは「今、賞賛を得たい」という報酬を優先している。医師になってからの患者さんからの感謝、人を助けた喜び、もちろん医者になったことへの達成感よりも「今、すごいといわれたい」ことを優先している結果だ。(ちなみに、そこで褒められて満足して、何もしないことも多い)

これは、詐欺師から見るとカモがネギをしょっているようなもので、詐欺とはものすごく簡単に言うと結局すべて「今得(したような気分)で将来大損」という構図になっている。
マルチでは
「今、会員になったことで得られる、マルチ仲間からの歓迎」
「今、友達を紹介したことで得られる、アップから、周りからの『すごい!』」
と引き換えに「お金」「長期間で築いてきた友情、信頼」を失っている。

マンション投資では
「今、マンション購入したことによる営業マンからのヨイショ」
「これから老後資金について考えることの負担からの解放」
と引き換えに「お金」「今後住宅ローンを組む際の信用履歴」を失っている。

ホストでは
「今、ちやほやされることによる満足感」
「今、彼氏(なのか?)からの承認、感謝、愛情表現」
と引き換えに「お金」「(性産業で返済をしなければならない場合には)心身の健康、自尊心」「(違法行為の場合には)まともな将来設計」を失っている。

対策として

ここまで読んでいただいて、詐欺師に狙われやすい理由がなんとなく理解できたかと思う。何度も書くが、この「目の前の報酬を求める」特性は詐欺師と相性抜群なのだ。
対策としては、つまらないことを書くが
①目の前の報酬を求める特性があるということを知る
②今求めようとしている報酬は何なのか、意識する。(そして、それはほぼ承認要求であると知る)
に尽きる。
これは知っていると知らない、意識するしないでは大違いだ。
例えば、ホストの彼から「今月厳しくて…」と言われたときに「私が何とかする!」と言うことによる報酬は彼からの(見せかけの)愛情、感謝されたことによる、承認要求が満たされること、だ。
ホストに限らず、「今、承認要求を満たしてくれる何か」を詐欺師は提供してくれる。そしてそれに飛びついてしまう発達障害の私たち。
この構図を知るだけで、だいぶリスクは減るはずだ。

承認要求のお化け


そして、承認要求を満たしてくれる何かを探してしまう=自分が満たされていない、ということだ。
承認要求は特に発達障害者にはやっかいで、普通に出来ないことで自尊心がゴリゴリ削られる。なので、承認要求は常に普通の人以上に相当程度あると言っていい。
よく言われるのが
「夢中になれることを見つける」
「自分で自分の機嫌を取る」
「自分を受け入れる」
などふんわりしたアドバイスだが、もちろんこれらの意見もそのとおりだと思う。
ただ、私が思うのは
「諦めずに、何とか生きていける道、出来る方法を探していく」ことが結局最善なのでは、ということだ。
発達障害は、凸凹、と言われる。何かが出来ないことにより、他の能力が発達していることもよくある。ただし、他の能力は学校で使う能力ではなかったりするので、ただ出来ないことだけが目立つ、というのもあるあるだ。
出来ないことを、なぜ出来ないのか、どこに苦手があるのか…と解像度をあげていく。そしてそれをどんな方法で補っていけばいいのか、ということを考えていると、あら不思議、他人からの承認よりもその解像度を上げていく方が面白かったりする。(し、根本的にこれが「自分を受け入れる」ことになっていくのではないだろうか)
偉そうに書きつつ、私自身もその最中だ。解像度をあげるプロセスの一環でこのnoteを書いているようなものだ。

詐欺師の気持ちになってみて

ちなみに、詐欺師のロールプレイングをしてみるのもおススメだ。自分が如何にカモか、よくわかると思う。
詐欺師の得ようとしている報酬、それに対してのエサを考えてみると
報酬=お金(ホストの場合には承認要求も)
エサ=目の前のカモの承認要求を満たしてあげること。そのために、相手が欲しそうなことをする。能力で褒められていないカモには、優秀さ、モテなさそうなカモには女性らしさを褒める、など。
やってみると辛いが、これをやってみることで相手の腹の内も推測出来てくるし、詐欺師に気を遣うことはない(即ブロックして無視してOK)ということもわかるだろう。相手は自分を騙そうとしているので、後ろ暗く、ブロックされたところで、悪いことをしているので当たり前である。

直感を信じる

直感はバカにできない、とよく言われるが本当だと自分の経験からも思う。
特に、「いい方の直感は外れるが、悪い方は大概当たる」ということだ。
悪い方は、「うん?今の矛盾してない?」や「何か感じ悪い…」「理由はないけどいや」というのは大抵そのとおり。
ただ、私たちは自分に自信が持てなかった過去のため、人の言うことをちゃんと聞いてしまう。
発達障害者は感に優れている、というデータもあるようだし、何か変だと思ったらさっさと逃げよう!!逃げて一呼吸、「今得ようとしている報酬は何か?」これが詐欺師を喜ばせよう、ありがとう、と言われたい、だったらもうそれは詐欺詐欺詐欺詐欺。即ブロックしておしまい!!!




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