発達障害と詐欺~ワンルームマンション投資編~
ワンルームマンション投資とは
ワンルームマンション投資は最近(というわけではないが)被害者が多いようだ。不動産会社は「年収700万円以上の方のための老後対策セミナー」「不労所得セミナー」「FIREセミナー」などの名目でカモを集め、都内のワンルームマンションの1室を3500万円程度で購入させる。うたい文句は「家賃保証をするから、空き室になることはない」「○年後に売れば退職金がわりに」「○棟持てばFIRE生活」「節税になる」などだ。
もしくは、人の紹介で「俺も不動産投資しているんだけど、紹介するよ」として、購入してしまうケースも多いらしい。
ここまで書いてみて既に怪しさ満載だが、ひっかかる人が後を絶たない。
確かに不動産オーナーという響きは魅力的だから気持ちはわかる。
自分や周りの体験談、本等を参考にし、発達障害がひっかかりやすいポイントはどこにあるのか、自分なりに記載してみたい。
年収が高い・安定した職業が狙われる。褒められ慣れてない発達障害者は要注意
これはよく言われることだが、ワンルームマンションはフルローンで購入させられるため、ある程度の収入がある人が狙われる。また、銀行がこぞってお金を貸したがる公務員も要注意だ。これらの職業の方を見ると不動産会社が群がってくる。
減点タイプの仕事についている発達障害者
一般的に、発達障害者は減点式の仕事が苦手な傾向が強いようだ。どのような仕事かというと、「完璧に出来て当たり前(感謝はされない)」「間違っていたら減点」という仕事だ。会社で言うとバックオフィスの仕事は概ねこれにあたるし、医療系の仕事もこれに近いと思う。公認会計士であれば監査業務がこれにあたるだろう。ルーティーンが得意なタイプの発達障害者もいるようなので、当然一概には言えないのだが、これらの仕事を苦手とする方は多いと推測される。
そうすると、仕事ではダメだしをされまくるのだ。そしてどんどん自信を失っていく。しかし、世間から見れば「年収500万円以上」「安定した仕事についている人」なのだ。もちろん銀行・不動産会社から見ても。そこで「わー、すごい、エリートですね~」「このくらいの収入を得られている方は中々いらっしゃらないので…」「○○様のように高収入の方はきちんと老後の対策をされていらっしゃるので…」などのおだてにのってしまうのだ。
褒められなれていない、自信がないことの問題点
なぜおだてにのってしまうか、それは仕事で評価を得られていないからだ。評価を得られていなかったとしても、「自分が何をしているのか」を正確に把握しており、自信をもって説明できる状況であれば問題ないのだが、過去に間違いを指摘されまくり、何かを聞かれると「また間違っている…?」と冷や汗をかいてしまうのだ。それが自信をもって仕事できていない、という状況だ。これは本当に辛い。確認漏れを何度も起こしてしまう自分に対しても辛いし、そのキャラ付けになってしまっている事実も辛い。こうした時に自分を認めてくれる(ように見える)人が現れたら話を聞いてしまうのだ。これはワンルームマンション投資詐欺だけではなく、全詐欺にいえる。とにかく、発達障害者の1番の問題点は自信を失ってしまうことなのだ。
人の紹介が90%以上
調べたところによると、この詐欺に引っかかる人の大半は人に紹介されて、というケースらしい。
職場の先輩や、大学の時の友達のお兄さん、などとにかく人から紹介を受けて…ということだ。なぜ、そいつが紹介してくるかというと、マルチ商法と全く一緒で、あなたがマンションを購入すると、紹介したそいつに50万円、などお金が入るからだ。紹介してきたそいつはあなたとの信頼関係を50万円で売ろうとしているのだ。
ワンルームマンション投資は基本的に儲からない。ものすごくざっくり書くと、以下のようなキャッシュフローが典型例だ。
10万円ローン
1万円管理費・修繕費
△9万円家賃収入
差し引き2万円の毎月の支出
毎月2万円の支出があると、これを相殺する何かが欲しくなるのが当然だ。そこで不動産会社が甘いささやきをしてくる。「どなたかご紹介いただければ、50万キャッシュバックします」そこで選ばれたのがあなた、ということだ。
人を信じてしまうことの裏側
マルチ商法編でも記載したが、発達障害者は「言葉を言葉のまま受け取る」傾向が強い。
「不労所得が出来る」「売ったら退職金代わりになる」「資産形成」という売り文句をそのまま真に受け、自分で調べることをしない。(または、相手は百戦錬磨の詐欺師のため、調べる時間を与えない)
そして、仕事で自信を失っているとき、会社の先輩に言われたら相手の言ってることの方がなんとなく正しい気がしてしまう。
自信のなさの問題点はまさにここにある。自分のことを信じられなくなり、相手が言っていることが100%正しいと思い込んでしまう。
そして、まんまと契約してしまう、というパターンが多いようだ。
なぜ自分に声をかけてきたのか
それは、2つの理由のうち、どちらかだ。
あなたとの関係が終わってもいいと思っている。(あなたとの関係より、50万円の方が価値がある)
あなたが仕事で評価されないのを知っており、おだてれば騙されて契約すると思っている
どっちにしてもろくでもない理由だ。要はなめられているのだが、「あなたにぜひ伝えたくて」と言われると信じてしまう。相手はそこをついてきているのだ。
普段、会社で評価を得られていないと感じているのであれば、先輩からの紹介でこの話を受けたら、会社での評価も少し上がるのでは?とも思ってしまうかもしれない。それは100%ない!デキる先輩から声をかけられた、と思っているかもしれないが、この詐欺に引っかかり、人との関係を50万円で売ろうなんてロクなやつではない、万が一今は少し社内での評価がいいとしても、長期的に信頼関係を築くことの重要性をわかっていないやつなので、将来全く有望ではない。そいつについていくと痛い目に合う。
マルチ商法編でも書いたが、あなたが契約するしないにかかわらず、声をかけてきたやつは「そういう奴」なのだ。もうさっさと関係は切ろう。
単純計算
キャッシュフロー計算
上記でも記載したが、典型的なキャッシュフローは
10万円ローン
1万円管理費・修繕費
△9万円家賃収入
差し引き2万円の毎月の支出
である。毎月2万円の支出が35年ローンが終わるまで続くのだ。
2万円×12か月×35年=840万円
ローンが終わってからの収入が毎月8万円だとしても、取り返すのに10年程度かかる。仮にあなたが30歳だとしたら、45年経ってやっと+になる計算だ。そのほかに修繕費の値上がり、リフォーム…などの金額も出ていく。
このような情報は不動産会社はもちろん伝えない。
節税?
これも常套句で「節税」だ。
めちゃくちゃ簡単な計算で記載すると
不動産投資をしていなかった場合
1000万本業の収入
△200万円税金
800万円手取り
不動産投資した場合
1000万本業の収入
△200万円不動産投資による損
△100万円税金
700万円手取り
とあら不思議、手取りは減ってます。
そりゃそーだ、ものすごく簡単に言うと損をするから損益通算により税金が減るのであって、
・税金が減ること
・手元にお金が残ること
は全く別だ。
「絶対に税金納めたくない!」というモチベーション(?)がない限り、やる必要がない。これは詐欺だ。
それでも引っかかってしまったら
それでもひっかかって購入してしまったら、とにかく1秒でも早く売ろう、これは保有する期間が長ければ長いほどお金が出ていく仕組みだ。
そして、絶対に絶対に人には声をかけないことだ。
50万円に値しないと思う人間関係があったとしても、人はどこでつながるかわからない。50万円で売った人間関係が将来大事にしたい人間関係に影響を及ぼすことだってあるのだ。
おわりに
不動産投資、私はラッキーなことに引っかかっていないが、私が引っかからなかった理由は「奨学金の返済があり、ローンを組むことを躊躇していた」「ローンの嫌さを知っていた」「リーマンショックの後に就職しており、一夜で景気後退していくのを見ていた」ことだと思う。
これらがなければ引っかかっていたかもしれない。
今まさに誘われている人、声をかけられている人、または購入してしまい、だれかを紹介しようか悩んでいる人の助けに少しでもなればとても嬉しい。
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