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メズマライザーのPhosphoribosylaminoimidazolesuccinocarbo…って何?
メズマライザーを視聴して思った。Phosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboとはなんぞや!と
てなわけで、調べて解説していこうと思います。
まず、動画内ではPhosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboと長すぎて最後のほうが画面外で見ることができなくなっています。
完全に表記するとPhosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboxamide(ホスホリボシルアミノイミダゾールスクシノカルボキサミド)ですね。別名SAICARや5-アミノイミダゾール-4-(N-スクシノカルボキサミド)リボチドと呼ばれます。(以下の図は構造です)
![](https://assets.st-note.com/img/1716872584864-QoNzdZociH.png?width=800)
の構造
ここから先、Phosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboxamideと表記するのは長すぎるためSAICARと表記します。
また、名前が似たものでphosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboxamide synthase(ホスホリボシルアミノイミダゾールスクシノカルボキサミドシンテターゼ)というのがありますが、こちらは最後に「-ase」とついているので、「酵素」を意味します。別名でSAICAR合成酵素やSAICARシンテターゼと言うみたいです。こちらも長いので、別名であるSAICARシンテターゼと今後呼びます。これはまた後で出てきます。
で、こいつが何者なのか知りたいわけで、Wikipediaを見てみると…
ATP、L-アスパラギン酸、および5-アミノイミダゾール-4-カルボキシリボヌクレオチド(CAIR)が、ホスホリボシルアミノイミダゾールスクシノカルボキサミドシンターゼ(SAICAR合成酵素)によって5-アミノイミダゾール-4-(N-スクシニルカルボキサミド)リボヌクレオチド、ADP、およびリン酸に変換されるのは、de novoプリンヌクレオチド生合成の第8段階である。
と書かれていますね。所々わかりそうですが、ほとんどわけわかりません。
ではこの話を理解するために、順を追って説明します。
まず、DNA・RNAというのを聞いたことがある方は多いかと思います。例として、ここからDNAについて話しますが、DNAはこんな巻き巻きしてるやつですね!↓
![](https://assets.st-note.com/img/1716885433688-B6cNhWkSZT.png)
(© 2016 DBCLS TogoTV, CC-BY-4.0)"
DNAはより細かく見ていくと、下の図のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1716880953010-bEdUOJwzfW.jpg?width=800)
図に四角で囲まれ、Nucleotideと書かれている通り、この一つをヌクレオチドと言いいます。このヌクレオチドが多数結合することにより、DNAやRNAができるわけです。また、このヌクレオチドには種類があって、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチドというのがあります。この違いについて細かくは話しませんが、塩基部分がプリン塩基かピリミジン塩基かの違いにより、分類されているようです。プリンヌクレオチドに関しては、Wikipediaに『de novoプリンヌクレオチド生合成の第8段階である。』と書かれていたため、これに該当しそうですよね!
で、このプリンヌクレオチドやピリミジンヌクレオチドは色々な過程を経て、合成されるわけですが、このときに$${\textit{de novo}}$$経路(デノボ経路)、salvage経路(サルベージ経路)というものを通してヌクレオチドが合成されます。
今回はこの$${\textit{de novo}}$$経路が重要です。この経路を細かく見ると、各段階にわかれていることがわかります。↓
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142114425/picture_pc_27e9fb49e004d8f4ca758a85c296a163.gif)
この段階の8段階目(⑧のところ)でSAICARがでてくるのです。しかも、さっきの似た酵素(SAICARシンテターゼ)もでてきていますね。
8段階目の反応をWikipediaの情報と照らし合わせて見てみると、4-カルボキシ-5-アミノイミダゾールリボチド(CAIR)とアミノ酸の一つであるʟ-アスパラギン酸(ʟ-Asp)とATPが、SAICARシンテターゼによって、ADPとリン酸 (Pi) とSAICARに変換される、といった具合です。↓
CAIR + ATP + ʟ-Asp ⇄ SAICAR + ADP + Pi
そして、9段階目ではこのSAICARを使用して、アデニロコハク酸リアーゼという酵素によって、フマル酸と5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボチド(AICAR)というものに変換されます。
長々と話しましたが…メズマライザーに出てくるPhosphoribosylaminoimidazolesuccinocarboxamideというのはヌクレオチド(プリンヌクレオチド)を形成するのに重要な役割を担っていたわけです。
こちらは生化学の分野でもマニアックかなーと思いますが、調べていてなかなか面白かったです!
●参考文献
・マッキー生化学[第6版]
・酵素ハンドブック第3版
・「ヌクレオチドの合成」http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/nucleot.html
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