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ベガルタ仙台 vs いわきFC (23シーズン第4節)

Jリーグの大好きなチャントの1つが、ザ・ブルーハーツの電光石火を原曲とした仙台のチャント。いわきFCを応援しながら、大好きなチャントを聞ける幸せ。第3節終了時点で失点はわずか1の仙台からJ2初勝利を目指した。

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試合結果

祝・J2リーグ初勝利!最高の週末をありがとう!
いわきFCの歴史に、また1つのマイルストーンを刻んだ記念すべきマッチとなった。J2昇格後、初の失点0で終えた試合でもある。
ベガルタ仙台 0 - 1 いわきFC
 ベガルタ仙台: なし
 いわきFC: 江川(20分)

かみ合わせ良し、の前半

スターティングラインナップ (第4節)

前節に負傷で途中交代した右SB石田に代えて嵯峨がSBに落ちて、加瀬が右MFでスタート。
加瀬は今シーズンに流通経済大から加入。尚志高では選手権大会3位に輝いている。千葉県出身の加瀬がなぜ福島県の尚志高に進学したのか、その物語が熱い。

仙台のフォーメーションは可変システム。5トップになったり、4バックや5バックに変形する。アッタキングサード、ミドルサード、ディフェンシブサードのどこでも、ボールがあるところで数的優位を目指したシステムの印象。逆に、ボールがないところは数的不利になりがちなので、相手(いわきFC)にボールが渡ると、仙台は数的優位を作れているところから相手に脱出されないよう、ゲーゲンプレスとセットになっている。
仙台の攻撃に対して、守備側のFWが攻め残りをしたり、プレスバックが遅いと数的不利になるが、いわきFCのCFは状況に応じて自陣深くまでディフェンスに戻り、90分通して全員のフィットネスは落ちないので、大きな心配はない。
仙台の守備は、相手が遅攻する場合は、5バックを敷いてスペースを埋めてくる。これを崩すのは難しい。22年カタールW杯で、日本代表がスペイン代表相手に1失点のみに抑えて勝利したように。いわきFCは、5バックを敷かれる前に、速攻をしかけることで得点できる確率を上げることができる。
速攻を得意とするいわきFCは、自分たちの戦いをベースにすれば、チームの特徴のかみ合わせは良かった。

前半20分、山下が入れたコーナーキックは仙台にクリアされるが、クリアボールを拾った嵯峨がロビングをゴール前に入れる。ボールに競るのは、江川と仙台の相良。江川は左腕でしっかり相良をブロックし、ゴール方向にヘディング。一瞬、前重心になった仙台GK林の頭上を越えて、待望の先制ゴールを奪った。慶城とかいて「ゲンキ」。ユニフォームのネームは「EGAWA」だが「GENKI」を提案したい。いわきFC初のファーストネームを採用する選手としてピッタリではないだろうか。

22年シーズンからの成長、そしてJ2初勝利

仙台がフォーメーションを4-3-3をベースに切り替えて、63分に右MFの真瀬に代えてフレッシュなオナイウを右WGに投入したのは、いわきFCにとって厄介だった。真瀬は、サイドを攻め上がり、またSBの位置までスペースを埋める上下動をしていたので、消耗していたと思う。システムの4バックにして、真瀬に代えてオナイウを前線に張らせることで、右サイドからのクロスが増えた。右サイドから、GKを超えて左サイドへクロスを上げられると、いわきFCは右SBの嵯峨が競らなくてはいけない。ホ・ヨンジュンとの身長差は18cm。村主監督は、86分に右SBに速水を投入した。終盤の仙台のパワープレーに万全の手を打った。

本節ではうれしい発見があった。70分に交代で退いた加瀬だ。落ち着いてボールを持てる、クロスがうまい、いわきFCの戦術を理解したポジショニングができる(前プレスのかけ方、同サイド圧縮のため持ち場(右サイド)を離れて中央にポジショニングをとる)、スラディングがうまい(クリーンに高確率でブロックできる)。岩渕も戻ってくるだろう、高いレベルの競争が行われそうだ。

後半、一番声が出たシーンは、55分に家泉がハーフウェーラインあたりから有田へパスを通した決定的なシーン。有田のシュートは惜しくもゴールをとらえなかった。家泉は、22年シーズンで既に、ディフェンス能力やボールを跳ね返す高さに加えて、ボールを持ち出して相手を引き付けることもできていて、J3ベストイレブンにふさわしい活躍だった。今年は、配球や試合を決めるのパスに磨きがかかっている。家泉からのくさびのパスを有田がフリックをして谷村がゴール、あると思います。

初勝利にむけた試合の終わらせ方も22年シーズンからの成長を確認できた。敵陣奥深くでボールをキープして時計を進ませる、通称「鹿島る」。有田はもちろんのこと、途中交代の近藤も徹底できていた。もっと、強固に鹿島ることができるはず。

アディショナルタイム5分を守り切って、J2初勝利を手にした。
自分たちを信じて前に進むために、とても意味のある勝利だった。最高の週末をありがとう!

育成・ユース世代

いわきFCのクラブ理念の1つは「人づくり」。これはサッカーに限ったものではないと理解しているが、いわきFCの人づくりの1つとして、アンダー世代を楽しみしている。
仙台のGK小畑は仙台ユース出身。セレッソ大阪の奥埜も仙台ユース出身。J1の鳥栖は、今シーズン、6名の鳥栖ユース出身選手が鳥栖のトップチームに登録している。

ユース出身の選手がトップチームで活躍するようになるためには、育成に対するクラブの方針、クラブの練習環境、生活環境、育成世代の指導者など、トップチームがJリーグで戦うのとはまた別のノウハウと実績が必要で、時間をかけてアップデートしていくものなのかなと思う。
いわきFCにはU-18、U-15、Girls U-15があり、いわき市外、福島県外出身の選手も活動しているのが、とてもうれしく思う。

フィットネスや走り方など、いわきFCの強みの領域で、育成年代に最適化されたトレーニングを提供できることが、いわきFCアンダー世代の強みの1つになるだろう。
いわきFCのU-18からいわきFCトップチームに昇格をした選手が、グリーンフィールドで大歓声を浴びて躍動する胸アツの瞬間は、必ず訪れる。

あとがきに代えて次節のお話

次節はホームで徳島と対戦する。仙台の予習のために見た試合が、徳島 vs 仙台だった。徳島は、今年からベニャート・ラバイン監督を招聘した(経歴、年齢、ヤバいです)。

就任して間もないので、まだ戦術の落とし込み中だと思うが、すでに、相手を自陣に引き込んでパスワークでひっくり返すのが抜群に上手い。その徳島相手に、いわきFCのプレスが機能すれば、J2のボールスピードや足元の技術でも、自分たちのプレスやフィットネスが十分武器になると、更に自信になるはず。それにしても、徳島の左WGの西野が俊敏性が高く、テクニカルでとても厄介だ(そして若い!)。村主監督の右SBの選択に注目したい。
今年はJ2で戦っているのだな、とハイレベルの試合をみた予習で再認識した。いわきFCの選手たちを誇りに思う瞬間です。



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