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水戸ホーリーホック vs いわきFC (23シーズン第2節)

地理的に最も近いJ2チームの1つの水戸。いわき駅からは1番に近く、22年にホームタウン仲間に加わった浪江町からは2番目の近さ(1番は仙台のユアテックスタジアム)。Jリーグの先輩であり、プレシーズンマッチで鹿島に勝利し、前節はJ2を独走するのではないかと言われる戦力を保有する清水と引き分けた水戸。J2を体感する絶好の機会となった。

試合結果

祝・J2初勝ち点!いわきFCの歴史の新たな1ページを刻んだ。
水戸ホーリーホック 2 - 2 いわきFC
 水戸ホーリーホック: 梅田(後半9)、寺沼(後半23)
 いわきFC: 谷村(後半14)、有田(後半29)

中盤が省略された前半

いわきFCのDF陣は前節の後半のラインナップでスタート。

MFの頭上をボールが行き来する前半だった。
いわきFCとしては嫌ではない展開で、50:50のボールを早い出足でボールを奪い速攻を仕掛ける。
水戸は、清水戦を見た限りでは、選手の立ち位置で数的優位を作り、パスワークによって陣地を回復するのが得意なチームだと思う。風が強かったので地上戦のほうが前進できる確率が高かった。しかし、おそらく芝野状態が良くなく、また、いわきFCのCFのプレスのかけ方によって、水戸のCBはパスではなくキックの選択が多くなった。水戸はGKから攻撃を開始するとき、GKもパス交換に参加するが、スイッチを入れるパスは圧倒的にCBから、特にタビナスからが多い。有田、谷村はGKにプレスはかけず、CBにボールが入った瞬間にプレスをかける。水戸CBは、左右に大きく開いてビルドアップをし、MFはほぼサリーはしないため中央にはGKだけで、CBのボールをひっかけることができれば、一気にチャンスにできる。スカウティングで狙っていたと思う。
ちなみに、GKからの攻撃については、いわきFCは、ほぼロングボールを入れるのが現状だ。そのため水戸のCFはいわきFCのGKやCBを強く監視はせず、ロングボールをマイボールにした後にすぐに受けられるポジショニングをとれる。
今季、いわきFCが、GKからのビルドアップでどのような取り組みをするか楽しみだ。

ポケットへの侵入が増えた後半

後半は互いに2点ずつを取り合った。2失点目は、家泉がインターセプトを狙ったところを入れ替われてゴールにつながった。入れ替わられた10秒ほど前に同じようなシチュエーションで家泉はインターセプトに成功していた。入れ替われないことが最善だが、後ろに遠藤もいたため、テクニカルファウルでもDOGSOは回避できたのではないかと感じた。

いわきFCのコーナーキック数は、前半は0だったが後半は6あった。後半にポケットへの侵入回数が増えたことが要因の1つだと思う。前半は、右MFの嵯峨が左サイドに出張をして数的優位を作り出そうとしていたが、水戸のDFの前でのプレーが多かった。後半は、途中出場の永井が左サイドでドリブルをしかけ、また嵯峨が右サイドでパス&ゴーの質の高い走りで、ポケットを侵入し、水戸のDFやMFを自陣ゴール前に張り付かせて、セカンドボールを回収する機会を多く作っていた。22年シーズンは、岩渕や鈴木がポケットに走りこんでチャンスを作っていた。
個で違いを作り出した永井。しばらくはジョーカー的な起用になるだろうか。ブライトンの三笘のように、ドリブルを圧倒的な強みに昇華させることで、スタートから活躍できる選手になるはずだ。

この選手のこのプレー

1失点をする前のいわきFCゴール前で、水戸のシュートを二度にわたってスライディングでブロックをした選手は遠藤だ。絶対に勝っていわきに帰るぞという強い気持ちが伝わる。水戸の選手に入った楔のパスに対して、しっかりと身体を寄せてターンをさせない、後ろから長い足を出してボールを突っつくことがうまい。
藤枝、水戸は共にいわきFCのSBが高い位置にポジショニングをする裏のスペースを狙ってきた。そのケアでSBが高い位置をとれなくなると、いわきFCの敵陣での厚みのある攻撃は威力をそがれる。しかし、狙われていると理解していても江川や石田は積極的に攻撃参加をしていた。チーム戦略もあるだろうが、DFリーダーの岩泉、そして相棒の遠藤への信頼が選手間であるのだと思う。
遠藤は桐蔭横浜大卒で、2失点目を奪った水戸の寺沼の先輩、川崎の橘田や甲府の鳥海の同級生。

新潟から期限付き移籍中。J1に昇格した新潟に戻ってポジション争いをしながら成長する選択もあったはずだが、23年もいわきFCで戦う決断をしてくれた。熱いプレーと成長を追いかけていきたい。

あとがき

村主監督や水戸の濱崎監督の試合前インタビューでは、リポーターへの丁寧な回答、相手チームのリスペクトを感じて、Jリーグって良いな、と思わせてくれる。試合中とは別の声や表情も良い。DAZNの見逃し配信で見れます。



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