レッドハット予備試験とは何か? EX280を例にそのメリットを考察する

はじめに

レッドハットの試験には、大きく分けて予備試験と認定試験の2種類があります。認定試験は、RHCSARHCEなど、耳にする機会も多いかと思いますが、予備試験についてはあまり知られていないと思います。この記事では、予備試験と認定試験の違いを説明し、OpenShift管理者認定試験(EX280)合格を目標とする人が、認定試験の準備としてPE180という予備試験を受験する意義について考えてみます。

予備試験と認定試験の違い

予備試験はリモート試験でのみ受験可能です。教室やKIOSKでは受験ができないので注意してください。

予備試験はWebブラウザー上で受験します。認定試験用のリモート試験の場合はUSBやWebカメラの準備が必要ですが、予備試験ではそれらの準備は不要です。試験時間は1時間です。認定試験の2.5~4時間と比較するとだいぶ短いです。予備試験であっても、試験はプロクター(試験監督官)によって監視されます。

予備試験は有償です(ただし、価格は認定試験よりも安価です)。有償ですが、認定試験とは異なり、合格しても認定証明書や電子バッチを受領できません。認定資格を取得できないのに、お金を払って予備試験なんて受験する意味がない。そう考える人もいるでしょう。

以下、OpenShift管理者認定試験(EX280)合格を目標とするケースにおいて、予備試験PE180を受験するメリットについて考察してみます。

OpenShift管理者認定試験(EX280)の概要

EX280受験の前提としてはDO280のトレーニング受講相当の知識と経験が求められます。

さらに、DO280の受講前提を見ると、DO180の受講が指定されています。実際にEX280試験内容にはDO180の内容も含まれていますので、EX280の試験範囲は広いです。この広い試験範囲の準備をするのには時間がかかるでしょう。

予備試験PE180とは何か

PE180は、DO180の受講を前提として、OpenShift管理者としての基本的なタスクができることを確認する試験です。

前置きが長くなりましたが、これを踏まえて、私が考えるEX280受験者がPE180を受験するメリットについて具体的にあげてみましよう。

予備試験のメリット: ①認定試験形式に慣れる

レッドハットの試験は未経験で、これからEX280に挑戦しようと考えている方は、レッドハットの「実技試験」とは何か、プロクターに監視されながら試験を行うということが実際にどのようなものか、具体的なイメージが湧かないでしょう。予備試験を受験することで、認定試験受験の前にレッドハットの試験の形式に慣れておくことができます。

多くの受験者は事前に十分に準備をして認定試験に臨んでいると思いますが、問題の形式や、ボリューム、難易度が自分の予想と異なることに驚くでしょう。認定試験の前に予備試験で試験形式に慣れておくことは、大きなメリットです。

予備試験のメリット: ②認定試験受験までのマイルストーン

EX280の受験においてPE180を受験しない場合は、トレーニングと試験の順番は以下のようになります。

DO180→DO280→EX280

一方、PE180を受験する場合は、トレーニングと試験の順番は以下のようになります。

DO180→PE180→DO280→EX280

OpenShiftの未経験者がEX280合格を目指す場合、まずはPE180の合格を目指してDO180で習った内容をしっかり復習し、PE180に合格したらDO280の学習を始める、というのが着実な方法と言えます。PE180をEX280合格のマイルストーンに位置づけるというやり方です。

予備試験のメリット: ③RHLSの有効活用

Red Hat Learning Subscription(Standard)を購入している方は、試験を5種類受験することができます。それぞれの試験の種類ごとに1回のリテイク(再受験)が可能です。これは1つの種類については最大2回受験できるということです。例えば、EX280で初回不合格でももう一度受験ができます。ただし、EX280を2回受験して2回とも不合格の場合は、このサブスクリプションでの3回目は受験できません。

予備試験もリテイクも含めて2回受験できます。EX280の前にPE180を含めることで、PE180を2回、EX280を2回、の合計4回のOpenShiftの管理者試験を受けることができます。RHLSの5種類の試験をすべて使い切る予定がない場合、OCP以外の認定試験を受験する代わりにPE180のような予備試験に使うのはRHLSの有効な使い方と言えるでしょう。

予備試験の登録手続き

PE180は一つの商品なので、通常の認定試験と同様に購入することができます。RHLSを購入済みの方は、認定試験を登録するのと同じ要領でPE180の登録ができます。

予備試験の受験方法

予備試験の受験は認定試験に比べると簡単です。試験の登録手続きをすると受験者に試験環境のURLが書かれたメールが送られてきます。受験日にはWebブラウザー上でそのURLから試験環境にアクセスします。

自分のPC環境が予備試験の要件を満たしているかどうかは、[RUN COMPATIBILITY CHECK]ボタンを押して互換性テストを実施します。この要領は一般的なリモート試験と同じです。試験開始時間20分前になったら[ACCESS YOUR EXAM]のボタンを押して試験環境にアクセス可能です。

おわりに

私は2024年2月15日にPE180 (v4.12)を受験しました(私にとってはEX280 v4.12合格後の受験なので、PE180の試験内容確認のための受験です)。予備試験は認定を取得できないので、認定証明書や認定バッチやはありません。しかし、第3者に対してhttps://rhtapps.redhat.com/verifyを見せることで予備試験に合格したことを証明することはできます。PE180は、EX280合格を目指す方が学習計画を立てる上でのマイルストーンとして使えると思います。


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