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最終電車

こんにちは!松浦 文子です。

最終電車にはいろんな物語がある。

その中でも、昨日は一生忘れない出来事に遭遇した話です。

ここから先は、読むのがつらい人がいるかもしれないので、興味がある方だけでお願いします。私の記憶装置のためですから・・・。笑。

仕事帰り、最終電車に乗りました。

土曜日の深夜、ちょっと前までなら、最終電車はたくさんの人で溢れていたけど、コロナがまん延してからは、座席が満席にはなるけど、立っている人は一車両に2,3人と言ったところだと思う。

電車が動き出して、10分くらいしたときだろうか、対面に座っていた女性が突然吐いた。

マスクから溢れるくらいだった。

そして、また数分したらまた・・・。

当然のように、周りから人はいなくなる。対面だった私の頭の中は、と言えば、

(あ~大変なことになってるよね、呑みすぎでこうなってるよね。学生?社会人?それにしても洋服も何もかも・・・そして、これはどうにかしないと、どこで降りたいのだろうか、知る由もない、声をかけよう、コロナ時代だれも声掛けそうにないし、実際、女性が声かけた方が良さそうだし・・・、もしこの子が酔っ払いではなく、単純に病気で吐いているのなら、私も病気がうつるかもしれないと思うけど、ここで助けないという選択肢はないな。私のリュックの中にタオルはあっただろうか・・・。周りの目を気にしてたら出来ない、ちょっと勇気がいるけど、行かなくては!)

と一瞬でいろんなことが脳裏によぎった。

リュックを座っていた座席に置いて立ち上がり、女性のそばに行き声をかけた。

『ねぇ、どこで降りるの?』

苦しそうに女性は

『〇〇〇駅』

私は

『わかった』

と言って、リュックを置いた座席に戻って、彼女を見守った。もうまっすぐに座ってられず、当然のように空いている隣に身体を横にした。

奇跡的に私と同じ駅で降りることを知って、安堵したのを覚えている。

その後、目的の駅に着くまでの間、息をしてるか、苦しんでないかなど様子を見守る。その時、ある青年が女性のところにお水を持っていき、

『これ!呑んだ方がいいよ』

と言って座席に横たわっている彼女に渡した。

彼女はなんとか答えた

『うううん』

降りる駅の、前の駅に着いた時、彼女の隣の座席に移動して座り、彼女を起こした。

『次、降りる駅だから』

そして、降りるために彼女に手を差し伸べようとしたその時、また青年がやってきて、さっと彼女の手をとり立ち上がらせてくれた。

私は青年に聞いた。

『あなたはどこの駅で降りるはずなの?』

『〇〇〇駅です』

『えっ?それだと手前で降りることになるけど大丈夫?』

『大丈夫です、手伝います!』

私一人では大変だと思ってくれたのだろう、断らなかった。

彼女を目的の駅で降ろしたはいいが、まともに歩けないし、吐きたいというので、トイレまで連れて行き、青年には駅員さんを呼んでと頼んだ。

万が一、病院に運ぶ必要もあるかもしれない、最終電車は行ってしまったけど、ここにまだ人がいますよというお知らせの為にも、トイレを汚すことも、電車の車両も汚れている事も駅員さんに知らせるため。

また次に脳裏には(親が心配してるだろうに、親がいるなら電話して迎えに来てもらう事もできるかも?)

『家に親はいるの?』

『一人暮らしです』

(あーーーますます送っていかないと大変だ)

何とか意識もあるし、誰かの手があれば帰宅出来そうだったので、その青年と2人で彼女を自宅まで送ることにした。

歩いて近くだったので彼女を自宅まで送り届けるまでの間、青年に言われた。

『今時、珍しいですよね、なかなかそんな人いないですよ』

『えっ?そうなの?あなたは何故一緒になって助けてくれたの?』

『僕も以前、似たようなことがあって・・・。今日の場合、相手が女性だし、男性が助けてると変に思われないかと思って、助けにいけませんでした』

『あーそうか、助けたいと思っても、そう思う人もいるんだね、来てくれて助かったよありがとう、私一人じゃ抱えて送るの無理だったかもしれない』

彼女がふと我に返ったように会話に入ってきた。

『ほんとうにすみません。すみません、すみません。今日の出来事は一生忘れません、ありがとうございます、タクシー代払います!』

青年は

『女性にお金を出させることなんて出来ないよ!』

(かっこいいこと言うね)と心の中で思った。

そして、私も

『もう謝らなくていいよ、そんな日もあった、しかし、近隣で良かった!』

彼女はとても素敵な場所でサービス業をしているという、男性上司二人と彼女の三人で呑んだらしい。

『私、新入社員なんです、お酒弱いのに結構呑んだみたいです』

あ~お酒に呑まれてしまったのね。どのくらい呑めるかの限界もわかってない感じなのかな?

呑ませる方も呑ませる方で、もし酔っ払ってそうだったら、その上司が紳士ならちゃんと送るでしょうね。

しかも一人暮らしの女性なら、そんな深酒させるな!とも言いたい。

立ち止まり吐き、歩き、彼女を何とか家まで送り届け、駅まで戻る間のわずかな時間だったけど、青年と話した。

『ありがとう!ほんと助かった!学生?』

『いや、今日は休みで、IT系の会社でSEやってるんです!』

名前を聞いたら、聞き取れずに聞き返した。

『僕、在日朝鮮人なんです、親がそうで・・・』

『そうなんだね、私はそういうの気にしないタイプ』

『そう見える!』

って言われた・・・。笑。なんでだ?????

まあいいか。とにかく、ちょっと勇気がいることかもしれない、周りの人にもジロジロ見られてたかもしれない、でも全く視野に入らなかった。それは、『どうにかしないと』という想いだけで動いていたからかもしれない。

青年は、スマホを持つ手が震えていたのを覚えている、彼も勇気が言った行動だったと思う。

きっと、人生においていろんな事がおきるけど、私もたくさんの方々のお陰で今があることに感謝して生きて行きたいと思える出来事でした。

ありがとうございました。

そして、今日も読んで下さり、ありがとうございます。

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