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初主演舞台開幕によせて

ここ数年、秋がないなんて言われてきたように体感として夏が長いことに加え風磨くんに夏の良さを教えられてきたのもあり夏を存分に味わいながら過ごしてきたけれど、今年は梅雨明けも遅く比較的涼しい日が多かったのも相まって何だか夏にあまり触れないまま足早に終わってしまった気がする。

『HAMLET-ハムレット-』。単独初主演、初外部舞台、初ストレートプレイ。こんなに一度に初めてを味わっていいのかというぐらい「初」が並んでいる。Sexy Zoneのツアー期間の5/17未明、タイムラインでこの情報を目にした瞬間、急激に体温が上がるのが分かった。この感覚久しぶりに味わった気がする。

「ハムレットという大役を、歴史と伝統にのっとり、真摯に演じて参りたいと思っております。その表現の中で現れる新たな菊池風磨をお見せすることを約束いたしますので、ぜひご覧ください。」

公式コメントでのお堅い言葉遣いに笑みがこぼれた。「歴史と伝統」を重んじ、しかと向き合う姿勢。知っている風磨くんに安心すると同時に頭を抱えた。まいった。私は風磨くんのことがいまだによく分かっていないのに、まだ知らない風磨くんが現れるらしい。自分の目で見たものや聞いたものから何となく自分の中でそれらしい像を作り上げようとしても一向に完成しない。この人のことを分かったと思える日はきっと来ない気がする。

風磨くんが舞台に立つのは『DREAM BOYS』以来4年ぶり。フウマの「お前と戦わない新人王に何の意味がある?意味ねえんだよ」の一言で空気が変わり場面が展開していく様を肌で感じたこと。幕間の客席のざわめき。フウマの生涯を目の当たりにして気づいたら涙していたこと。そしてラストのIn The Name of LOVE。「僕には自信がある」と歌い上げる3人の姿はあの時期、試されている状況の中、今の全てを体現しているようで強く眩しく希望だった。

「自分が信念を持ってやったことに対して、後輩とかにカッコイイって感じてもらえる男になりたいな。ありがたいことに、DREAM BOYSで演じたチャンプはカッコよかったって言ってもらえることが多くて。カッコよく演じようとは思ってなかったんだよ。揺るぎないものをひとつ、体の真ん中に芯として通して演じようと思ったの。それがチャンプのかっこよさとして受け止めてらえたのなら素直に嬉しい。自分も芯がブレないように生きていきたいと思ってる。変化していく環境に順応しつつも、自分のルールだけは、曲げずにいたいね」

私はこの風磨くんの話を一生すると思う。真っ直ぐなところが大好きだ。

ハムレットとDREAM BOYSはもちろん題材や時代背景、歴史の長さ、構成など全く違うけれど風磨くんの出演する舞台は初演ではなく演じ継がれている作品が続いている。作品の歴史とともに名前が刻まれ語られる存在になることの重圧がどれほどのものか。

ツアーが終わり7月に入ってからすぐに稽古が始まった。カンパニーの皆さんのブログやTwitterを通じて稽古のようすや風磨くんの姿を伺えることが新鮮で嬉しかった。稽古の中盤に差し掛かった頃、共演者の小柳心さんがTwitterで「もっと前で、もっとたくさん、もっともっと。人生は今しかないんだと、ハムレットが、風磨くんの背中が、教えてくれているようで」と話していた。どこにいても風磨くんは風磨くんだった。風磨くんの夏はここにあった。

風磨くんは普段あまり自分から自分自身の話をする人ではないように思う。聞かれないと話さないし多くは語らない。特に進行中の物事に関しては。先日『超絶男子図鑑』で夜9時に稽古を終え事務所に戻り夜中3時までスタッフと読み合わせしてると話していたので驚いた。連載で「ハムレットのお稽古さんよ」「言葉むずかちーーー」と言っている裏にそんな風磨くんもいる。やっぱり知らないことばかりだ。私たちの知らない夏を過ごした風磨くんがどんなハムレットになって現れるのかドキドキする。

あらためて、ハムレット初日おめでとうございます。9/8-10/6東京公演、10/9-10/15大阪公演ともにカンパニーの皆さんが怪我やトラブルなく走り続けられることを祈っています。…と書いているそばから台風が来ていて非常に心配なのですが。無事に幕が上がりますように。風磨くんの秋が始まる。

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