Chapter Ⅱ

「第2章」という言葉を聞いたのはいつだっただろうか。2017年の5周年ツアー『STAGE』を終えた後、ケンティーが「第2章」という言葉を用いたこともあり、自分も何となくその認識でいたが、昨年『ザ・ハイライト』のアルバムリリースの時期に、風磨くんが唐突に「新章の幕開けです」と言い出した。

10周年も終わったタイミングで次のステップに進むのはおかしなことではなく、レコード会社移籍後は初となるオリジナルアルバムだったりと、むしろ自然なことではあるが、メンバー不在という状況が継続したまま「新章」に入っていくというこの状況をどう受け取ったらいいのか分からなかった。

それから始まったアリーナツアーで、FC向けコンテンツとしてバックステージの映像が配信された。そこには「頑張りマリウス！」と叫んで円陣を組む4人がいたり、アリーナツアー中に初ドームの発表があり、当たり前にマリウスの名前も出てくるのに、後にマリウスの出演がないことを追記され、それでもデビュー日に更新された4人の動画では「マリウス見てる？」とこちら側に話しかけてくる風磨くんがいて、私はずっと戸惑っていた。

そんな中で迎えた初ドーム。満員の客席に加え、マスク着用の上での声出しの解禁が認められた時期だった。徐々に日常の景色が戻ってくる。それでもマリウスはいないまま、幕開けは近づいていく。OP映像、勝利くんの「5人で並びたかったんだよね。そこも含めて、Sexy Zoneのドラマ、ストーリーだと思うから」という言葉の後、背後を駆け抜ける5人の小さな男の子を4人がじっと見つめている。そこで初めて、この現実を真っ直ぐ受け止めようと思えた。

そして、公演の終盤、勇気100％でデビュー衣装を着たJr.（少年時代の5人）と今の4人がハイタッチで入れ替わり、Forever Goldで横並びで肩を組み飛び跳ねる4人を見て、この場所にいないということは、未来はきっとそういうことなんだろうと覚悟した。

風磨くんはドームのあいさつで、大きな夢を一緒に見ることができた過程が幸せだったんじゃないかと話した。確かに夢は叶えられた。でも、それと同時に何かが終わっていくような予感もして、ひと夏限りであるサマパラの風磨くんの姿によく似ていて、私はこの感覚をグループで味わうことになるとは思っていなかった。

そして、京セラでのオーラスを終えた2日後にマリウスの卒業が発表された。ドームには4日間来ていて、セクベアの声も担当していて、5人ドームの収録もしていた。5人旅も行われ、カウコンがラストステージとなった。あの微妙な違和感は、結末が決まっている未来へと近づいていたからだった。

マリウスが卒業し正式に「第2章」が始まったことになるのだが、それでも私は何が「新章」なのかいまだに分かっていないままだった。

Chapter Ⅱツアーが始まった。

OPからBUMP、Freak your bodyと一気にブチ上げた後の極東DANCEで「Tokyo music」「SZ music」を打ち出し、NOT FOUND、Take A New Stepと続いていく。

「叶えたいんだよ少年だった 僕らが夢見た未来を」
昨年の初ドームのOP、Sexy ZoneとRUNに続いて歌ったNOT FOUND。少年だった彼らの未来が、あのドームの今だった。 そして、少年ではなくなった今の彼らは、再び新たな夢を叶えるために歩く、Take A New Step。

「I take a new step with you」
「I make a new world with you」
「We begin to run, run, run right here & now」

純粋に"新章"という言葉を聴いたときに想像するような、明るくて前向きで希望のある曲。

NOT FOUNDの「胸に宿る情熱を絶やさぬように」がドームという一つの夢を叶えた後のSexy Zoneに重なり、Take A New Stepの「聞こえるよ Many times 新しいドア開く音」や「見に行こう 希望しかない新天地さ」は、「少年だった僕らが夢見た未来」との対比にもなり、大人になった僕らが夢見る未来とも取れるのかな、と思った。

この解釈に至ったのはコンサート終わりにセトリや歌詞を見返してからである。それぐらいにここまでの流れは音楽としてもとても自然に流れていく。

～VTR～
Make you mine
せめて夢の中でだけは君を抱きしめて眠りたい

ガンバレルーヤとのバラエティ映像から始まるスナックパート。女装。OPでドンとメッセージ性を打ち出した後、ここのブロックへつながるのはよく分からなかったけど、そういえば開演前にSexy Zoneの曲ではない昔の曲（80～90年代？）が流れていたことを思い出した。レトロなコンセプトに少し引っ張られすぎている？

雨に唄えば（佐藤勝利）
スクリーンに映し出されるイラストも相まって、とてもEテレ。「ロボとか恐竜とかタコとかみんな丸くて」って歌詞が勝利くんぽくて和む。

My World（菊池風磨）
決意表明らしい。共作というのを踏まえても、やっぱり28歳の風磨くんがこれを歌うのが不思議だなという印象が抜けない。ここで言う「KING」や「My World」は私にはすごく閉鎖的なものに感じて、人格チャンプだな～と思う。演出と音はかなり好き。

Trust Me,Trust You
「暗闇の向こう側に I see the 未来」
花道の液晶がきれい。十字の花道に散らばって登場し、中央に向き合う4人を見て、ここまでもずっと4人を見ていたはずのに、なぜか強烈に「ああ、4人だ」と思った。ドームのForever Goldを見たときの感情と少し似ている。ステージに立つことを選んでいる人たちがそこにいた。

再会の合図
「友よ 仲間よ いつかきっとどこかでまた逢おう」
「今はそれぞれの道で戦おう」
トラトラで4人の構図を見た後なので、どうしても2022年末のSexy Zoneが頭に浮かぶ。センステからバクステへ横並びで突き進んでいくふまけんが良かった。

ぎゅっと
「笑いあった横顔思い出して」

MC

長電話
試聴の段階からMC明けっぽいなと思っていた。既存曲のぎゅっとを抜くとトラトラ、再会の合図、長電話はアルバムの並びと同じ進行になる。「あの日からずっと繋がってる」…のかな。

泡
「夢みたい 夢にしない」のは、2022年のDreamの「夢みたいに綺麗に消えて Ok？」の続きなのだろうか。

Cream
「変わらないまま 止まらない夢を見て」
卒業後、正式に4人体制になって初めてのシングル。ここでまた"今"へ戻ってくる。

Turbulence（松島聡）
Break out my shellの系譜かな。自分の意思で再びこの世界に戻ってきた聡ちゃんだからこそ歌えるソロ。

ROSSO（中島健人）
曲単体では今回のソロの中で一番好き。会場を一気に自分の世界に引き込んでしまうのが、ケンティーのすごいところ。中島健人を浴びる時間。

～アクセントダンス～
ドリボの逃亡シーンがよぎる。

Purple Rain
終盤へ来てようやく『Chapter Ⅱ』のリード曲。勝利くん神輿は縁起が良い。「Will you be right next to me？」は、ライネクの「I'm Right next to you」を思い出させる。"そばにいるよ"だった10周年から、"そばにいてくれる？"と問いかけてくる現在。挑戦する人たちの歌。

本音と建前
Try This One More Time
横アリから追加の新曲たち。映像から始まる。MC明けじゃないところに新曲ねじ込むのめずらしいと思った。Cream、（ソロ曲）、パプレ、この2曲と、ずっと最新のSexy Zoneを見続けている。

ROCK THA TOWN
皆勤賞のRTT。

High!!High!!People
アイドルのコンサートはやっぱり一緒に踊れる曲が楽しい。
「寂しい夜は早送りして時間を進めたいね」
「でも忘れないで僕らがそばにいる」
ドームのForever Gold前の勇100っぽさがあるなと思った。初期曲だからこそ、この無垢な気持ちがしみる。

あいさつ

Sad World
夢を見るための現実。
『Chapter Ⅱ』を冠したツアーを"Sad World"で締める。そこだけを切り取ると重くて暗いような印象も与えるが、Take A New StepとSad Worldが共存しているのがSexy Zoneらしい、第2章のスタートだと思った。

「I ain't gonna stay in the past」
過去にとどまるつもりはありません。
それでも、「But I'll miss you」

～EN～
Naturally→MELODY→Stolen Heart

～ED映像～
BGM:Sexy Zone（ファミコン風アレンジ）
ツアー各地を回っていくSexy Zoneたち。ドーム発表後だったので、最後は三大ドームへ続いていく。

第2章で明確に何が変わったのかと言われると、その答えを言葉で表すのは少し難しい。既存曲の起用が少ないという部分では確かに従来のカラーはかなり少ないが、アルバムコンセプトはかなり昨年を踏襲しているし、4人で行うコンサートも初めてなわけではない。それでも今までとは異なる何かを感じる瞬間が確かに存在する。心機一転、新装開店ではない。それでも進化のため、変化していく。過去の自分たちの選択を悔いのないものにしていくために歩いていく。心境の変化を感じるツアーだった。