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Sexy Zoneがドームに立つ。


 
Sexy Zoneがドームに立つ。

ドームに立つメンバーが見たい、ドームであの曲が聴きたい、ドームでこんな演出が見たい、なんてことを一度は考えたことがある。グループが大きくなっていく過程で、いつかはきっと立つときが来るのだろう、とはぼんやり思っていた。

風磨くんが演出を担い始めたSTAGEツアー。風磨くんは『Sexy 素ナップ・ドームへの道』で「ドームを意識してやってみようと思ったのが『STAGE』」と話している。当時、メインステージを中心としたあの構成について、Sexy Zoneのファーストコンサートを意識したと言っていた。演出も各々のサマパラから着想を得たであろうものが多々あって、ホールに在ったものをアリーナというひと回り大きな会場に再現し、新たな価値を付加して、より多くの人に届けている、という印象を持った。


私の中で、ドームに立つSexy Zoneを具体的に意識したのは2018年のrepainting tourだった。

色を塗り替えるのではなく、塗り足していく。3年続いたSummer Paradiseも終わり、今年の夏は24時間テレビのパーソナリティーとして5人で過ごす。ここには確かにそんな今の5人の姿があって、試行錯誤を重ねながら新たなステージに挑戦していた。

メインステージとバックステージに縦花1本とセンターステージを加えた構成。花道を5人で力強く練り歩く姿や、 5分割になるセンターステージ・"セクシーリフターZ"で高く上昇し、白いペンライトに囲まれて『Silver Moon』を歌っている5人を見たとき、彼らがこの場所を飛び出してドームに立っている姿を具体的なものとして想像できた。


それ以降、私は特にドームのことを考えることはなかった。というのは、別にあきらめたとかそういうのではなくて、まず目の前のことを受け入れていくのに精いっぱいだった。 

2019年のPAGESツアーは聡ちゃん不在の4人で行われた。勝利くんは「やらないという選択肢もあった」「やることを決めたのはみんなの笑顔を守るため」と話してくれた。エンドロールへ続く本編最後の選曲は『CRY』、ECラストは『いつまでもいつまでも』だった。

『極限合宿』の企画のパラデル漫画でマリウスがドームの夢を描いていた。この合宿はツアー中だった。この期間にマリウスが夢を提示してくれたことは、希望だったのではないのかなと思う。


2020年はすさまじいスピードで世界が変わっていった。

何かを選択するよりも、まずは変化に適応して過ごさざるを得なくなり、自分の意思とは関係なく、何かをあきらめなければならない状況も増えていった。

エンタメは規制され、3月から始まるはずだったPOP×STEP!?ツアーは早々に打撃を食らい、延期・中止を繰り返し、最終的に10月の無観客配信へ落ち着いた。2018年のrepainting tourから今現在までの間、5人でコンサートのステージに立てたのはここだけで。風磨くんがあいさつの中で「めぐり合わせ」という言葉を使っていたのが印象的だった。


2021年のアニバーサリーツアー・SZ10THは、私にはとても現実を感じさせるものだった。聡ちゃんとほぼ入れ替わる形でマリウスがお休みに入った。2年ぶりの有観客現場は、前後左右が空いた50パーセントの客席。スマイルアップシールドを装着し歓声の代わりに拍手を送る。横浜アリーナはまん延防止措置の関係で20時までに終演しなければならなかった。

コンサートが再開したことやメンバーに会えたうれしさをかみしめることよりも、コロナ前に取り残されたものが浮き彫りになった異質な空間を目の当たりにしてショックを受けてしまった。2020年、無観客でパフォーマンスを届けていた彼らは、どれだけ心細い思いを抱えてステージに立っていたのだろうか。 

10周年の彼らは多くを望むわけでも、大きな野望を口にするのでもなく、祈り願いながら今と向き合っていた。

Sexy Zoneがドームに立つ。

その発表があったのは今年の夏のことだった。今年もツアーは4人で行われ、勝利くん不在の横浜アリーナで、私自身も夏の暑さにくたばっている中、Twitterのレポで知った。

ドームはもともと10周年を目指して企画が走り出していたという。ドームに限らず、再び5人がそろったあの短い期間に、Change the worldの作詞が行われていたり記念品の初回会議も行われていたことから、10周年へ向けての計画が早くから動きだしていたことは想像できる。

ご時世的な問題でドーム公演は実現が難しい状況にあったが、2022年のアリーナツアー前に、スタッフさんからドームの話をされたという。

Sexy Zoneがドームに立つ。

全く実感はないけれど、ウソみたいとか信じられないという夢見心地で浮き足立った気持ちとは少し違っていて、初ドームの前の私は、想像以上に粛々と毎日を過ごしていた。

一度は夢見た東京ドーム。いつか想像したその場所は、その時は、夢でありながらも日常の延長線上にあった。そう感じられたのは、12年目の彼らはとても現実を生きて、ひとつの夢を叶えようとしていたから。

「今で良かったと思える公演にしないといけない」


ドームが決まった後のインタビューで風磨くんはそう言っていた。

『Forever Gold』という曲を手にしてここへ立てることになったのも、何かの縁なのかもしれない。

「青春時代をノスタルジックに振り返りつつも、いくつになっても変わらない情熱の輝きがある」


楽曲発表時から謳われていたメッセージの意味がこんなにSexy Zoneと重なる形で届くとは。

月日を重ねるほど、出会う人が増えていくほど、たくさんの想いが生まれていく。自分たちの歩んできた歴史も、大切な思い出も、誰かの心に刻まれた一瞬も、全て抱えて今このステージに立っていて。あのタイミングで彼らが歌う『Forever Gold』には今のSexy Zoneが出した答えが詰まっていると思った。


多くを語らず先陣を切ってきたケンティーが「本当にいろんなことがあって、今もいろんなことがあるけど」と話し、この瞬間の幸せを受け止めて涙を見せたこと。

話したいことがありすぎてうまくまとまらなかったと前置きしながら、勝利くんが使命としてグループの次の大きな夢を誓ったこと。

応援の力を信じている聡ちゃんが、自分と上手に付き合いながら、誰かの背中を押そうとアイドルとして立っていること。

夢が叶うことの幸せはもちろん、みんなと一緒に夢を見ていた、夢を見られる、かけがえのないその時間の尊さを風磨くんが教えてくれたこと。


日常を生きること。そのハードルも上がりつつあるけれど、この日に見た輝きを心に焼き付けて、お互いに毎日を生きた先に、また同じ場所で夢を見られたらいいなと思う。

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