『Maybe』と自担と私と

作間龍斗くんが、Spring Paradiseでのソロ曲にMaybeを選曲した。衝撃だった。やりやがったと思った。Maybeは私にとって非常に大切な曲だったから。


2015年夏、私は突如V6にハマった。(数年ハマっただけなので決して詳しくはありません。解釈違いにはご容赦ください。)何のタイミングでハマったのか覚えていないが、三宅健くんに、というか剛健というデカすぎるシンメに出会った。多分20周年イヤーでTV出演が多かったからハマったのだと思う。中学2年生で37歳の男に恋をしていた。ラブセンに狂った。まあそんなことはどうでもよくて、そんな時既に菊池風磨くんのオタクをしていた私は彼の初ソロコンのセトリに『Maybe』が唯一のV6曲として取り入れられていたことに感動した。素直にオシャレな曲で好きだったから。だけど風磨くんはライブにストーリーをつける人で、ウザいくらい意味を持たせてくるから歌詞をまじまじと読み返した。彼のその年のライブタイトルは「風 is a Doll?」だった。人形のように誰かに操られているのは誰だ、そんなつまらない人生は嫌だ、だけどそうもがいていることすら誰かの掌中なのでは無いかと葛藤するストーリーだと捉えた。『Maybe』もそのストーリーの一端となる。


" Maybe 「もう二度と恋はできないなんて」悲しみを味わった胸知らず臆病に 誰かと触れ合う時も求め合う時にも 冷静な自分を隠し持つようになってしまったのは いつから...? "

笑ってしまうくらい、風磨くんだなと思った。誰の目も気にせず俺は好きにやるんだと言って暴れているようで、どこか客観的にその自分の姿を見つめて恥ずかしくなって冷静になる。どうにか自分の行動に理屈をつけて納得させる。その繰り返しが菊池風磨だから。多分、結局自分は操り人形で誰かに笑われているのだと冷笑的に見ていて、だったら思い切り笑ってくれよと腹を括っているはずなのに、今でも、時折寂しそうに本当の自分って何だ、分かってくれてる人はいるのかという不安が顔を出すのだろう。矛盾、してるよね、いつも。

オタクって自担と自担の共通点はシンプルに嬉しい生き物だと思うから、中学生の私は舞い上がって何度も『Maybe』を聞いていた。


そして2016年春、私はそんなこんなでクソ田舎の中学校から修学旅行で滝沢歌舞伎を見に行くことになった。これを説明していたら長くなるので省略する。迎えた修学旅行前々日、おそらく滝沢歌舞伎の初日。三宅健くんが足に怪我をした。健くんがいない公演が続いて、「ああ、私健くんに会えないんだ」と放心状態で足を踏み入れた新橋演舞場で、彼は舞台に立っていた。椅子に座って取り憑かれたように舞台の上で表現していた。そこで自己紹介として選曲したのが『Maybe』だった。足が動かせないから板付きで、そこから動かずに手話で表現する姿が人形のようで、でも表情があまりにも豊かで苦しくて意思を持っているのに枠から抜け出せない、健くんの矛盾葛藤を見た気がした。彼は動かない人だ。世間にどんなイメージを持たれても、プライドが高いはずなのにケラケラと笑って、俺の本心は誰にも知られたくはないというようにどこか心を閉ざしている人だ。でもいつも訴えていた。アイドルという固定概念を自ら尊重して不自由な道を選び、自分のせいだと責任を感じて十字架を背負いながら自分の本来の姿をもがき訴えていた。健くんの生き様を表した一曲のパフォーマンスだと思った。それは紛れもなく健くんとの最大の思い出だった。つーか、怪我をしてまでも舞台に立つ決断をしたのは剛くんが嗾けたからだって最近知ったんですけど...これだから超ド級シンメは....


そんなこんなで、私は『Maybe』に可笑しいくらい思い入れがあった。なのにさ、

2022年春。お前もか作間龍斗。しかもさ、似合いすぎなんだよ。

作間くんは、言わずもがな矛盾の人だと思う。安定した生活を望み、普通の人間になりたくて、でもアイドルを続けたい人。アイドルを続けたいというか大切な人と一緒にいたいから、その日常を維持するためにわざわざ果てしない険しい道を行く人。作間くんは、明確な未来を示さない。というか本人が上手く描けないのだと思う。逆に「今、何をしたいか」という欲求、手に入れたいものは沢山あるのが子どもらしくて可愛いと思う。手に届く範囲で手に入れられたらいい。そう思いながらもたまに大きな夢も描いてみたりする、だろう。あまりこちらには教えてくれないだろうけど。敷かれたレールの上を歩くことにあまり抵抗は無い。操り人形だと言われても大して反論したりはしないと思う。しかし、自分にも自我はあるのだとたまに主張したくなる。冷静で、臆病な気持ちを上回るほどの激情や不確かな感覚が溢れ出す。

" I'm in love 思い出す刺激と感覚 I'm in love 遠ざけては追いかけていたもの I'm in love アフレダス 「I just wanna stay with you...」I'm in love 不確かなものでもいいから Give me your love "


要するに、私は矛盾してる人、葛藤してる人、に惹かれるのだと思う。だからこそ『Maybe』が三者三様の形で似合ってしまっている。彼らの選曲に天晴。私は当分この曲に苦しめられて、それからこの曲を愛すのだろう。

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