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2024/03 ベトナム・タイ旅行[5] 3月27日(1) カンチャナブリ~泰緬鉄道

あらすじ:非冷房の列車に揺られ、タクシーおじさんに先回りされ、炎天下の中でカメラを構え続けてチャイナタウンに感動した話。

クッソ早起き

2024-03-27 5:30
 もっと早く起きてしまっていたが、うまく二度寝できず、宿をチェックアウト。ロビーで子供が寝ていて、アラームが鳴っていた。私のためだろうか?起こすのも申し訳ないので、鍵にチップを挟んでテーブルの上に置き退出。

ワンワン!!という声がまさかすぐ背後で繰り広げられているとは思わなかった

宿は住宅街の外れにあり、すでに少しずつ街が動き出しているようだった。 宿を振り返ると月が綺麗に輝いていて、思わず撮影。...していたら周りから多くの犬の吠える声が聞こえる。首輪もリードもない。野犬か?今にも襲ってきそうな状況で気が気でなかったが、睨んだり挨拶したりして難を逃れる。

月は何処で見ても同じ姿なんだなぁ(イケボ)

大通りに出ると野犬も減る...こともなく、冷や汗と共に早歩きをしてカンチャナブリ駅へ。 「ナムトクまで」 「何人?」 「ひとり」 「100バーツね」 地元の人は50バーツもしないそうだが、外国人は100バーツらしい。名倉潤なら地元価格で乗れただろうか?

大通りに出ると野犬も減る...こともなく、冷や汗と共に早歩きをしてカンチャナブリ駅へ。
「ナムトクまで」
「何人?」
「ひとり」
「100バーツね」

地元の人は50バーツもしないそうだが、外国人は100バーツらしい。名倉潤なら地元価格で乗れただろうか?

車内に電球は!?ないんですか!?(このあと点灯した)

「2番線ね」
言われた通りに進むと、一本の列車が照明もなく佇んでいた。中に乗客らしき人がすでに乗っていたので声をかけてみた。

「これはナムトク行きですか?」
「ถูกตัอง. กรุณาขี่นี้😄👌」

まあ、そう書いてあるし…

笑顔で答えてくれて嬉しかったが、返事がタイ語だった。まぁこれ以外列車はないので乗車。

せっかくなので列車の写真を撮りにいこうと先頭車両まで移動し、ご尊顔を収める。 タイに限らず、海外の駅のホームは日本のそれに比べてかなり低い位置にあるので迫力を感じる。夜明け前の貴重な一瞬を切り取ることができた。

車内に立ち入り、席に着く。冷房はなく、椅子も板張りで、クッションはない。現役の中では比較的古い部類の車両。発車までは照明も一部のみの点灯で、乗客の数もまばら。夜明け前というのもあり、まるで夜汽車の三等車のようだ。

程なくして長い汽笛が鳴り響いた。午前6時すぎ、ナムトク線の始発列車は定刻でカンチャナブリ駅を発車した。車窓からは早速先ほど見た月が出迎えてくれた。熱帯植物に遮られながら眺める月はまさに旅といった風情である。

昨日立ち寄ったクウェー川橋を低速で通過する。昼間と違い観光客もおらず、静かな雰囲気で「現役」の姿を偲ばせる。
橋を通過すると、列車はナムトクを目指して速度を上げていった。 冷房はないが窓は全開で風が入り、まだすこしばかりの涼しさを感じる。巻き上がった砂が目に入るのはご愛嬌。

夜明けの大地を走る、走る。


列車は窓はもちろん、ドアも全て開けたまま走っている。当然走行中も降りちゃったりできるが、それは降車ではなく転落で、結果は想像の通りであろう。車両間の造りもとても簡素で、日本で言えば昭和中頃までの旧型客車列車のようだ。

この真ん中を通ってトイレに行くのは勇気が必要

途中、逆方向からの列車を待ち合わせるためワンイェン駅で停車をした。本来ならすぐに発車をするはずだが、遅れていたようでしばしの足止め。

ワンイェン駅にいたワンカス

しばらくすると駅員がホームに出場したのでカメラを構えていると現れた。

対向列車はナムトク発トンブリ行き始発列車。15分ほど遅れたが、個人的には(このあと予定がガラ空きなので)好都合である。
トンブリとはバンコクの中央部から少し外れた小さめのターミナル駅。かつて存在したトンブリ級巡洋戦艦と由来は同じなのだろうか。

道中の駅では保守用車両が放置されていた。ぱっと見プラッサー&トイラー製のマルチプルタイタンパーに見える。日本でもほぼ同型の車両が活躍しているが、タイでは扱いきれなかったのだろうか...? 線路の保守状態は悪くないので、別の理由があったのかもしれない。

山間の路線をイメージしていたが、終点まで断続的に平地を見かけた。キャッサバだろうか?成長の真っ最中であった

こんな朝っぱらなのに、大勢の旅行客が乗車をしてきた。団体でバズで乗りつけたのだろうか。それもそのはず、ここからがこのナムトク線、及び泰緬鉄道のハイライト、クラセー橋を通過するからだ。

クラセー橋、正式名称はアルヒル桟道橋。前日に訪れたクウェー川橋とともに、日本軍の指示により建設された泰緬鉄道のうち、特に過酷で多くの犠牲者を余儀なくされた箇所である。崖っぷちをダイナマイト爆破し、切り通しとわずかな平場に架けられた。

日本人としてはどういった感情で表現すればいいか微妙ではあるが、この路線のハイライトなのは間違い無いだろう。幾度の改修を経ているものの、橋脚は木製。地盤も不安定な上に一般人も大勢立ち入るので、列車は超低速で通過する。見ての通り、観光客でいっぱいである。

さすがに窓から自撮り棒は飛び出し過ぎじゃないか。他人のこと言えないけど。

橋を渡った先に駅があり、団体観光客はここで下車。私は終点のナムトク駅まで乗車するので、再び静かになった車内で過ごすこととなる。

少しだけ商店が点在するワンホー駅を発車してしばらくすると、いよいよ終点のナムトク駅。 ナムトクとは「滝」という意味で、その名の通りで駅から北西の方向にサイヨークノイ滝がある。

少しだけ商店が点在するワンホー駅を発車してしばらくすると、いよいよ終点のナムトク駅。 ナムトクとは「滝」という意味で、その名の通りで駅から北西の方向にサイヨークノイ滝がある。

地元の人々と観光客は1:3といったところか。駅に降りるとみなそれぞれの方向に去っていく。

観光客もほとんどが団体旅行なのか、駅のロータリーに止まっていたクソいかついバスに吸い込まれていった。

私は完全に不審単独旅行者なので、まず駅の周りを眺めまくる。程なくして乗っていた列車が機回しのため移動を始めた。 日本で見慣れた普通の電車と違い、機関車が客車を引っ張る列車では、終点の駅で先頭の機関車を反対側に付け替える必要がある。これを機回しという。

そういった設備が必要なため、日本でも古くからある終着駅は線路や敷地が広く取られていることが多い。というかこの路線は日本が設計したものなので、構造が似通っていて当然かもしれない。

列車が奥の線路に移動したことを眺めつつ、駅前のトイレで用を済ませる。有料で3バーツ。衛生面は申し分なし。

連結器が日本の客車列車と同じ方式だった。バッファ(緩衝装置)がちょっと厳ついのが客車列車中心の運用を感じさせてとても良い。 見た感じブレーキ管しか繋がってない。最低限の装備なのも良い感じだ。

何人かのツアー勧誘やタクシーの声を一旦シカトしつつ、サイヨークノイ滝を目指す。タクシーなら5分程度だが、時間が有り余っているので歩いて行くことにする。 、、、と、背後から怪しい車の影。私の横を低速で通過した後、路肩に停車しておじさんが降りてきた。

ちょっとめんどくさそうだなと思いながらいると、声をかけられた。
「どこいくの?滝?」
「滝を見に行ったあとクラセー橋に行きたい」
「ここから滝までは無料でいいよ」
そんなことはないはずだ

「時間がめっちゃあるんだ。だから歩いて行こうと思う。ここに戻ってくるから、そのときに頼みます」

「クラセー橋までは500バーツだ。ここから20kmもあるから、滝の往復分はお金いらないよ」
印刷された価格表を見せてくれたので、ふっかける気はないのはわかって一安心したものの、うーん、ちょっと高い気もする。

「後でまたくるから!」

と言い残し、半分逃げるような感じで振り切ってしまった。

追っかけてこなかったなぁと思いながら歩みを進める。さっきのクソいかついバスが大通りの方に曲がっていったのを見て、私は滝への近道として細い田舎道を歩くこととなった。

徒歩15分ほどで目的地のサイヨークノイ滝についた。階段を登ろうとしたその時「そっちじゃないよ、入り口はこっちだ」と声をかけてくるおじさんがいた。
さ っ き の タ ク シ ー の
お じ さ ん じ ゃ ね ぇ か

続く。

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