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就職に繋がるMaster CFIの具体的な活動内容

FMぎのわん「玉那覇尚也のパイロットになろう」の2022年一発目の放送でもお伝えした通り、今年はたくさんのMaster CFIを増やしたい!という気持ちです。下の写真からリンク先へ飛びます。45分ごろからパイロット教官に伝えたいことをお話ししています。

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インストラクターパイロットとして目指すところはどこなのか?

飛行時間を稼ぐ一つの方法として長年利用されてきている資格。先人たちが教官をしながら航空業界を支えてきたものは何なのか?インストラクター資格を取得したときに試験官から期待されていることは何なのか?

Master教官の取得要件をよく見てみるとその中身を知ることができるのです。インストラクターでありながら、教育者として、航空業界に貢献しなさい。そしてプロパイロットとして自己研鑽に励みなさい。ということです。

雇用主からしてみれば、その理念で行動しているインストラクターの光るものがきっと見えているはずです。

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Instructorとしての活動

航空法上インストラクターの指導が必要な項目、インストラクターでないとできない項目がたくさんあります。

以下に例を挙げておきます。

・Private PilotやCommercial PilotというPilot Certificatesに必要な訓練・座学・グランドスクール・実地試験に必要なRecommendation

・InstrumentやMulti-EngineというRatingに必要な訓練・座学・グランドスクール・実地試験に必要なRecommendation

・Tailwheel・Complex・High Performance機の訓練や座学とEndorsement

・パイロットが機長として飛ぶために必要なFlight ReviewやInstrument Proficiency Checkのフライトや座学やEndorsement

・パイロットがFAA WINGS Program(pilot proficiency program)に必要なフライトや座学やEndorsement

・パイロットが機体レンタルやフライトに必要なcheckout

・訓練進捗確認のstage check/progress check

これらはインストラクターとして仕事の中心となるものでありますが、これらからたくさんのヒントが生まれてきます。教えることで見えなかったことが見えてくる。目の前のパイロットがヒントを出してくれます。

相手を観察して何が一番ベストなのかを考えること。カスタマーサービスの基本中の基本です。

Educatorとしての活動

他のインストラクターの業務も観察し、今の何を改善したらいいのかを考えてみるのです。自分の、自分の所属するスクールの強みを見つけそこを圧倒的な強みにするには何をしたらいいのか考えてみる。同時に弱みを見つけたら改善するにはどうするかを考えてみるのです。

以下に例を挙げてみます。

・前述したInstructorの活動に必要なスライドや資料を作る

・得意科目に特化したグランドスクールを作って実施してみる

・グランドスクールに必要なスライドや資料を作る

・グランドスクールの対象を個人やグループだけではなく学校や団体に提供する

・得意科目に特化したセミナーを作って実施してみる

・セミナーに必要なスライドや資料を作る

・セミナーの対象を個人やグループだけではなく学校や団体に提供する

・自身の所属するスクールのパンフレット、マニュアル、ガイドブックなどを作って配布してみる

・自分の作成した資料をブログや雑誌の寄稿、または本を出版して公に発表する

・独自の訓練方法やアイデア、学科試験などを生み出し試してみる

・独自の分析で航空資料のまとめや報告書を作成してみる

Educatorの活動とInstructorの活動は常に紐づいています。アイデアのヒントは日常の業務とパイロットとのコミュニケーションの中から出ているはずです。意識しなければ気づかないことかもしれません。日常生活の別の分野からアイデアが生まれることもあります。私の実例をお話しします。

・訓練生のcross-country flightの確認(数字の確認)作業やweight and balanceの数字の確認をしてclearingを出す作業を頻繁にやっていました。周りの教官から「面倒だな...」スクールのフォームに合わせてエクセルでプログラムを作りました。困ってるのかな?不便かな?と思ったらチャンスです。

・米軍担当部署の職員全員受講するカスタマーサービスの授業を受けていました。全員参加型やグループワーク型をみて、自分のグランドスクールに取り入れました。

・歯医者に行って待合室で当院の特徴という情報がスライド形式で画面に流れていました。中身や表示の仕方が特徴的で見とれていました。自分のスクールにもすぐ取り入れました。

そんな事をやり続けていると上層部の人間が笑いながら「He is never satisfied」という事を言われ始めました。

Service to the Aviation Communityとしての活動

多くの航空団体が存在しています。そこに加入するだけはなく奉仕活動を実施するのです。

以下に例を挙げてみます。

・FAA Safety Teamに所属しTeamのサポートをする

・FAA Safety TeamのProviderまたはRepresentativeとして役職を持って活動する

・FAAのNPRM(Notice of Proposed Rule Making)に対して提案などのアクションを起こす

・地元の高校や大学などのキャリアフェアーのサポートをする

・航空系のWEBサイトを立ち上げる

・AOPA・EAA・Young Eagle・CAPなどの航空団体の活動のサポートをする。役職に就く。

・新米CFIへのアドバイスをする

・パイロット訓練生や希望者に対してアドバイスをする

これらの活動を通して、さらに広い視野と深い知識が身に付きます。情報の宝庫です。アイデアの宝庫です。何よりネットワークの幅が大きく広がり始めることに気がつくでしょう。

Professional Activityとしての活動

A good pilot is always learningという言われるように自身の知識技術向上に努める活動です。

以下に例を挙げてみます。

・新しい飛行機やアビオニクスのトレーンニングを受ける

・Safety Seminarに参加する

・新しいCertificate/Ratingに挑戦する。

・Ground Schoolを受けたり訓練を受けたり実地試験を受ける

・新しいEndorsementに挑戦する。

・大学の授業(航空関連)を受ける

・飛行機を飛ばして旅行(cross-country)をする

・ネットや学習教材による自習方式の講座を受講する

・FAA WINGS Programを受けてレベルを上げる

・自身のFlight Review・IPC・checkoutなどを受ける

これら外部からの情報を取得することで、InstructorやEducatorとしての知見が広がり、Aviation Communityへのサービス内容が改善させることもできます。そして何よりネットワークが一気に広がります。自分の名刺を持っていって積極的に行動しましょう。

最初のステップはAssociate Master CFI

最低でも16単位の活動時間(Master CFIは32単位)が必要です。1単位は約15時間なので、全部で240時間の活動が必要です。1年間で実行しようと思えば週に5時間弱でいいのです。全然クリアできる時間と思いませんか?

とは言え...教官になって1年間は必死です。がむしゃらでこんなことを考えている余裕はないはずです。そのステージを自身が経験し、多くの新人教官を見てきた経験者は語るです。

4つの活動カテゴリーに対してそれぞれ必要な活動時間が決められています。

Instructor Activity:8単位(120時間)を少なくとも2種類の活動

Educator Activity:2単位(30時間)

Service to the Aviation Community:2単位(30時間)を少なくとも2種類の活動

Professional Activity:2単位(30時間)を少なくとも2種類の活動

全ての活動を記録をとっておき証人を確保しておくことで、後でポートフォリオを作成するときに役立ちます。その方々が後述するビザ申請の推薦人になってくれる可能性もあることを忘れないでください。

Associate Master CFIの理由

通常のMaster CFIは32単位の活動時間を、CFIを取得後2年間の経験が必要ですが、Associate Master CFIには2年間の経験は不要なのです。しかも半分の16単位!経験を早く積めばAssociate Master CFIが取得できるようになっているのです。これ超朗報です!ただし実機に乗ってInstructionするDual Givenが最低でも500時間ないといけません。

別のブログでFAA Ground Instructorを取りましょうと書きました。理由はこのAssociate Master CFIに必要な活動はGround Instructorを取得していれば実績を積むことができるのです。

知ってましたか?Ground InstructorはPrivate Pilotでも未経験者でも取得できる国家資格なのです。

こうやって前倒しでできることがたくさんあることも別のブログで書きました。なぜするのか?仕事したいからですよね?でもビザの問題が?と考えてませんか?そのための方法でもあるのです。

アメリカ就労O1ビザの要件

別名アーティストビザとも言われる卓越能力技能者のためのビザですが、2022年1月21日にはバイデン政権でSTEM分野の人材へも拡大することが発表されました。パイロット教官として、パイロットとして就労ビザが取得できる可能性が高まりました。

教官として飛ぶための就労許可、通常は学生ビザのインターンシップ(研修期間)として期間が決められています。パイロットであれば最大3年間の研修期間の間に、その前に、やることをやっておくと次の光が見えてきます。

O1ビザは次の8つの中から3つあれば要件が満たされます。Master CFIの資格は②に該当します。

① 本人がその専門分野における業績を認められており、国内外で評価されている賞の受賞者であることを証する資料

② 傑出した業績をあげた者しか入会を認められない団体であるとして、本国内外におけるその分野の専門家から認められているような学会その他の他団体に、本人が会員として所属していることを証する資料

③ 本人がその分野であげた業績や成績についての記事が専門職、著名な業界紙その他の著名なマスコミ関係の出版物に掲載されたことがある場合は、その連載紙のコピー

④ 本人がその専門分野における他の者の業績や作品を審査する審査員となったことがある場合においては、その事実を証する資料

⑤ 本人が科学、学問、ビジネスの分野において本人の独創的な業績により多大な貢献をしている場合は、その事実を証する資料

⑥ 本人の専門分野を取り扱っている専門紙や業界紙、その他の著名なマスコミ紙上に本人が学術論文を発表している場合はその掲載著書のコピー⑦ 著名な団体・組織における重要な役職を務めたという雇用証明

⑧ 本人が同じ専門分野にいる他の者と比較して多額の給与その他の報酬の支給を受けているという事実がある場合は、その事実を証する資料 

Master CFI取得要件の活動がどこに入るのか?

いずれかに入るように意識して活動してください。書いていることは仰々しいですが、目指すはこれです。ここを目指すことで雇用主に気付いてもらえる。気に入ってもらえる。声をかけてもらえる。スポンサーになってくれる。ビザが取得できる可能性も高まる。ということです。

パイロットになるための準備期間(実機訓練前の期間) (5)

就職につながるMaster CFIへの道を理解していただけましたか?

何より自分の目の前の訓練生が喜んでくれるのです。人のために行動することが回り回って自分に帰ってくる。「与えられる者は与えられる」です。

そのためには今回提案したような別の視点で行動することも必要ですね。そうやって訓練生がドロップアウトしない業界を作り出す。航空業界が盛り上がっていくことを私のMaster CFIの活動として実行しています。







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