Instrument Rating訓練費用試算目より大切な事 パート①
プライベートパイロットの訓練コストはどれくらいか?では関わる要因がいくつかあると書きました。
・訓練をどこで受けるかと言う生活費
・飛行機や教官の1時間当たりの費用
といった一度場所とスクール決めるとあまり変わらない費用
・年齢
・英語力
・事前準備
・訓練期間中の勉強時間
・予定している訓練期間
といった個人差がある費用があると書きました。
詳細はプライベートパイロットの訓練コストは?を参照にしてください。
プライベートパイロットの要因に加えて、Instrument Ratingについても関わる要因があります。
FAA Part141かPart61か
航空法上設定された資格取得要件が大きく変わります。Part 141では訓練時間が35時間とシンプルですが、Part 61では機長としての野外飛行を50時間、計器飛行時間を40時間などと要求されている一方訓練時間はたったの15時間。
Part 61の必要要件それぞれ合計すると105時間になりますので、Part 141と比較すると3倍にもなる!と驚いた方もいると思いますが、実際にはそのようなことはありません。なぜならそれらを組み合わせて実施できるからです。
その組み合わせ方次第で差が大きく変わります。とはいえPart 141の35時間になるはずはありません。
結論としては費用だけ見るとPart 141の方が安い。前提としてその35時間で終わるのであれば、です。とりあえず資格取得だけを目指す人にとってはベストな選択肢かもしれません。帰国して計器飛行証明の書き換え訓練では免除される科目も出てきます。ほんのほんの少しだけですが....
プライベートパイロット訓練時に最低3時間の計器飛行時間の訓練を受けている人であればその大変さに「自分には無理かも...」と思うかもしれません。なのでここもプライベートパイロットと同じような様々な要因で時間が大きく増える可能性があります。そうなるともはやPart 141のメリット消滅してしまう可能性もあります。
何のために資格取得を目指すのか?この本質を考えてみるべきです。
この視点は個人差がありあくまでも私の持論として捉えてください。同じような考えを持っているたくさんのパイロットもいることも事実です。そのパイロットたちの共通点は空を楽しむことを知っている点です。
飛行機の操縦技術をマスターして、空の世界を楽しんで、まだまだ基礎訓練課程の一つであるInstrument Ratingを楽しみたいかどうか?
プライベートパイロットで習得した技術をマスターしたくないですか?
Normal Takeoff and Landing
Short-Field Takeoff and Landing
Soft-Filed Takeoff and Landing
Go-Around
Forward Slip to a Landing
Steep Turns
Ground Reference Maneuvers
Pilotage and Dead Reckoning
Navigation Systems and Radar Services
Lost Procedures
Maneuvering During Slow Flight
Power-Off Stalls
Power-On Stalls
Emergency Descent
Emergency Approach and Landing
Systems and Equipments Malfunctions
Night Operations
これらはプライベートパイロットの訓練や試験で実施する項目の中から抜粋しました。全て操縦の基礎です。何度も何度もブラッシュアップして試験に臨む項目です。逆にいうとそれでは練習が必要な項目であり、練習を止めるとその技術は落ちてきます。だってまだ数十時間の飛行経験しかないのですから。
車の免許だって合格後に運転しない期間があり、運転技術に自信がなくなりペーパードライバー化している方いませんか?同じです。一方何年も運転しているとしばらく運転しなくとも体が覚えています。飛行機も同じです。アメリカではRusty Pilot用のブラッシュアップコースもあります。
Cross-Country Flight Planning
National Airspace System
プライベートパイロットの訓練では後半になると野外飛行の訓練をしますが全体の一部でしかありません。しかし実技試験ではみっちりオーラル試験で絞られますので、訓練後半と試験直前は結構な時間が取られる領域です。
Instrument RatingにもCross-Country Flight Planningはありますが、プライベートパイロットのものとは全く違います。
プライベートパイロットはVisual Flight Rules(有視界飛行方式)と言って外を見て飛ぶ方式なので、地図を周りを見比べて飛ぶことになります。自由な飛び方です。山を避け、市街地を避け、空域を見分け、天気も気にしながら、計画を作るのです。
Instrument RatingはInstrument Flight Rules(計器飛行方式)と言って雲の中や視程の悪い状態でも飛べるように、国が定めたルートや高度、そして管制官の指示に従って飛ぶので、VFRに比べると自由度はかなりなくなります。
飛行機を自由に操り性能限界を体にたたき込み、頭の中も3次元で計画できるようになったプライベートパイロットの知識と技術です。トレーニングジムで鍛えたボディが数ヶ月も何もしないと衰えていくのと同じように、その世界から離れてしまうともはやペーパードライバー化への道へ....
FAA Part 141のカリキュラムではそのような過去を振り返る時間などないのです。一気にInstrument Rartingへの道へまっしぐら。その分Commercial Pilot課程で多くのフライトをしますが、前半はひたすら野外飛行、後半に一気にレベルの高いCommerical Maneuversを実施します。常に高いレベルのフライトを求められるカリキュラムと言えるでしょう。
玉那覇が試験官だった頃に定期的な試験官会議での他の試験官がぼやいてました。Instrument Ratingの実地試験のオーラル試験での話。プライベートで習った基本的なこと忘れてて次に進めなくなってしまったから不合格にせざるを得なかった。Instrument Ratingってプライベートパイロットの基本資格に追加する資格ってわかってんのかな。
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