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元FAA試験官として思うこと(任命までの過程編)

玉那覇は2000年から2013年までアメリカ連邦航空局から指定を受けて試験官業務を日本と韓国で実施していた。期間後半はアジア地区で書類上の試験官業務を所属していたサンフランシスコ国際支部から指示を受けてシンガポールやマレーシアでのFAAパイロットの試験業務を実施していた。

よく聞かれるのが、どうやって試験官になったんですか?という質問。

今は任命制度も変わっているようだが、当時のシステムで私の実例をお話ししたい。

FAA試験官になるまでの過程を今回は書いてみた。

最近特に思うのは、アメリカ以外の試験官の話を聞いてみたい。同じ空の安全を守る者として、本来であれば同じポリシーで実施されているはず。その違いがあれば知りたい。勉強したい。

応募条件

FAAが定めている飛行経験や教育経験をクリアしていることがまず第一ステップ。基本的にはFAA指定養成施設141 Pilot SchoolのChief Instrutorと同様の条件と思っていい。

多くの見極めをした経験値が必要ということ。Chief Instructorとして訓練の管理経験と同時に、FAAからの監査も受けるという経験しているということ。FAAが何を求めているのかを十分経験した機会を持っているということ。Chief Instructorに限らず、人を審査する経験とFAAから審査される経験を持ち合わせることで「人を審査する目を持っている」が応募の基本条件となる。単純に飛行時間があるとか、教官資格があるとか、教官経験があるから、エアライン経験があるから、というだけでは不十分なのだ。

アメリカ以外はどうなのだろうか?

FAAの考え方

当時も今もFAAの考え方は、年間膨大な数のパイロット試験は民間人に委託する!というもの。そもそもそれをFAAの公務員審査官がやっていることは到底無理な数。FAAは試験以外の業務に集中するという考え方。これは後述する研修会でも徹底的に教え込まれた。民間人にFAAの権限を委託するということ。下手なことすると当然刑務所行きだ。

パイロット受験希望者を優先させるという考え方。受験希望者に対して試験の機会を一定日数以上待たせてはいけない。受験するのにある距離以上移動させてはいけない。という考え方。確か当時は2週間以上待たせない。50マイル以上移動させない。だった記憶が。

アメリカ以外はどうなのだろうか?

需要動向を把握しているFAAは、地域ごとのデータを把握しており、その需要に応じて試験官の人数を調整しているということ。

試験官希望者が提出する応募書類はFAAの本部で、色々なカテゴリーで点数化されトップから並べられている(そうだ...というFAAの話)

ある地域で一人必要と判断されたら、その地域にいる希望者を抽出して、上から数名ピックアップして、ふるいにかける。

私は超・超・超ラッキーだった。アジア地域で、しかも日本国内で受験希望者として登録されているのは、おそらく他にいなかったんじゃないだろうか(笑)聞いても教えてくれなかったが... そして前任者からの推薦状や現職の米軍組織からの推薦状が大きく貢献したと思う。決して私の力ではない。

そのピックアップされた希望者に対してFAAから連絡がいく。「あなたは候補者として選抜されました。必要な学科試験と指定された研修会を受講の上、〇〇航空局審査官と試験を受けてください」というような内容の連絡がくる。

アメリカ以外はどうなのだろうか?

学科試験

Private Pilotなどと同じように選択式のコンピューターによる学科試験がある。全米各地にある試験センターで予約をして、会場によっては当日アポ無しでも受験可能なところも多くある。

研修会やFAAでの実地試験

これが面白かった!きつかったけど超勉強になった!

次回はここの詳細をお伝えします。


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