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費用対効果の高い質問の方法

わからないことを質問することは大切なことというのは誰にでもわかることです。質問する相手がプロの教官パイロットです。教えて報酬をもらうことのできるプロ人材です。その方々に時間をかけて教えてもらうのですから費用が発生するのは当たり前のことですので、できるだけ費用対効果の高い方法で学習することがいいでしょう。教官の立場でこれまでたくさんの訓練生の質問をみてきました。十人十色とはよく言ったもので、質問にも個性が出てきます。

・Yes or Noで答えられる質問で終わる人

・一つの質問で終わる人

・一つの質問から派生して質問してくる人

・質問の根拠となるストーリーを準備してくる人

・質問からディスカッションへレベルを上げてこれる人

・なぜ?という質問を連発できる人

質問から得た知識はパイロットとして命に関わること

何のために質問するのですか?

わからないからです。と回答が聞こえてきそうです。

わかったらどうなるのですか?

学科試験に出るからです。オーラル試験で聞かれるからです。と回答が聞こえてきそうです。

それってテスト対策ってことですか?

もちろんテスト対策もある程度は必要かもしれません。でも究極としてはパイロットとして飛ぶための必要な知識であることを忘れていけません。

それを知らなければ下手すると事故に直結し命に関わることになるかもしれないのです。

無駄にならない費用対効果の高い質問の方法をお伝えします。そのためにはFAA Aviation Instructor Handbook Chapter 3でも明記されいて、FAA Practical Test(実地試験)のオーラル試験でも試験官が質問する方法を理解しておくことをオススメします。

学習の4つのレベル

ROTEのレベル

記憶している状態の理解度レベルです。物を指し示してこれは何か?という質問に回答できるレベルです。学習はここのレベルから始まります。

例:海面上での標準気温について述べよ(教科書通りに記憶すれば回答できる)

UNDERSTANDINGのレベル

本質を理解しているレベルです。ROTEレベルの質問からの回答に対して「なぜ」という質問で試験官は切り込みます。

費用対効果の高い質問を教官に投げかけ回答をもらった時には、必ず「なぜ」という理由を聞くべきです。そこがいつか絶対に必要になってきますから。

例:なぜ航空では海面上の標準気温という考え方が必要なのか?(標準気温の背景を知る必要が出てきます)

APPLICATIONのレベル

本質を理解した上で応用ができるレベルです。UNDERSTANDINGレベルの質問からの回答に対して「それではこれではどうなる?」という質問で試験官切り込みます。

費用対効果の高い質問を教官に投げかけ回答をもらった時には、必ず「なぜ」そして「この場合は」という理由を聞くべきです。そこがいつか絶対に必要になってきますから。

例:標準気温の考え方を使って、密度高度4,000フィート上空では気温は何度になってる?(標準気温の使い方を知る必要が出てきます)

ここまでのレベルが学科試験合格には必要です。

この3つのレベルをしっかりとマスターしておくと学科試験では三択問題なのであまり心配なはいと思います。しかし、実地試験のオーラル試験ではこの3つを前提として質問をした上にシナリオという次のレベルの理解度が要求されます。

CORRELATIONのレベル

試験官が提示したシナリオに対して応用ができるレベルです。APPLICAITONレベル質問からの回答に対して切り込む場合もあれば、提示されたシナリオに対して自主的に行動している様子を観察する場合もあります。

一人のパイロット(機長)として準備作業に着手する様子をイメージしてください。

どの飛行機を使って【What】誰が(パイロット)誰と(乗客)【Who】どこからどこへ【Where】いつ何時【When】どうやって【How】なぜ【Why】という要素が必ず含まれているはずです。それらをシナリオという形で試験官は提示します。

友達とキャンピングカーを借りて遠出をしてキャンプをするというシナリオに似てますね。その時に上のような要素を考えませんか?そのキャンピングカー誰が運転するの?運転できるの?何持っていく?途中どこで休憩する?どこでご飯食べる?出発時間どうする?到着時間どれくらいなる?どのルート通って行く?

車の場合地上を走る。何かあれば駐車して考える。飛行機の場合空の上で3次元の世界。何かっても止まれない。という違い。更には飛行機の場合それぞれの要素に法律的な縛りもあります。もしも...の考え方を常にします。

シナリオが与えれると準備作業に着手します。情報を探します。情報を分析します。計画を作成します。その途中課程や完成した計画を元に試験官はROTEからCORRELATIONレベルまでの質問をしていくのです。

例:与えられたシナリオを元に、標準気温の考え方を使って、密度高度を調べ、温度を把握し、飛行機の性能計算に活用しているか?というのは質問をしなくともこのレベルになればできていることです。作成した計画書には数値が書き込まれているはずです。

これはなに? なぜ? どうやって? この場合の理由は?

この試験官の質問を同じように質問として教官へ投げてください。

質問するリストとそれらに対する自分の考えを準備しておく

自分なりのUNDERSTANDINGレベルやAPPLICATIONレベルの知識を整理しておきましょう。その根拠を準備しておきましょう。

もしかすると整理しながら、根拠を調べていくうちに答えが見つかる可能性もあります。もしくは教官との質疑応答の中でその資料から、教官側から訓練生側の勘違いが発見されることがあります。何より質問を準備しておくことで時間のセーブになります。

時は金なり=教官時間は有料です

限られた時間でたくさんの知識を得て理解レベルのアップを目指しましょう。

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