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航空無線通信習得の極意は?て聞かれるので

パイロットとして管制官との無線通信の交信は必須ですが、最初はどうしても乗り越えなくれはいけない障壁がいくつも出てきます。

英語

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通信用語は全て英語ですので、全く英語が分からないのであれば問題となりますが、基礎的な英語で十分対応可能です。もちろん英語力が高ければ高いほどいいと思います。しかし英語を母国語とする人たちにとってはここは問題ないのですが、次からの障壁が現れてくるのです。玉那覇が担当したそういう方々の100%の訓練生が壁にぶつかってました。彼らに言いました。「あなたアメリカ人でしょ?聞けないの?話せないの?」彼らはこう答えました。「これは英語だけど英語じゃない!」

航空英語

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確かに言語の分類は英語に類されるでしょうが、数字のオンパレードは暗号に聞こえます。言葉の並びをシンプルにした構造に加え、航空専門用語を理解するためにはフライトそのものを知っておかないと意味不明なものです

N12345, Climb and maintain 5,000, turn right heading 040 to join Victor 197, squawk 4323, contact center 135.5.

いきなりこんな全部を一気に言われることはないのですが、まあこんな内容が機関銃のようにバンバン飛んできます。 確かに英語ですが英語じゃない!とアメリカ人が言うのも理解できるのではないですか?我々日本人でも難しい専門的な会議で専門用語が飛び交っている内容聞き取れても意味が不明。と同じです。

なので英語を母国語とする方々も通信の裏にあるオペレーションの仕組みを理解することができないと意味不明ということなのです。それで仮に聞き取れ理解ができたとしても、通信を返す、つまりこちらから話すということは簡単ではありません。事前に言うことを書き込んだカンニングペーパーを作って訓練に臨むアメリカ人がほとんどでした。

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事前に相手がどこでどのタイミングで何を言うのか?自分がどこでどのタイミングで何を言うのか?と言う最初のステップを考え始め、なんとかクリアできるのも自分が普段飛んでいる空港だからです。周波数も同じ、場所も同じ、流れも同じ、だからできることなのです。

航空無線通信

これが他の空港にいった場合、他の空域にいった場合、特にトラフィックが混んでいる空港や空域にいくとなると一気にハードルが上がります。これは英語を母国語にしているパイロットであろうとやはり慣れが必要になってきます。最近はLiveATCなどのネットサイトから航空無線が聴けるようになりました。ここでは耳を慣らすと言うことにおいては一つの解決策になるでしょう。問題はその中で自分から発信する、そして管制官からの指示に対応すると言う慣れも必要ということです。

良くやる方法が地上で訓練生とインストラクターが練習するものです。インストラクターが管制官役となって色んなパターンを練習します。最近普及しているフライトシミュレーターでも同じようにインストラクターが管制官役を兼任して練習しています。

それでも実際のフライトではできない

無意識のうちに訓練生は管制官は隣にいるいつものインストラクターであり安心しているのです。リアリティーがないのです。

玉那覇がシミュレーターを活用して日本人に事前準備の訓練を提供し始めたのは2008年。まだデスクトップ型の小型シミュレーターではありましたが、操縦桿やスロットル類、ラダーも無線のスイッチもついていましたので、フライトの技術習得には全く問題なかったです。事実アメリカ側の教官からは無線通信以外は完璧と言わしめるほどのできでした。逆に言うと無線通信は私が管制官役をしていたのですが、やはりリアリティーにかけていたのです。その後もフライトシミュレーターが高性能になり、装置の規模もリアルになっていくものの、無線通信だけはリアリティーにかけている状態が何年も続いていました。

リアリティーを追求するより効果の高い訓練

フライトシミュレーター上のバーチャルの世界ではありますが、同じ空域や空港を飛ぶ飛行機とパイロット、そしてそれらをコントロールする管制官が存在することができるようになったのです。パイロットも生身の人間。管制官も生身の人間です。

管制官役の人間はFAAの方式基準に従って航空管制をするトレーニングを受けている人間なので、いわゆるゲームの世界で素人が管制をするわけではありません。一方パイロットは素人もいればプロパイロットもいます。フライトシミュレーターの中での話です。

そのシステムを使うためには、本物フライトと同じようにフライトプランの登録から始まります。そして空港のランプに飛行機を駐機した状態に設定し、空港で指定された無線周波数を設定して自分から通信を開始します。その時には管制官と他のトラフィックのパイロットと通信をしている可能性もありますので、実フライトと同じようにその通信の終了を待ってから、自分の通信を開始します。管制官からの返信があればそれに対して通信を開始します。管制官からの指示が理解できなければSay Againとして聞き返すことは実フライトと同じです。

日本人が最も不得意とする航空の勉強が航空無線通信です。英語を母国語とするパイロット訓練生でさえ苦労する領域です。これをアメリカ現地に渡ってから、もしくは実機訓練に移ってから初めてやるのと、事前に練習をしておくのでは雲泥の差、天国と地獄の差が生まれることは容易に想像できるでしょう。

国際民間航空機関の要求する英語力

パイロット同士のコミュニケーション、例えば機長と副操縦士や訓練生と教官や試験官など。パイロットと航空関係者とのコミュニケーション、例えばパイロットと航空局の気象情報担当者や飛行計画や情報の担当者、整備士や地上職員などとのある一定以上のコミュニケーション能力が要求されています。それらはある意味内部でのコミュニケーションと考えられて、各国または各航空会社、そしてフライトスクールなどで基準が設けられています。

一方で、オペレーションについては世界基準が必要です。そう言う意味では一番難易度の高いパイロットと航空管制官とのコミュニケーション能力については国際的機関が基準を定めています。

国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization)通称ICAOです。ICAOの定める英語基準に達していないものは自国の空域から出てはいけないのです。前述した内部の基準もこれに近いものまたはそれ以上を求めているのが実情です。

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引用元:ICAO 

その基準はレベル4です。6項目の判定基準があり、それぞれの内容は記載されている通りです。仮にこのレベルの英語力があればすぐに実際のオペレーションができるかと言うとできません。なぜなら航空知識や航空英語の理解が必要だからです。そして無線を通して聞こえる独特の音声と通信方法についての技術を習得する必要があるのです。英語の文法を勉強しても会話ができないのと同じです。会話をする練習が必要なのです。

FSOパイロット訓練はこのようなリアリティーを追求して事前準備訓練や技量維持訓練を提供しています。

次回のFSOパイロットクラブではそのリアリティーを見てもらいます。乞うご期待。


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