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FAAの考え方を知って勉強方法の戦略を練る方がいいのに決まってる

FAA試験官をしている時にFAA検査官から言われました。

FAAが何を求めているのかを、各スクールのチーフインストラクターに伝えなさい。何だか表面的なことだけを勉強して薄っぺらい知識で試験に臨む受験生が目に付くことをディスカッションした時に出た言葉です。

「パイロットの勉強ってどうしたらいいんですか?」と訓練前の人たちから

「オーラル試験でどのような対策をしたらいいんですか?」と試験前の人たちから

昔からよく聞かれる質問です。最近の質問と回答とのやり取りを踏まえて、ここで改めて回答時に強調しているところをブログで書いてみたいと思います。

学科試験も実地試験(オーラル試験とフライト試験)も、FAAからパイロットにとって必要なことはこれですよ!とご丁寧に一冊にまとめられています。これは絶対に見ておくべき!

Airman Certification Standards(ACS)

原文を抜粋して解説します。

The FAA has developed this ACS and its associated guidance in collaboration with a diverse group of aviation training experts. The goal is to drive a systematic approach to all components of the airman certification system, including knowledge test question development and conduct of the practical test.

ここではACSが学科試験の問題作成や実地試験の実施方法などの基準になることが明記されています。だからACSが原点なのです。

The goal of the airman certification process is to ensure the applicant possesses the knowledge, ability to manage risks, and skill consistent with the privileges of the certificate or rating being exercised, in order to act as Pilot-in-command (PIC). 

ここでは実地試験時のプロセスが明記されています。試験官は受験生の知識・リスク管理・技術の3つを審査しています。これはオーラル試験でもフライト試験でも共通です。特に知識の確認という点においては次の要領が定められています。

During the ground and flight portion of the practical test, the FAA expects evaluators to assess the applicant's mastery of the topic in accordance with the level of learning most appropriate for the specified Task. The oral
questioning will continue throughout the entire practical test
.

ここではオーラルとフライト全体を通して科目の習熟度を確認しますと明記しています。そのためにはオーラルの質問は試験中継続しますよと。

For some topics, the evaluator will ask the applicant to describe or explain. For other items, the evaluator will assess the applicant's understanding by providing a scenario that requires the applicant to appropriately apply and/or correlate knowledge, experience, and information to the circumstances of the given scenario.

ここでは前述した試験中に確認する受験生の知識の確認方法が明記されています。説明してとか解説してというレベルから、提示したシナリオから総合的な判断力を見るというレベルまで書いてますね。実地試験のパート1であるオーラル試験についてのことと考えたらわかりやすいです。

実際の例(オーラル審査)

KnowledgeRisk ManagementSkillsの3点確認が表に明記されています。下の例はI. Preflight PreparationのA. Pilot Qualificationsからです。まずそれぞれの試験科目の目的が記されていて、その確認のための項目がリストアップされているのです。これを元に学科試験が作成され、試験官がオーラルで質問をし、回答をもとにさらに質問をして、最終的には試験科目の目的を満たす知識が確認できたら合格です。記載されている全てにおいてです。

KnowledgeとRisk Managementは質疑応答で、Skillsは記載されている内容ができるかどうかを判断されます。直接的な質問というより質疑応答の中でこれができているかどうかの行動を見られると思った方がいいです。

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科目によっては全部ではなく、試験官の裁量で一部でいいというものもあります。Knowledgeのリストはaからlまでありますが、試験官は最低3つで良しとされています。もちろん勉強は全ての科目でやるべきです。

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実際の例(フライト審査)

KnowledgeRisk ManagementSkillsの3点確認が表に明記されているのは同じです。下の例はIV. Takeoffs, Landing, and Go-AroundsのA. Normal Takeoff and Climbからです。

それぞれの試験科目の目的が記されていて、その確認のための項目がリストアップされているのです。これを元に学科試験が作成され、試験官がオーラルで質問をし、回答をもとにさらに質問をして、最終的には試験科目の目的を満たす知識が確認できたら合格です。記載されている全てにおいてです。

フライト審査までのオーラル審査で何も聞かれない場合には、ここでKnowledgeとRisk Managementを確認されます。一連の流れで確認する方が早いのでオーラル審査で聞かないことが多いです。一連の流れというのが実はSkillsに順番通りに書いているのを気づきますか?これはFAAが推奨している手順と理解してもらって構いません。これらをもとに教科書が作られているのですから。

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Airman Certification Standards(ACS)

下の画像にはFAAのリンクを貼っていますので直接みてダウンロードしてください。

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FAA Private Pilotの場合

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試験項目は11種類あり、それぞれに1〜8種類の項目が記載されています。下の表にまとめてみました。オーラルの○印はフライト前に絶対に聞かれますが、▲印はフライト中に確認される項目です。全部で45もの試験項目があることがわかります。その内地上で必ず聞かれるものが約1/4です。残りの3/4はフライト中に聞かれます。

それを試験直前の数時間のオーラル対策で実施してはいませんか?あの試験官の傾向はこれだからここだけやっておこう!になってはいませんか?

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Preflight Preparationってフライト前に必ずやってますよね!その時にACS引っ張り出して全て確認してみてはいかがですか?

フライトする時に単純に飛ばすとか、高度速度とか、手順とかだけではなく、ACS引っ張り出してKnowledgeとRisk Managementを確認してみてはいかがですか?

それを毎回毎回インストラクターに突っ込んで「なぜなぜ攻撃」してください。毎回聞くと覚えますから(笑)

Emergency Operationsはほぼ起こらないけど、必ず頭に入れておくべきことすよね!緊急操作の手順のページを開くときにACS引っ張り出して確認してみてはいかがですか?

数をそこまでこなせないのが、NavigationやBasic Instrument ManeuversとNight Operationsです。それでも容赦無くKnowledgeとRisk ManagementとSkillsは記述があります。

まとめ

グランドスクールでは単純に問題と答えを覚えるのはやめましょう。ACSを確認してインストラクターに「なぜなぜ攻撃」を仕掛けましょう。

フライト訓練でもACSを確認して、一連の流れで必要なKnowledgeとRisk Managementを常に意識して、インストラクターに「なぜなぜ攻撃」を仕掛けましょう。

本来はフライト科目のための「フライト座学」があって然るべきです。

そのようなグランドスクールあったらいいと思いませんか?

計画中です(笑)

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