心つづれおり〜45 ロカビリー☆ジャック〜

2019年12月初演、シアタークリエ。紆余曲折あり、結果4公演を観劇しました。個人的なエピソードが多く、思い入れの強い作品になりました。と言うのは・・・先行で初めてクリエ最前センブロが取れた!→しかし当日劇場に行ったら公演中止→振替公演を観るため年の瀬の遠征&千秋楽まで観劇できて感無量、とこんな感じで。初めて尽くしかつ、アップダウンが激しくて心身共にしんどかったけれど、好きなことなので今は大切な思い出。

では、作品の話を。作品は、ロカビリー音楽に魅せられた主人公ジャックが歌手として成功していく姿をコメディタッチで描くという日本オリジナルミュージカル。はじめはコメディと聞いて不安がよぎりました。コメディは好みが分かれるし、自分は楽しめるだろうか、と。しかし、幕が開くと、そんな心配は他所に、楽しくてホロッとさせられて、元気をたくさんもらいました。何せ、配役がどハマりしていて、これ以上の配役は思い浮かばないというほど。当て書きって、こういうことか、と実感しました。俳優個々の魅力が引き出され、俳優皆が真っ向勝負で作品に臨む姿にエネルギーを感じました。また、年末に明るい作品で観劇納めができたのも嬉しかったです。

個人的に好きな場面や俳優、楽曲の話も。大好きな盆演出が、こんな形で味わえるとは!という大爆笑だった場面があります。物語終盤、裁判所でそれぞれのキャラがそれぞれの思いを告白する見せ場。作・森雪之丞さんと演出・岸谷五朗さん曰く「舞台が回らないなら人間が回ればいいじゃないか」という発想から、舞台上の俳優たちが各々のポジションから右に左に身体を移動させ、セルフ盆状態で演技を続けるという演出がありました。内容的にはシリアス寄りだけど、動きはコミカルという状況が笑いを誘って、忘れられない場面に。

次に、俳優たち。一人一人、キャラ立ちしていて愛しい存在ばかりでした。ジャック役の屋良朝幸さんと弟分ビル役の海宝直人さんのコンビが愛らしかった!特に、ほわっとしたドジっ子な海宝ビルが、歌い出すと歌が上手過ぎて、そのギャップに魅了されました。また、悪魔役の吉野圭吾さん!!こういう役を演じたら、圭吾さんに敵う俳優はいない、と言い切れるエンターテイナーっぷりに脱帽。悪魔は、今まで観てきた圭吾さんの役柄で、シカネーダー、ヘルベルトに次ぐ愛すべきキャラになりました。

楽曲は、観劇後に口ずさみたくなる耳に残るメロディー。斉藤和義さん、さかいゆうさん、福田裕彦さんが、それぞれのキャラにピッタリの楽曲を当て書きしていました。

本当に色々あって、おもちゃ箱をひっくり返したような経験もしましたが、最高に幸せな時間を感じた作品でした。物語の結末を知ってからも何度でも楽しめたのは、俳優たちの魅力が炸裂していたから。年に一度は、こうしたハッピーな作品に出会えたら、と思います。

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