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羽田空港地上衝突事故 浮かび上がった疑問点からの考察②

交信記録から視える疑問点として挙げた5項目のうち、
今回は、《2》海保機の復唱と副操縦士 について考察する。

《2》海保機の復唱と副操縦士

本当に不思議と言うか不可解な事に、報道は「副操縦士」について皆無というくらいに言及していない。
ひとつ前の記事、「浮かび上がった疑問点からの考察①」で「No.1」と管制塔の指示について詳説した。

報道では「No.1」の取り違えが直接の原因であるとするのがメインである。
だが、これには大いに疑問がある。
これがどのように曲解なのかは筆者の各記事を参照されたい。

航空機にはソロフライト(単独飛行)等を除き、機長と副操縦士の最低二人のパイロットが搭乗する。
これは誰もが知っていることだろう。
機長に突発的な体調不良等があっても機を無事に地上に降ろすためのセイフティである。
また副操縦士の飛行経験を積む(訓練)も同時に行う事で、次の機長を養成している。
副操縦士とはいえ、当然ラインセンスも所持しており操縦に関しては何ら問題はない。

通常は機長が操縦し、副操縦士が無線交信を担当していることが多い。
天候が良いなどの条件があれば機長判断で副操縦士が操縦している事も多々ある。
この時は機長が無線を担当し、副操縦士の監督をしながら飛行している事が一般的である。
ともかく航空機は通常、二人以上の操縦士が運航させているのである。

ここで疑問が起こる。
交信は必ず機長と副操縦士の最低二人が聞いている。
①、②の交信は副操縦士も間違いなく聞いており、同じく「停止位置までの移動」と解釈していたはずである。
今回は旅客機ではないので、他のクルーも交信を聞いていた可能性は高いと思われる。
機長以外にも交信内容を理解していたクルーが他にも存在したのだが、何故かそこは無視されている。

ワー・コントロールと海保機の交信抜粋(国土交通省発表) 補足加筆版

仮に海保機の機長が何等かの理由で「滑走路進入許可が出た」と錯誤したとする。
この時、機内に他の操縦士もなく管制との交信を理解できる者がいなかったとすれば錯誤のまま滑走路に入ったであろう。

だが実際には副操縦士が搭乗していた。
①、②の交信を副操縦士も聞いていたのは間違いない。
いや、聞いていなければならない。
そして交信内容も正しく認識していなければならない。
それが通常の状態である。

ここにも大きな疑問が起こる。
副操縦士がノーマルな状態であれば、機長が錯誤・誤解で機体を滑走路に進めた時点で、何故制止しなかったのだろうか。
機の動き、交信記録からの時間経過を視る限り、副操縦士が機長を制止した形跡は感じられない。
もし副操縦士や他のクルーが制止したならば、機体は誘導路の停止位置を越えた辺りで止まったはずである。
だが実際は、海保機は滑走路に進入している。
しかもその後、公式記録によれば滑走路上で40秒も停止している。

この動きを視る限り、副操縦士も機長と同様に「滑走路進入許可が出た」と認識していたと推測される。
そうでなければ海保機の動きを説明できない。

だが、これまで何度も書いてきたように、①、②の交信の内容に「滑走路進入許可」は含まれていない。
それは日常的な管制であり特別なケースでは決してなかった。
「No.1」云々も誤解や錯誤を生むようなものでは決してない。

にもかかわらず、海保機は滑走路に進入した。
しかも機長単独の判断とは思えない。
機長単独の判断、錯誤であれば副操縦士が制止しない方がおかしい。

これはどういうことなのであろうか。
機長、副操縦士が揃って誤解、錯誤をしたのであろうか。
それはあまりにも考えにくいことであり、不可解極まりない。

羽田空港地上衝突事故 浮かび上がった疑問点からの考察③に続く。

基礎知識として、筆者のいくつかの記事も宜しければ参照してください。

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