創作クトゥルフTRPGシナリオ アリスの館

~アリスの館~
【概要】
PL想定人数:2~4人
想定プレイ時間:2~3時間
非戦闘シナリオ
推奨スキル:目星、医学

【探索ギミック】
・時間進行の発生
プレイヤーの動作(例:1動作10分)、もしくはリアルタイム換算(例:10分で1時間経過)等。GMの好きに決めてください。
時間が経過することを、丸岡の自宅に侵入するまでにPLに伝達してください。時間進行の仕方については伝達してもいいですし、しなくても構いません。

・館への攻撃
床がうねり出す。DEX対抗でその室内から隣の部屋に脱出できる{(DEX-経過中のターン)×5}
3ターン経っても抜け出せない場合、部屋に圧殺されキャラロスト。部屋が元の状態に戻るまで、ゲーム内で2時間かかる。
24時~2時の間はアリスがいる客間以外の部屋がつぶれるため、部屋全体の床をうねさせること。アリスの部屋以外にいる場合3ターン以内にアリスの部屋にたどり着けなかった場合、圧殺されてキャラロスト。

圧殺理由
館そのものが、ショゴスと化しているため。
そのため、不気味な笑い声を入れたり、触手に攻撃させるのことも可能。

【導入】
 あなた達は古くからの友人である丸岡が突然死したことを聞き、彼の通夜に訪れる。その時丸岡の父から遺言で君たちに死後の自宅の遺品整理をお願いされていることを告げられた。

【葬儀場】
 彼の父から情報を聞き出すことが出来る。
・自宅の外装  洋風の2階建ての大きな家。変なにおいが立ち込めていてとても近付きたいとは思わない
・家族構成   丸岡本人と奥さんが一人。死亡届を出す際に結婚していたことが発覚。
・死ぬ際の様子 再会した時は体中血まみれで腐った臭いが衣服に染みついており、気が狂っていて、会話は不可能であった。息子の手荷物から遺書が見つかり、そこに探索者たちにお願いという形で遺品整理をお願いしたいとのことだった。
・丸岡の職業  冒険家のようなことをしていたらしい。
・その他の情報 年齢はPC達と近くなるようにする(ただし結婚していることを考慮すること)。ショゴスに関する情報を一切出さない事。作品の概念を壊す返答をしなければ付け加えても良い。

ここでルート分岐
丸岡の願いを聞き入れる→丸岡が所持していた自宅の鍵と思われるものを丸岡父から借りることが出来る。探索へ
丸岡の願いを聞き入れず日常へと戻る→End1 当たり前の日々

探索を選択した場合、探索者に何時頃から探索に行くのかを決めさせる。
葬儀場にいる時の時刻は20時30分であることを伝えること。
その日中に探索する必要はなく、翌日朝から探索をしても良い。
車を使う場合は指定時刻からのスタート
公共機関を使う場合は、指定された時間から+2時間たして始めること。

【丸岡自宅前】
 自宅の前にたどり着くと、現代には見合わない古風で洋風なレンガ模様の家が探索者たちを迎え入れる。丸岡の父に聞いていたように鼻をつく。
ここで医学を。

成功時→生き物が腐った時に出る独特な臭いであることに気が付く。
    SAN値チェック(1/1D3)
失敗時→腐卵臭の様だと感じる。
 
外装について
 大きな両開きの玄関にステンドグラスの窓ガラスが正面1、2階に左右1枚ずつある。カーテンは閉め切られていて、室内を見ることはできない。また、地面にはもともと芝生を敷いていたのか、変色して枯れた芝生が地面を覆っている。
窓ガラスを壊そうとした場合、素手で壊した場合はぶにゅッとしたガラスではない何かを叩いた感触を覚える。窓ガラスがなぜか割れないことに気が付く。
素手で窓ガラスを破壊した実行者にはアイデアを。
 
成功時→生肉の様だと感じる。
失敗時→気持ち悪く感じる。SAN値チェック(0/1)
 
これ以上は何もないため、探索者たちに屋内に立ち入るように勧める。
丸岡の父から借りた自宅の鍵を使うことで、玄関から入ることが出来る。
 
【玄関及び広間】
屋内に探索者たちが入ると、扉が勝手に閉まり以後開かなくなる。屋外で嗅いだ臭いがより強くなる。
目星を行うことで下駄箱の上に古びたノートを発見できる。字で丸岡の物であると分かる。
 
古びたノート
気付き
・この館は生きている。
・タイミングを誤ると館そのものにくわれるから気をつけること。
・逃げ道を確保していないと退路が断たれるため、逃げ道である広間で余計なことはしないこと。
・窓ガラスや壁、床を不用意に傷つけないこと。
・異臭が強くなる部屋は特に気を付けて探索すること。
・床が柔らかくなったらすぐにその部屋を出ること。
・24時~2時の間はアリスの部屋以外危険であること。
 
ノートの最終ページにこの館の物と思われる地図を発見できる。
地図を見ることで探索ポイントが分かる。
1F 
・広間
・ダイニング
・書庫
・バスルーム
 
2F 
・広間
・客室
・寝室
・人形部屋
 
他広間での情報はない。探索者には地図の通りに探索させる。
【ダイニング(要警戒ゾーン)】
GMのみの情報
 この部屋は探索時間が制限されています(床がうねるまでゲーム内時間30分)
 
 視界に飛び込んでくるのは赤々とした床、天井、壁。部屋に置かれているテーブルや椅子は何度もつぶされた跡があり肉塊がそこら中に転がり、強烈な腐乱臭を放つ。SAN値チェック(2/2D3)
探索ポイント
・冷蔵庫
・台所
・つぶれた机と椅子
・食器棚
 
冷蔵庫(星の位置)
 赤い液体が零れ落ちている。開くと肉塊が山のように床に落ちる。SAN値チェック(2/2D  3)
中には何かの肉と骨がある。
冷蔵庫内に目星をすることで、小さな(妊娠14週目)の人の死体を発見できる。
医学でおおよその亡くなったタイミングが判明する。
 
台所
 めちゃくちゃに生物をきり刻んだ跡がある。SAN値チェック(2/2D3)
血にまみれた大きな包丁と斬り刻まれた動物、三角コーナーには何かの尻尾が2本見えている。
 
つぶれた机と椅子
 何度もつぶされた跡が残る机と椅子。
大き目の椅子が2つ。赤ちゃん用の椅子が1つ用意されていたことが窺える。
 
食器棚
 外は血に覆われている。中は異様なほど綺麗に整えられている。
 
【書庫】
 壁面に沿うように本棚の中にたくさんの本が敷き詰められている。
目星で最近使われた形跡のある本が4冊(赤、黄、黒、青)あることが分かる。
図書館を使うことで赤:物体への降霊術 黄:命の作り方 黒:ネクロノミコン
青:アリス・イン・ワンダーランド であることが分かる。
物体への降霊術
 対象物へ降霊させるための方法が書かれている。
必要なもの 魂と同じ大きさの器、その生物の一部分、精神力(MP-3)
 
命の作り方
 空っぽの器に新しい命の宿す方法が書いてある。生物の理に反した方法が記されている。
必要な物 核となるものor心臓 誰かの強い願いや思い 器 精神力(MP-5)
 
ネクロノミコン
 異様なオーラを放つ見た事のない模様が描かれた表紙の書物。本の中身を開くことで死霊秘宝の一部を知ることが出来る。オカルトorクトゥルフ神話を振ることで、異様に開いているページを空けることができ、そこにはショゴスという神話生物について記されている。
ショゴス:スライムのような不定形の身体をしており、好きなように体を変えることが出来る。基本は大人しいが知性がある個体も多く、命令に従ってくれないことも多い。
 
ネクロノミコンを開いた者にはSAN値チェック(4/4D6)
また、クリア後にクトゥルフ神話を5付与。
 
アリス・イン・ワンダーランド
不思議の国のアリスが書かれている絵本。
開くことで誰かの日記の一部を入手することが出来る。
 
日記
 誰かの日記の一ページ
彼の願いが理解できないわけではない。私もこの子の幸せを願っている。だからこそこんなことに手を出してはいけない。でも、私もこの子の幸せを願っている。
 
日記の一部には小さな鍵が張り付けてある。
 
【バスルーム(要警戒ゾーン)】
GMのみの情報
 この部屋は探索時間が制限されています(床がうねるまでゲーム内時間20分)
強烈な臭いが立ち込める。視界に飛び込んでくるのは赤々とした床、天井、壁。床には肉塊が転がっており目も当てられない。SAN値チェック(2/2D3)
 
探索ポイント
・トイレ
・風呂
 
トイレ
赤々した何かが便器にこびりついている。
目星をすることで、上の戸棚に血がこびりついたのこぎりを見つけることが出来る。
SAN値チェック(1/3)
 
風呂
赤々とした水が貼ってある。ひどい異臭がする。SAN値チェック(2/2D4 )
水を抜くことで中から何かの心臓が現れる。
排水の中を調べると、誰かの短い髪の毛を見つけることが出来る。
 
2F
 
【客室】
中心に椅子に座る大きな青いリボンでその美しい金髪を束ねた少女がいる。
彼女の足元には不思議な魔法陣のようなものが描かれている。
 
探索ポイント
・アリス人形
・部屋に散乱する道具
 
アリス人形
びくとも動かない人型の大きな人形。その手には何かのカギが握られている。力づくでもとることはできない。
アリスに何をするかでエンディングが変化する。
1.      新しい命の作り方を使用して、アリスを目覚めさせる(アリス人形、小さな(妊娠14週目)の人の死体、枯れたへその緒、母の願いが込められた日記(破かれていたもの))→End5 託された小さな命と願い
2.      降霊術を使用して、アリスに丸岡の奥さんを降霊させる(アリス人形、心臓、結われた髪の毛)→End2 母としての決意
3.      降霊術を使用して、アリスに丸岡を降霊させる(アリス人形、心臓、誰かの短い髪の毛)→End3 父としての意地
4.      アリスに降霊術を使用して、アリスにショゴスを降霊させる(アリス人形、心臓、肉と骨)End4 憎しみの果てに
 
部屋に散乱する道具
何者かが生活した痕跡が残されている。寝袋や空のカップラーメンの容器があることから、普段から誰かがここで生活していたことが分かる。
 
【寝室】
薄暗く、少しだけ異臭が少ない。
室内にはダブルベッド、ランプ、机、仏壇がある。
 
探索ポイント
・ダブルベッド
・ランプ
・机
・仏壇
 
ダブルベッド
 長く使用された形跡がないベッド。なぜか少し湿っている。
 
ランプ
 明かりがつくことはない。なぜか少し湿っている。
 

 引き出しが3つあり、一番下の引き出しには鍵がかかっている。
一つ目の引き出しからは誰かの日記が出てくる。最初から数ページ進むと破かれたと思われる箇所がある。中身は何者かの日記であり、途中から後悔と悲しみが沢山つづられていて、とても読む気にならない。
二つ目の引き出しにはアルバムが入っており、丸岡と謎の女性が映っている。
最後の方にはお腹の大きくなった女性の笑った写真が残されている。
三つ目の引き出しには書庫で入手した小さな鍵を使用することで開くことが出来る。
中から小さな箱が見つかり、その中には枯れたへその緒と結われた髪の毛が見つかる。

仏壇
  女性の顔が映し出されている遺影と、空白の遺影が並べられて置いてある。
線香は湿っており、炎がつきそうな感じはしない。
 
人形部屋
沢山の人形が部屋中に敷き詰められており、ベビーベッドやガラガラなど赤ちゃんに向けて用意されたおもちゃが散乱している。床には柔らかい羽毛のカーペットが敷かれている。
 
探索ポイント
・人形
・カーペット
・ベビーベッド
 
人形
様々な種類の人形がある。アイデアを振ることでアリス・イン・ワンダーランド関連の人形が多いことに気が付く。
チェシャネコの人形に降霊術を使うこと(チェシャネコの人形、2つの尻尾、MP-3)でチェシャネコを降霊することが出来る。チェシャネコからは、アリスを目覚めさせるうえでのヒントを与えられる。
 
ヒント
・心臓を使ってはならない
・小さな人の死体を見つけていない場合→冷蔵庫の中身をしっかり調べたか?
・命を作るためには、それを繋ぐためのケーブルが必要だ
 
このヒントはGMの気分によって言ってもいいし言わなくてもいい。
また、PLが死なない嘘をついて困惑させてもいいが、嘘をついた場合は必ず笑うようにすること
 
カーペット
柔らかそうな羽毛で作られたカーペット。アイデアを振ることで、動かした形跡があることに気が付く。めくると下に謎の文字で書かれた魔法陣が出てくる。
 
ベビーベッド
使用された形跡のないベビーベッド。
 
 
エンディング分岐
End1 当たり前の日々
 探索者たちは丸岡の死を悲しみながらも、遺品整理は家族が行うべきだと告げてその場を後にした。その後の事については詳しく知るすべはない。
 
End2 母としての決意
 アリス人形として目覚めた丸岡の妻は、丸岡が自分の子供をよみがえらせるために、神話生物に頼ろうとして、その反感を買ったことを説明してくれる。その後探索者に鍵を託した後、館を取り込んでいるショゴスと死ぬために探索者たちが建物を出ると同時に火を放つ。
その後大々的な館の火事が取り上げられ、あなた達は警察や消防に火事について取り調べが行われるものの、中から火元を持った死体が出てきたことから、事件との関連性は皆無とされた。探索者たちは母としての強い決意を持った彼女を忘れることはないだろう。
 
End3 父としての意地
アリス人形として目覚めた丸岡は、探索者たちに感謝の念を告げ鍵を手渡すと、この館について秘密にしてほしいことをお願いされる。その後やることがあるからと館を追い出され鍵を閉められる。その後、丸岡の館からは時折不気味な声と謎の叫び声が聞こえ、行方不明者が多発するホラースポットとして有名となった。探索者たちは秘密を守るのは自由だが、わが身を思うととても口に出すことはできなかった。
 
End4 憎しみの果てに
アリス人形として目覚めたショゴスは、丸岡と契約した際の自由を手に入れることが出来なかった恨みを、探索者たちに向けてくる。館を操作し探索者たちを圧殺し館をわが身に取り込むと、街へと向かって歩き出した。
この憎しみの終わりがどこにあるのか、それを知るものはいない。
 
End5 託された小さな命と願い
アリス人形が不思議と小さくなり、赤子と同じ大きさとなる。手から鍵を落とすのと同時に館が振動し、館が崩れる。鍵を使って脱出した探索者たちの手元には謎の赤子。直感的にそれが、人の超越した何かであることを探索者たちは理解する。だが同時に、まだ生まれたての世界を知らない無垢な赤子であることも感じるだろう。探索者たちはこれからどうするべきなのか、その答えを出せぬまま街へと下っていくのだった。

地図

真相
丸岡が子供をどうしてもこの世に誕生させたいということから、世界を巡り人の世界で行きたいと願うショゴスと取引を行い、連れ帰って来たが丸岡がその取引を守らなかったため、丸岡の妻もろとも館を飲み込んだ。館を探索し何とか脱出したものの、その精神は擦り切れておりすぐに亡くなってしまう。そうして冒頭につながる。

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