フィッシュマンズ

もうすぐフィッシュマンズの映画が公開されるらしい。

フィッシュマンズは90年代の音楽。
当時、大学生だった私は
とても好きでよく聴いていた。

ボーカルの佐藤くんが若くして亡くなって
びっくりしたのも覚えている。

映画を観に行くし
久しぶりにフィッシュマンズを聴いてみたら
あの頃の記憶と音楽が結びついていて
なんだか色々思い出した。

あの頃の私は
フィッシュマンズが好きな男の子と恋をしていた。

私が誰かを本当に好きになったのは
その時が初めてだったかもしれない。


その子は趣味の合う楽しい人だったし、
彼の周りの友達も、私と趣味が合う人が多くて
一緒に遊びに行くのがとても面白くて。

自分の友達よりも
彼の友達と会う方が楽しかった。

当時、父の束縛が酷くて
家に帰るのが怖かった私は
わざと帰れなくなるまでグズグズして
彼に甘えた。


そんな子供っぽい私を
彼はいつもしょうがないなぁって許して
ベスパに二人乗りして
どこかに連れていってくれた。


夜の街が明けるまで
眠くて倒れそうになるまで
ずっとずっと遊んでいたくて
2人で夜の街を冒険した。


私が子供っぽいワガママに巻き込んでも
彼はいつも優しくて機嫌が良くて

「みゆきちゃんはいかれたBABY！」
と、愛しそうに笑って
何とかしようとしてくれる人だった。

きっとあの子は良い人で
私のことがすごく好きだったんだろうな。

彼と彼の先輩と一緒に
1回だけフィッシュマンズのライブを
観にいったことがある。

神戸のチキンジョージというライブハウス。

凄くいいライブで
ボーカルの佐藤くんもご機嫌で
「みんなに酒おごるよ！」
と冗談を言って、はにかんでいた。

私たちは3人でワクワクして音楽に溶けて
「ロングシーズン長すぎるよ〜」
なんて話して、
とても楽しかったことを覚えている。

一瞬で20年以上前の
あの頃の空気を思い出す

音楽はマジック。