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レースにまつわる話

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刺繡レース業界で経験した事を書き連ねて行きます。 皆様の人生の指針とかにはなりません。 多少でも皆様の暇つぶしになれば幸いなのです。 軽く流し読みしてください。
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#レース

車レースにまつわる話

先日、妻の実家から持ってきた古い小物入れから昔の硬貨の10銭玉が出てきました。その硬貨を眺めていて、とあるレースを思い出しました。そのレースは車レースと呼ばれる綿の細巾レースです。 生地の端に車輪の様な刺繡が連なっています。巾は約2cmの細いレースなのです。 私がこの車レースを最後に販売したのはおそらく15年位前の事です。最後の受注数量は20万メートルと記憶しています。20万メートルってピンとこないですが200キロです。新幹線の営業距離ですと名古屋―新大阪位。東京発でした

表と裏にまつわる話

浮世舞台の花道じゃないですが、私がメインで扱っているエンブロイダリーレースには、表もあれば裏もあります。 業界の表と裏という意味での話になると、ややこしい内容になりますので書けません。言葉通りのレースの表側と裏側のお話しです。 エンブロイダリーレースを刺繍する際の原材料は、生地と表糸と裏糸です。レースの表の面は表糸を使う側で、裏の面は裏糸を使う側の事です。表糸は柄を表現する糸で、裏糸は表糸を裏側に引き込み、生地と表糸を接合させる役割というイメージです。 裏糸は表糸よりも

お支払いにまつわる話

先日、あるお得意先に月末〆で合計1,842円の請求書を発行致しました。見本程度の販売しかなかった月はこのような請求額になる時もたまにあります。翌月20日のお支払いの際、そのお得意先からこちらの口座へ1,347円の入金がありました。今回はそんなお支払いにまつわる話です。 こちらの請求額1,842円の内訳は、商品代1,675円と消費税の167円の合計です。それに対しての入金額1,347円の内訳は、支払い時の歩引3%(1,842円x0.03=55円)と振込の際の銀行の振込手数料(

商標権にまつわる話

1986年に刺繍レース業界で仕事をするようになってから2年目くらいの事です。 とある大手通販向けの子供服に付ける巾25cmくらいのレースの注文を取る事が出来ました。デビュー以来最大級の数量の受注に浮かれた私。生産が終り工場から出荷されて間もなく、得意先であるレース問屋からの呼び出し。用件は、今回のレースのデザインが他社の商標権に抵触している恐れがあり使用の取りやめが検討されているとの内容。 そのレースのデザインというのは、カントリー調の家の絵でその家の上にはHOUSEとい