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成長における偶然性の問題 / 2022年FLAT STUDIOからのお知らせ

生活や仕事などの活動をするうえで「計画」という活動指針が必要なことは疑いようのない事実です。
計画といっても、翌日の予定を立てるくらいの比較的ハンドリングが容易なものから、1年後の有り様を考えたり、数年間にわたる長期プロジェクトを組み上げるものなど、計画立案の難易度は様々ですが集団活動をするための指針として必要なこと。
そうした”絶対的に必要な要素”だからこそ、計画通りに行かないときに不安感や自己嫌悪を感じるのかもしれません。

「成長は計画的にコントロールできるのか?」

仕事として制作業に従事すると、どうしても安定的に制作するための技術やメンタルマネジメントは必要で、仕事であるからこそ組織を持続的に成長させ続けることも必須事項とも言えます。

何かを新たに始めるということは、ある意味では自分たちの努力の成果でもあるし、別の角度からみると”たまたま”新しいことに繋がったとしか言えなくもない。自分の努力によってすべてを掴み取ってきたと思いこんでしまう自分もいましたが、意外と自分の力が及ばない偶然が積み重なった結果が多々ありました。

計画したものではなく、日々の浮き沈みや生活の機微、そうしたものを感じながら小さな偶然をデザインする。そこから見えてくるものもあるはず。
正直なところ、今書いてることは完全に石井の精神論。ですが、僕自身はそうした偶然の積み重ねの価値こそを信じています。

2022年。
僕たちは、ありがたいことにいくつかの偶然が重なり、その偶然からヒントを得て、新しい試みを行おうと思います。ただの精神論ではありますが、予期せぬ偶然を紡ぎ合わせる価値、こうしたアプローチもあるんだと感じていただけたら幸いです。

それでは3つの偶然から生まれた試みを発表をさせて頂きます。


1つ目。
イラストレーター《SWAV》がFLAT STUDIOに加入します。

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この仕事をしていれば当然ながら彼の存在は知っていました。
なので、本人から履歴書というかたちでメッセージが届いたことには驚きましたし、面識はありませんでしたが近い距離に知り合いも多いわけで、ショートカットをする方法はいくらでもある。そのはずなのに正面玄関からフェアなやり方で門を叩くことから彼の人間性が伺えました。

FLAT STUDIOの掲げる理念のひとつに「越境性」があります。

一つの旗のもと多彩な才能が集まる場所へ。
FLAT STUDIOは作品づくりにおける新しい価値観や視点を追求・提案するクリエイティブスタジオです。"より良い表現を届けたい”というの旗のもと、領域に縛られず創作に向き合います。そのためには基盤となる「スタジオ」であると同時に、異なるアイデンティティやバックボーンの者たちが共存し意見しあえる、オープンで多文化的な「コミュニティ」でなければなりません。FLAT STUDIOはジャンルにとらわれず「普遍性」と「新規性」を両立し、《ONE IS ALL》の実現を目指します。
(FLAT STUDIO「STATEMENT」より引用)

SWAVはイラストレーター、キャラクターデザイナー、コンセプトアーティストという肩書を持ちますが、ファッションや映画の影響を色濃く受けていることが伺えます。
彼と初めて話したとき、アパレル業界における次シーズンの流行色、衣服の素材や仕入れ先、材質によるコスト感などの情報をもとにキャラクターデザインを行うと聞き、それ故にあのようなデザインが生まれるのかと彼の能力の一端を垣間見た瞬間でした。

FLAT STUDIOは「イラストレーターが作るアニメスタジオ」というコンセプトがありますが、SWAVも「シネマティック」というキーワードをもとに作品づくりに向き合っているとのこと。
今後、両者のコンセプトをあわせて活動をすると思いますので期待していただけますと幸いです。


2つ目。
FLAT STUDIOに在籍する美術クリエーターを組織化し美術制作に特化したチームを組成します。

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"アートモスフィア"と読みます。
美しい風景はシーンを構成するひとつの要素でもありますが、作品の世界観を構築するうえで最も必要な要素でもあります。

「作品世界の空気にアートを纏わせる」

そんな意味を込めてArt(美術)とAtmosphere(空気感)をあわせた造語で《ARTMOSPHERE》です。
このチームは映画「サマーゴースト」の美術監督を務めたZenyoji Fukiこと”zen”が牽引します。

初めてFLAT STUDIOとしてメンバー募集をしたときに応募をしてくれて、今も活動を共にするメンバーは《5人》。
いきなり5人も引き入れることは出来なかったので、なかには1年ほどスタジオ入りを待ってもらったり…そのような縁で集まったメンバーのなかにzenも居ました。
彼の成長は彼自身の努力によりますが、彼自身も自分の成長を予期していなかった、とのこと。

スタジオとしてはこれまでアニメーション制作のみを受託してきましたが、これからは「美術」の受託制作もスタートしていきたいと思います。
また、美術クリエーターも同時に募集しています。

お問い合わせはコチラ
https://flatstudio.jp/#contact


3つ目。
FLAT STUDIOと連動する22歳以下世代のクリエーターに向けた実践型育成ルーム「CANTERA(カンテラ)」を発足します。
※年齢は原則22歳以下ですがあくまで目安です。詳細は下記に。

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“カンテラ”は直訳すると「石切り場」の意味で、スペインサッカー界では”育成組織”を指す言葉。トップチームと連動するアカデミー(下部組織)をイメージすると分かりやすいかもしれません。

FLAT STUDIOはまだまだ若いスタジオですが、次世代の育成は必須であり、急務でもあると考えています。
自分たちと価値観を共にするスタッフとの出会いは早ければ早いほど良いですし、この年代であればテクニックよりもその人自身の価値観や物事をみる視点、そうした感性に基づく人間性のほうが重要だと考えます。
背伸びをしてほしいわけではありませんが、お互いに刺激を与え合い、我々にはない若い感性に触れて学びたい、そんな思いもあります。

アニメーション制作においては、loundraw、banishment、Merrill Macnaut、asano66、zenなど、アニメーション制作を行うFLAT STUDIOのクリエーターが技術指導を行います。募集枠は5名です。

詳細はコチラ
http://flatstudio.jp/news/254



出会いもあれば別れもある。
FLAT STUDIOの2022年の3つの展開は、SWAVから履歴書が届いたことから始まり、「サマーゴースト」制作で負ったダメージを癒やすための旅先で話した若いクリエーターとの会話が契機となり、2022年の年明けにzenから届いた1枚のイラストを見て決断するに至りました。

狙って掴み取ったようなものではなく極めて消極的な偶然。非計画的なうえに再現性が全くないので組織運営としてはリスクでしかありませんが、今となってはこの偶然のつなぎ合わせ方がチームの動き方としてベストだと思えます。

この発表が転機となり、次の偶然が生まれることを願っています!
いつでもご連絡お待ちしております。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


石井龍 
https://twitter.com/ishii_ryu

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