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日にち薬

若い頃、流産の経験をしました。二度めの時は、悲しみが大きく長い間自分を責め続け、元気がでませんでした。

その時、年上の同じ経験を持つ、いえ私よりもっと辛い経験をした女性が励ましてくれました。
「どんなに辛いことも、時(日にち)が癒してくれるから、それに逆らってはだめよ。あなたが悪いわけじゃない。自分を責めないで。心のかさぶたを剥がさないで。忘れることは悪いことじゃないのよ」

彼女は自分が産んだ赤ちゃんを抱っこして名前もつけて数日後に亡くしたのです。飲む子がいないのに胸が張っておっぱいが出る。おっぱいを泣きながら出し捨てていたと聞いた時、胸がしめつけられるようでした。世の中には自分よりも辛い思いをしている人がいるんだと目が覚めた気がしました。

その時、「日にち薬」という言葉を初めて知りました。

そして、人間の体には自然治癒力があって、傷もかざぶたになって、自然に治りますよね。心の傷は「日にち」が治してくれる。いつまでも自分を責め続けていてはいけない。前を向いて生きようと思いました。

愛する人との別れほど辛いものはありませんよね。流産の経験だけで私の両親はまだ健在だし、偉そうにごめんなさいです。
でも、もしも今そういう辛い思いをしている人がいたら、自分を責めないで自分が幸せになることに罪悪感を持たないでと言って差し上げたいです。

モンゴメリの「赤毛のアン」の中で、
可愛がってくれたマシュウの死の後、アンが自然の美しさに喜びを感じ、友人との会話で笑ったりした時に「マシュウを裏切っているような気がする。喜びを感じるなんて」というようなことを言います。すると、
牧師館のアラン夫人が、「マシュウはアンが喜ぶことを望んでいる。今、マシュウはちょっと遠くにいるだけなのよ。傷をいやそうとする自然の力から、心を閉ざしてはだめよ」と。

このことが、熊井明子のエッセイにも書かれていて、だからこそ、熊井さんは「生きている日に、精一杯、誠実に過ごすこと」が大切だと言っています。

命あるものは必ず終わりがきます。

人間に限らず可愛がっている動物もそうですよね。だからこそ、お互いが「生きている今」こそ、楽しんで関わって過ごしていけたら良いですね。
そうすれば、その日が来ても「日にち薬」で、その悲しみを乗り越えられる自分になれると思います。

今日は少ししんみりしてしまいましたが、
お互いに生きている「今」を感謝し味わい過ごしていきましょう。

あなたにとって良い日になりますように♡

読んでくださって本当にありがとうございます。



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