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「ひめつりがねかずら」に決めた話

息子が小学校一年生の夏に、
家庭訪問がありました。
当時、学校の決まりで先生にお茶やお菓子など
出してはいけないことになっていました。
私も息子も、担任の先生が大好きだったので、
せめて何か
我が家流のおもてなしをしたいと考えました。

玄関には生け花を生けるとしても、
先生とお話する時のテーブルの上に、
さりげないお花を生ければ
先生が少しでも涼しく感じて下さるのではと
考えました。

ちょうどその頃、我が家には繊細なガラス製の
ハート型の器がありました。
「これに、つる植物とお花を少し浮かべたら、
いいかも!」
と思いつき、お花屋さんに行きました。
二つのお花屋さんを回りましたが、
私のイメージに合う
つる植物はありませんでした。

がっかりして、とぼとぼ歩いて家に向かいました。

すると途中、
ビルの間の空き地のフェンスに
きれいなハート型の葉っぱが
からみついているのが、目に入りました。
近づいてみると、なんと、小さな白い釣り鐘型の
お花がたくさんついていました!
しかも、真ん中が私の好きなラズベリーのような
赤い色で、今まで見たこともない花でした。

ハート型のきれいな葉っぱ、
小さくて白い花、
釣り鐘型、
ラズベリーのような赤

私の好きがたくさん詰まっていました。
そして、
どう見ても人が植えてる感じではなさそうです。
「これだ!」私は胸が躍りました。
うれしくてうれしくて、私の「脳内お花畑」で、
妖精の祝福のベルが鳴りました\(^o^)/

その時は、人通りもあったので、
家庭訪問当日の朝、
はさみを持ってその場所へ行って、そ~っと、
一部を切って大切に持って帰りました。
そしてガラスの器に、
そのつる草をメインにして、
庭のアメリカンブルーの花などを真ん中に
浮かべて、テーブルの上に飾りました。

当時の器ではないし、浮かべてるお花も違いますがこんなイメージ


先生は、お花については何もおっしゃいません
でしたが、家庭訪問は無事終わりました。

それから数ヶ月後、
秋も深まった日の夕方、
家路を急いでいると、西から太陽が
スポットライトのように
木の実のようなものに当たっているのが
見えました。
近づいていくと、
光沢のあるまん丸のきれいなビーズのような
小さな実がフェンスにからまっていました。
そしてよくよく考えると、そこは、あの時の
つる草の咲いていた同じ場所でした。

「うそ!あのつる草、実までこんなに可愛いの!!!」

私は当時ドライフラワーでリースを作ったり
していたので、
おひさまのスポットライトが、まるで
神様からの贈り物のように思えて
うれしくて飛び上がりそうでした。
私の「脳内お花畑」で2回目の祝福のベルが
なりました\(^o^)/
るんるん気分で帰り、また翌日はさみを持って
そ~っと切って帰り、リースに飾りました。

その後すぐに、その場所にはビルが建ったので、
私はその植物のことはすっかり忘れていました。

それから数年後のことです。
ある日、息子が子ども向けの科学雑誌を
見ていました。
ふと見ると、あの可愛らしいつる植物の写真が
載っているではありませんか!
私はわくわくしながらその雑誌を見ました。
写真の下には花の名前がカタカナで
書かれていました。

名前を読んでも、
私の脳内の連結がどうもうまくいきません。
ニューロンだかシナプスだかが迷子になっています。

そこでゆっくり声に出して読んでみました。

ヘ ク ソ カ ズ ラ

人間は自分の想像を超える事態に直面すると、
自分の都合の良いように考えるのでしょうか?

これはきっと印刷間違いに違いない。
そうだ、確かラテン語の数で6か7で「ヘクサ」
っていうのがあった!
6個の花かもしれない。
いや、もしかして私の知らない日本語で
何か深い意味があるに違いない。
古語だ、きっとそうだ!
一瞬のうちに様々な考えが頭の中に浮かびました。

けれどそれらはすべて打ち砕かれました。
よく見ると下に小さく漢字が書かれていました。
「屁糞かずら」
私は下半身から力が抜けて
床に座り込んでしまいました。

またしてもおじいさんにやられた。
天災は忘れた頃にやってくる。
(この意味は、3月27日の記事
「花の名前で熱を出した話」に書きました)

私の脳内で、
一度ならず二度も祝福のベルが鳴ったほどの
植物の名前が「へクソカズラ」
なぜなぜなぜ~~?

けれど、その時は、16歳の夢見る乙女ではなく、
大人でしたし、母親でしたので、
とっさに思いついたのが、
「先生に謝らなくちゃ!」でした。
ちょうど翌週、PTAの会合があったので、
当時の担任の先生を見つけて話しました。

先生は
「ええ、よく覚えていますよ。
素敵にお花を飾られていましたよね」
「そのお花の名前なのですが、先生、
ご存知でしたか?」
「いや、そこまではちょっと。
なんという名前ですか?」
「それがその・・ヘクソカズラ」
普段大きな声を出したりしない冷静な先生が、
体育館中に響く声で笑ってくださいました。
私の心情をお話しして、謝罪すると、
先生はほとんど涙を流しながら笑って
受け止めて下さり、
「わわかりました。
では、こうしましょう。
私たちの間では、別の名前にしましょう」

ということで、
私とその先生の間では、
「ひめつりがねかずら」に決めたのでした😊

~~~~~
名前の元になった匂いですが、私は当時、
大切にそ~っと扱ったのと、ハーブも一緒に
生けたので、まったく気がつきませんでした。
ただその後、こするとひどい悪臭を放つことが
わかりました。
その時はじめて、名前をつけたおじいさん(?)
の気持ちが
ほんの少しだけわかったような気がしました。

途中でやめられず長々と書いてしまい、
ほんとごめんなさい。
m(__)m

どうか良い日になりますように♡

最後まで読んでくださって本当に
ありがとうございましたm(__)m









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