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うす緑になって、散っていく花

写真では、わかりにくいのですが、このミニバラは、つぼみの時はほんのりした桃色で、開くにつれて白くなり、そして、うす緑になって、散っていきます。私はしばらくそれに気が付きませんでした。そのうす緑が、あまりに若々しい色だったので、枯れる前の色だとは思わなかったのです。

先日5年ぶりに運転免許証の更新した自分の写真をみて「老けた」と思わず口から出てしまいました。来年は還暦。いつのまにか肉体は私の心とは、
そぐわない速さで、どんどん年を重ね、終わりに向かっていっているのだと
痛感しました。できれば、老化のスピードは遅くしたい。その努力もしよう、でも、最終的には、引き受けることしかできないなあと、なんともいいようのない気持ちになりました。

でもこのミニバラが、こんなにも若々しくみずみずしい色になって、散っていくとわかった時、なにかこの花の「意志」のようなものを感じました。
そして、私の心の中に小さな希望の芽がふくらんでいくような、正に、
若々しい気持ちになったのです。
そうか、肉体の老いは止められないけれど、心はいつまでも、この花のように若々しくみずみずしくいることができる。「今」を生きて、「今」を感じていれば、心は老いないはずだ。

それからしばらくして、藍染めの最後の色「かめのぞき」のことが、心の中に広がりました。

(色の手帖 小学館)
「草木染め」は、藍に始まり、藍に終わると、聞いたことがあります。
その藍の最後の色が、この淡い淡いブルーなのです!
私は、染め初めではなく、もう藍の色を出し切った最後の色が、この
「かめのぞき」だと知った時にも、同じように驚き、感動しました。

花は言葉を持ちません。ただ静かにそこに咲いているだけです。
でも、こちらの心が堅く閉ざされていなければ、時には優しい、
時には強いメッセージを受け取ることができるのだと思います。

肉体は老いても、ごきげんで、ほがらかな表情でいることはできる!
そのためにも、心をのびやかに広げ、柔らかくしておこう。

終わりのくるその日まで、「今」を、感じ続けようと思います。





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