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僕ヤバの深読み バスケ事件について【Karte.14 僕は何もできない】【Karte.15 僕は抱きしめたい】僕の心のヤバいやつ

Karte.14と15のテーマ:市川が恋を自覚する

誰が見てもこの回の重要性は「市川の恋の自覚」だ。
市川がKarte.1から抱いていた山田に対する「恋」をようやく認識する。

当たり前だが非常に重要な回で、テーマが明確な分深読みの余地が無いのではと、三日三晩この事件について考えた。

そして恐らくこうではないかという結論を見出した為、筆を執った次第だ。

なぜ市川は泣いたのか

パッと見は山田に釣られて泣いてしまう感じに見える。
しかし山田が泣くシーンは今後もあり、市川が釣られて泣くのはこれっきりだ。(2020/10現在)

ならなぜ市川は泣いたのか。

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恐らく自分の無力さに泣いたのではないか。

市川はこれまでのエピソードで、自分の優しさの届く範囲で陰徳を積んできた。

しかし市川は山田が泣いている理由が「怪我をしたから」ではなく「撮影(仕事)をキャンセルしたから」でいることに気付く。

山田は大人の世界(仕事、芸能界)に身を置いているので前日に仕事をキャンセルするという自身の無責任さに泣くのだが、市川が明確にそれを理解するのは翌日だ。

この辺が絶妙で、市川はただぼんやりと「撮影をキャンセルするというのは大変なことなんだ」という感覚だけ理解する。

同時に山田が泣く理由が自分の優しさの絶対に届かないところにあり、自分の無力さに失望する。

エピソードのタイトル通り「僕は何もできない」という事実を突きつけられるのだ。

もちろん中学生の市川は自分が世の中に対して無力であることは解っているはずだ。
それでも泣くほど失望してしまったのは、「自分の優しさで救いたい」と想っている相手(山田)が市川の中の存在感が大きかったからだ。

市川は自分の中の山田の存在が、大きいことに気付いていなかった。
それを「救えない」と解った時、その存在の大きさに気付く。

市川(ああ 僕は山田が好きなんだ)

山田への想いを理解した市川は、無力感を引きずりながら保健室を後にする。

それでも市川は優しくしたい

翌日(Karte.15)、市川は山田が泣いていた真意を知る。

撮影スケジュールを狂わせるというのは関係者に大きな迷惑を掛ける申し訳なさ。
それを咎められるのではなく「子供だから」と諦められている悔しさ。

多くの人々が「山田の怪我」を心配する一方で、市川は「山田の悔しさ」を理解した。

だから市川は図書室に痛み止めや包帯ではなく、ティッシュを置いて山田の心を癒そうとした。
「いくら泣いてもいいんだぞ」と。

山田は自分が泣いている本当の理由を、市川が理解していることに気付いた。
それが嬉しくて、山田は泣き止んだ。
(だから最後のコマで山田はティッシュを見ながら微笑んでいる)

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(市川はお菓子を食べて笑ってると勘違いしているが)

この事件をきっかけに、山田の市川に対する評価が「優しい子、面白いやつ」から「恋の対象」に移っていく。
(未だ山田の自覚はないが)

おまけ:小林はバスケ部?

山田「私も一応バスケ部なんだよ?」
小林「全然来てねーだろ」

小林がバスケ部でなければ「行ってねーだろ」と言うだろう。
「来る」と言っている以上、小林もバスケ部だと思われる。

予想だが、山田は本当の自分を気に入ってくれている小林と仲がいい。
なので「小林がいるからバスケ部に入った」のではないか。
「同じ部活だから仲良くなった」という感じでは無さそう。

そう考えると市川と同じ情報処理部に入ろうか思案する山田のエモさが際立つ気がする。(祈り)

あとがき

『市川が泣く理由』についてガチで三日くらい悩みました。
自分の好きな子が泣いたら泣くかな、と。
「いや泣かねーな(非情)、すごく心配はするけど泣かないわ 女子じゃねーし」みたいな。
じゃあなんで市川は泣いたんだと、他の山田が泣いた時なんで泣かないのかと。
なら『今回泣く特別な理由』があって、かつ『恋の自覚の理由』でなければならないならそれはなんだと。

陰キャって基本ニヒルな所があって、市川は無力なことを自覚してるんだけど山田に関しての無力感は格別だったんじゃないかな。

バスケ事件は2話で1つのエピソードなので、まとめて深読みしました。

ずーーっと市川が泣く理由がピンと来なくてモヤモヤしていたのですが、『市川の恋の自覚』というストーリー上超重要イベントなので、真摯に向き合って考え抜きました。
そして自分なりの結論が出てスッキリしたので明文化したいと思い記事にしました。
「え、この深読み当たり前じゃん」と思われる方も多いかもしれませんが…

こんな感じで僕ヤバの深読みをしています。
他の記事も良ければぜひご覧ください。


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