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vol.4 富山が生んだ天才投資家 クレイジーマインドポールさんのクレイジー『自己肯定感』講義

ポール サウザーの白熱教室
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※試聴版。オリジナル版(54:06)は購入後に視聴可能。

第4話(最終話)

「僕ちゃん天才!」と耳にしたとき、あなたの心に小さな波が立つかもしれない。その波―――違和感の正体は、何なのだろうか?それはあなた自身にかけられた「呪い」である。本作の最終話Vol.4の紹介文では、多くの日本人にかけられているこの「呪い」について考えていく。

自分で自分のことを天才と呼ぶことに違和感を感じたあなたは、同時にこのように思ったはずだ。

「調子に乗っている」

「謙虚でない」

「天狗だ」

そう感じるのは、それが悪いことであると思っているから。いや、正確には「思わされている」からである。自分に厳しく、驕ることなく、振る舞いは謙虚たるべし。そのように思うのは、誰かにそう教わったからではなかったか?もしくは他者が叩かれているのを見たからではなかったか?他者に対してその目を向けるなら、自分自身にもその目は向けられている。いつまでも自分を認められないその気質。それが多くの日本人にかけられている「呪い」の正体である。

その呪いは、自己肯定感が低いことに起因している。自己肯定感は生きている限り、一生付き合っていくものだから、早めにその存在の正体と、対処法を知ることはきっと助けになるだろう。

自己肯定感とは「生きているだけで自分には価値がある」と心から思える感覚のことを指す。日本人の多くはこの「自己肯定感」の存在自体を知らずして成長し、教育され、就職し、親になっていく。自己肯定感は0~3歳の時期に親からどのように接されたかで基礎ができるという。残念ながらこの日本という国は、自己肯定感が低くなるような圧力が常に掛かるから、大抵の日本人は自己肯定感が低めのまま大人になる。そのまま親になり、子どもにも同じく教育をする。他に方法を知らないから仕方のないことで、連鎖は続いていく。

この日本の「国民性」は、世界に類を見ない経緯で形作られてきた。江戸時代という長く続いた太平の世。250年という月日の中で、支配者層にとって都合の良い気質が育まれ、それが今なお受け継がれている。反乱を起こさずマジメに農業をして、年貢を納める農奴として調教された。戦時には兵隊となり、上官の指示に逆らわず国のため玉砕することが立派とされた。低賃金でも文句を言わず長時間働くサラリーマンが美徳とされた。農奴から兵隊、そして社畜へと抑圧され続けた結果ーーーこの特異な国民性が醸成されたのである。親や教師の決めたルールに従うのは良い子、上司に従うことは優秀という価値観。さらには清貧思想や苦行=マジメという価値観など、支配者層にとって都合の良いマインドブロックを数世代にわたって重ね掛けられ続けた結果ーーー現代のストレス大国ニッポンは生まれたのである。

ポールさんは児童養護施設の教員となった。そこでは、語るのを憚られるほどの「闇」を心に抱えた子供たちで溢れていた。親から「要らない」と言われ続けた子どもは、いつしか「心」をなくしてしまって野生動物のようになる。そう語るポールさんの声色は、暗い。ポールさんはそんな子ども達に真摯に向き合い、自己肯定感の存在を強く意識するようになった。

しかしながら、児童養護施設においても「自己肯定感」を正しく理解していない教員が多く、子どもを抑圧し、ルールに従わせることを第一としていた。先生の言うことを聞く子は良い子、聞かない子はダメな子と評価することにより、子どもは他者の目をまず気にするようになってしまう。すると子どもは「先生の言う事を聞く」「テストで100点を取る」という条件を達成したときにのみ、自分を肯定するようになる。これは子育て・教育においてはよく使われる手法であるが、実は自己肯定感には良くない。なぜなら「条件」をクリアできなかったときには自己肯定感が下がってしまうからだ。

自己肯定感が低くなっていくと、他者からの評価をまず第一に気にするようになる。常に人目を気にするようになる。否定されたり、怒られることを恐れるあまり、挑戦することができなくなってしまう。そうして抑圧が続いていくと、自己否定感へとつながり、人生に気力を見出せなくなってしまう。

―――そんな人で、この日本は溢れている。あなたにも身に覚えがないだろうか?

このように、この日本においては自己肯定感が高い人は少数派だ。と言うよりも、「自己肯定感」という言葉自体が浸透していない。つまり新たな概念なのである。作中でポールさんはこう呟く。

「やりたいこと、やればいいのよ」

ストレス大国の原因は、ここに集約されると思われる。やりたいことをやれない、嫌なことを嫌と言えない人が多すぎて、この国はストレス大国になってしまった。ではなぜそのように振る舞えないのか?ーーーそれは自己肯定感が低いからなのである。

『嫌われる勇気』という本が記憶に新しい。この本がベストセラーになったことは、多くの日本人が「嫌われる勇気」を欲していることを如実に示している。嫌われる勇気を持ちたい。自分のしたいようにして、嫌なことは嫌と言いたい。多くの日本人がそう願いながら手に取った結果―――100万部を超えるベストセラーとなったのだ。このタイトルが多くの日本人に「刺さった」ことは、重要な示唆であろう。

ポールさんの思想もまた、他人の目を気にすることをやめよう、自分のやりたいように生きよう、自分の価値を自分で認めようというものだ。しかしこれは元来、人間が持っていた自由な精神であったはずだ。それを取り戻す第一歩が、他人の作った常識に支配されず、自分の気持ちに正直に生きることなのだ。

それを実現する言葉がVol.3で紹介した「そういう概念で生きてないんで大丈夫です」と「僕ちゃん天才!」である。この2つの言葉を日々唱えることによって自己肯定感が低い人は救われる。自己肯定感を取り戻して、自己肯定感の存在を知っていれば、自分が親になったときに自己肯定感が高い次世代を育てていける。

その繰り返しと拡散でのみ、ストレス大国ニッポンは変われるのだ。

およそ2000年の昔、イエスの教えを説いて回った男がいた。彼は偉大な伝道師としてその功績を称えられ、聖人に列せられ「聖パウロ」となった。パウロとはラテン語読みであり、これを語源とした人名を英語圏ではーーー“ポール”と読む。

ポールさんの「自己肯定感」を説く伝道の旅は、まだ始まったばかりだ。

をはり。

著・ヤコバシ


【オーディオブックの正しい使い方を伝授する】
1.集中して聴かない。オーディオを聴くための時間をわざわざ取らない。スキマ時間や作業時間に『ながら』で聴くのが正しい使い方である。
2.ぼけーっと繰り返し聴く。聴き返すたびに毎回聴こえ方が違うぞ、とか、刺さる言葉が違うぞ、と思ったならそれは良い聴き方。一回で全部吸収してやろう、と言うのは悪い聴き方。
3.PCのnote.muサイトからMP3ファイルをダウンロードする。itunesその他で、スマホに同期する。電車や車での移動中、家事の最中に聴くのが良いと思う。ストリーミング再生で聴くのはあんまりおすすめしないかな。

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