画像1

vol.6 タケゾウ先生のボロ戸建て不動産投資講義

タケゾウ 聖丁倶楽部
00:00 | 00:00

※試聴版。オリジナル版(59:09)は購入後に視聴可能。

第六話(最終話)
「そもそもなぜ、不動産事業を始めたいのか?」

全ての原動力はここから始まる。Vol.2の紹介文にて、不動産からの賃貸収入は「勤め人の給与」という鎖から逃れるための手段であると述べた。生殺与奪権の奪還を目指す行為であると。そしてその方法には、本作のように不動産賃貸業をするのはもちろんだが、他にも個人事業主として、美容師になったり、飲食店を営んだり、翻訳家として独立する方法もある。いわゆる「自営業」といった形態だ。もちろんその方法もあるとした上で、それでも聖丁が賃貸業を推奨してきたのはその「堅さ」にある。

聖丁はラーメン屋も経営した上で語るが、不動産賃貸以外の商売は、とにかく安定感がないという。大きく儲けた月があったかと思えば、いきなりゼロになる。それも、自分がコントロールできない要因で。これに対して不動産からの家賃収入というのは、計算ができる。先が読める。聖丁いわく「不動産は最も簡単な商売」とのことだが、そうであるがゆえに勤め人卒業を果たした人も多いのだ。

ここで「勤め人卒業」と「脱サラ」の違いについて考える。まず脱サラは、脱サラリーマンということで「雇われない」働き方で、要するに自営業者である。個人事業主、もしくは家族経営の規模での会社をして、お客様相手に商売をしてお金を稼ぐ。ただこれは、勤め人を”卒業”したとは言えない。単に仕える相手が上司から、お客様に変わっただけだからだ。労働力や時間を大量に投入して得るタイプの報酬であるから、実は精神的・時間的な余裕はなかったりする。これはいわゆる「美容師モデル」という商売で、雇われてはいないものの、自分の労働力や時間を切り売りしている事実は変わらず、そしてその状況がずっと続いていく。ただこの場合は、人を雇ったりして自走状態になれば「時間」は多少自由にはなるが、今度は雇用のための給与などのコストも増えていく。

これに対して「勤め人卒業」とは、要は「資本家になる」ということである。

労働者階級から、資本家階級へクラスチェンジすること。労働力(時間)を切り売りするのではなく、資本に働いてもらう。資本の自己増殖の作用をうまく使いこなす。これが資本家である。先述の、美容師モデルでは資本家になることは難しい。しかし不動産賃貸業は「物件」「土地」という資本が蓄積していく。バランスシート自体を大きくしていける。

とはいえ確かに初期は、物件探しやリフォームのDIYや、入居者を付けるための営業回りなど、労働力や時間を投入していくことになる。しかし物件数が増えるごとに、実績もまた増え、業者からの信用も得て、全ての業務が効率化されていく。スピードアップしていく。そうして振り返った時には「資本」が膨らんでいて、家賃という堅い収入も毎月入ってくる状態になる。こうして、資本家としてのレベルが一定以上になったとき「勤め人卒業」は成るのだ。

こういう生き方を得たいと思ったのならば、そのための対価もまた、必要になる。それは何かといえば「時間」だ。これしかない。知識を得るために本を買っても、読む時間がなければ意味はない。不動産スクールにお金を払って入会しても、リフォーム会に参加して実際に経験を積む時間を取らなければ、DIYの手技も上達しない。

何かを上達したいと思った時、まず考えるべきは「時間の捻出方法」だ。人生を変えたいと思うなら、まず時間の使い方を変えることから始めよう。

具体的に言えば「勤め人仕事へのスタンス」である。DIY会に参加するにしても、その後、自分でDIYをやっていくにしても、いつやるのか。勤め人をしているなら平日の夜か、休日しかない。それなのに、平日は毎日残業で帰って寝るだけ、休日は平日の疲れを癒すためずっと寝ている、気力も湧かない、では何も前に進まない。これを根本から変えていく動きが要る。それは勤務先へのドロップアウト宣言だったり、それが叶わぬなら転職も辞さないという姿勢である。

なお、2019年末のリリースで早3年が経ったが、化学メーカーへの転職を推奨した『意識低い系転職のススメ』には、喜びの声が多数届いている。ゆるふわな平日勤務、給与は世間の標準以上なのに知名度なく地味ゆえに若者不足というこの黄金郷(エルドラド)をぜひ検討されたし。

閑話休題。まとめると、ゆるふわな勤め人仕事をして、余剰の気力や労働力を貯める器ーー資本を作ること。その数少ない器のひとつが、ボロ物件だ。このセルフリフォームなのだ。これは、生き方の選択にもつながる。

生き方の選択ーーそう聞くと、なんだか壮大な話のように思えるかもしれない。しかし実態としては、紛れもなくそうなのだ。今回紹介したボロ物件を賃貸に出した場合の家賃は、低ければ3万円ほどだ。12ヶ月で36万円。さて、36万円の年収アップは、勤め人仕事でやろうとしたら、どうやったらできるだろうか?そしてもしボロ戸建を、30軒再生できて賃貸できたなら?

このように、ボロ戸建の再生事業は、とても具体的にロードマップを描ける。ここまでくると、先ほど述べたように、もはや生き方の選択になってくる。

ボロ物件を10軒も20軒も直すとなれば、それはもう勤め人の傍らでできる規模ではない。もはや「本業」「生業」の域だろう。そう、この問いは、資本家となるために不動産再生事業を生業とする、という生き方を選択するか否かということ。勤め人から実業家へジョブチェンジして生きていくのであれば、やはり時間の投入からは逃げられないこともわかる。

思えば、大昔、江戸時代よりもっと以前にも、こうやって生きてきた人は居た。現代のように会社組織ができて明確に「雇用」されるという形態は、ここ100年の間に生まれた概念だ。それより以前の人々は、皆なにかしらの「生業」を持っていて、職能を磨いていた。大工ならば大工としての技能を、刀鍛冶なら刀鍛冶としての技量を、それぞれ高めていた。しかし組織化が進んだ現代においては、個人が法人と正面でやり合って生き残れる業態は減ってきている。かつ、その中で資本主義ゲームで強力なカードのひとつ「不動産」に絡めることができる事業はほとんどない。わずかに、隙間が残っているひとつが本作で紹介したボロ戸建のセルフリフォーム賃貸だ。

手が出ない球ばかりが投げ込まれてくる人生だがーー好球の気配を感じないか。

さあ「人生をフルスイング」。

をはり

著・ヤコバシ

ここから先は

¥ 1,680

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?