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vol.6 成功する地方移住と田舎暮らしについて語る決定版~イノシシを捕まえて報奨金で儲ける方法~

太田製作所さま サウザーの白熱教室
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※試聴版。オリジナル版(55:08)は購入後に視聴可能。

第六話(最終話)
最終話では「商品作り」について大切なエッセンスを解説していく。
地方移住、田舎暮らしと聞くとまず「生活コストが安い」というイメージが浮かんでくる。しかし実はそんなことはない。コンビニやドラッグストアに売っているものは都会と同じ値段ーーいや、少し高いかもしれない。それは競争が少ないからである。移動に車が必須なので、ガソリン代もかかる。電気代や携帯電話代ももちろん都会と同じようにかかる。唯一、安いと言えるのは地価と、それに付随して家賃だが、これも第四話で述べたように特別な工夫をしなければ格別に安い物件を借りることも難しい。

田舎暮らしには現金が必要というリアルがある。

おすそ分けをもらったりして食費が少し浮いたとしても、先述のように生活費が現金で必要な場面はどうしても発生する。そこで有効なのがイノシシ捕獲の報奨金なのだが、これは年度締めで入金までに時間がかかることや、報奨金の金額が変動すること、イノシシが獲れるかに左右されること、などもあり頼り切るのは不安が残る。
その他、日雇いに行くという方法もあるが、これでは何のために地方移住をしたのかわからなくなる。やはり時間の切り売りではなく、自分の商品を作り出し、それを売って生活費としていかなければ、豊かな地方移住は完成しないのだ。

地方には、自然資源が豊富にある。また、作業をするためのスペースや、材料や道具を置いておくための場所という資源もまた、確保しやすい。音や臭いを出しても、そこまで怒られない。東京や大阪といった都会で同じようなスペースを確保しようとしたらとんでもないコストがかかるし、やることによっては通報されてしまうだろう。

地方には商品を作りやすい環境が揃っているのだ。

太田先生は狩猟用の罠を製作して、自分の商品としている。第五話で紹介した鋼鉄製の箱罠「マトリョーシカ」や必殺の電気槍「電気止め刺し機」の他にも、「くくり罠」や「囲い罠」など、イノシシ捕獲に有効な罠を製造販売している。そして近年ではイノシシやシカといった日本に古くからいる動物の他にも、外来種が主なターゲットとなってきている。
具体的にはアライグマ、アナグマ、ハクビシンなどであり、これらは農作物を食べてしまったり、人家の天井裏に住み着いて糞尿を垂れ流すなどの被害が深刻化している。これら小型の対象にも捕獲報奨金が設定されていることもある。

太田先生も、イノシシ狙いで箱罠を仕掛けていた。ある日、アライグマがかかってしまった。イノシシを捕まえたいのに、アライグマに邪魔をされてしまう。この対策をしようと、調査を開始。するとアメリカで「ラクーントラップ」というものが売られていることを発見し、目にした瞬間、直感が突き抜けた。

「これは売れる」

まずは少量を輸入し試してみたところ、すぐさま威力を発揮。多くのアライグマを捕獲することができた。これを「アラホール」と名付け国内で拡販していたのだが、すぐにマネをされてしまって、安売り合戦になった。
太田先生はここで気が付いた。モノを売っているだけでは、すぐにマネをされてしまうと。そしてモノを売るという商売は、資本力がある方が有利だ。大資本でもって大ロットを購入すれば、安く仕入れることができ、薄利多売でも成立する。
これに真っ向から立ち向かうのは難しい。

そこで太田先生はYouTubeという媒体をうまく活用している。安いだけの罠屋は、モノを売っているだけである。その良し悪しや、使い方は実はわからない。
イノシシと罠をつなぐワイヤーは、まさに命綱とも言えるもにだが、その強度に関して、特に知識経験のない安売り業者が跋扈しているのである。
このことの是非は問うべきではないが、実際に現場で戦ってきた太田先生、東雲先生はそれを見てこう言う。

「バンジージャンプのヒモに安さを求めますか?」

先述のような安売り罠屋は、売れれば良いだけであり、それを使うことまでは守備範囲外だ。もちろんそれは正論だし、違法性もない。

けれど、命を張る側としては何とも心細い。

そのような不安に寄り添えるのは、同じ道を辿ってきた先達だけだ。その人が現場の経験を経て作り出した道具やメソッドのみが、信頼できる。それをYouTubeという媒体で広告宣伝をするから、全国の同志たちは太田製作所の罠を指名して買うのである。

ここに商品づくりの大きなヒントがある。

太田先生は、自分で狩猟をしている経験の中から、実験をして、成功して、時には失敗してきた。それらの試行錯誤の結晶が、今の商品ラインナップなのだ。自分が好きなこと、本気で取り組んできたことに付随する「あったらいいな」と思うこと。

それを結晶化させて商品にする。

それは自分が本気であればあるほどに、良い商品になっていく。自分が本気で欲したものは、どこかの同志もまた、本気で欲しているはずなのだ。
一般大衆に広く売れなくていい。
ひと握りの同志に向けて、「こんなものはどうですか」と提案をする。
それが商品作りの良いスタートになる。

そうして作った商品は、YouTubeで宣伝しよう。商品を作った自分自身が誰よりも商品に詳しいから、熱のこもった商品紹介ができる。YouTubeに商品紹介の動画をあげれば、24時間年中無休で働いてくれる営業マンを雇ったに等しい。
これは狩猟の道具に限らず、あらゆることに適用できる商品作りと宣伝の方法だろう。

太田先生は曇りなき笑顔でこう言う。

「狩猟は、楽しいですよ」

動物が持つ狩猟本能は、やはり根源的な歓びを持つのだ。
また狩猟という役割を持つことによって地域で必要とされ、地域社会の一員となって胸を張れることも見逃せない。都会では存在価値を否定されることが多いが、猟師となって田舎に住めば、明確な役割とともに貢献の意識が、自己肯定感につながる。

ーー彼は今日もまた、薄暗い山林へ赴いていた。
北米からの外来種、アライグマ。器用な前足で農作物を荒らし回るこの厄介者は、捕食者もおらず自然環境も温暖なこの国で、大繁殖を繰り返している。人間が噛まれれば狂犬病にかかる恐れのあるこの害獣は、追い払うだけでは足りない。日本の生態系や農家のおじいちゃんおばあちゃんを守るためにも滅さなくてはならない。ついでに、5千円/頭の報奨金もある。

「カシャッ」

仕掛けたアラホールの方角から、軽めの金属音がした。

手には金属バットの硬い感触。

さてーー

♪しろつめくさの 花が咲いたら
さあ いこう ラスカル
六月の風が わたるみちを
ロックリバーへ 遠乗りしよう

神様 ありがとう
ぼくに友達をくれて

ラスカルに 会わせてくれて
ラスカルに 会わせてくれて

ありがとう ぼくの友達
ラスカルに 会わせてくれて

をはり

ヤコバシ 著

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