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vol.3 天才投資家ポール『不動産投資術』を語る、やっちまった物件たちとマジ基地ズッ友大乱闘編

ポール サウザーの白熱教室
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※試聴版。オリジナル版(54:34)は購入後に視聴可能。

第三話(全四話)

ポールさんのクレイジーマインド投資法は「入居者を確保してから激安なボロ物件を購入し、修繕せずに貸す」というスキームで利回り100%以上を連発する、夢のような投資法だ。しかしながら、不動産投資の知識が少しでもある人ならば、このスキームにはツッコミどころ満載であろう。

まず、なぜ最初に入居者が確保できるのか?という点。次に修繕せずに貸せる点。正確には、なぜ修繕もしていないのに入居してくれるのか?という点だ。ちなみにこのボロ物件のボロレベルというのは内装が古いとか、水回りの設備が古いとか、そういうレベルではない。屋根瓦が半分なくて雨が降ると滝のような雨漏りをしたり、水道を引いていなくて井戸水で生活する、みたいなレベルなのだ。家賃で調節するにも限界があるレベルにも関わらず、なぜ入居してくれるのだろうか?そんなタフな入居者、どこにいるのか?そこがリスナー最大の疑問点であろう。

この点がポールさんを唯一無二のクレイジーマインド投資家たらしめている所以であり、本オーディオの核心である。そのカギは本作のタイトルにも登場する「マジ基地ズッ友」たちである。

このマジ基地のズッ友たちはこんな人々だ。

・無職、ホームレス

・刑務所から出てきたばかりで家がない

・今のアパートから追い出された

・全身「お絵かき」だらけ

・車中泊で道の駅で暮らしている

などなど…この文章にたどり着く人には縁のない世界の住人達、それがマジ基地たちの正体である。そんな彼らは家賃は払えないし払いたくもない、でも家には住みたいと思っている。しかし普通の大家さんはそんな彼らを自分の物件に住まわせたくないし、住まわせる必要もない(普通の入居者がつくから)。保証会社も通らないのでますますリスクが高い。不動産屋さんもトラブルの元になるから斡旋もしたくない。このように住居の供給がないけど需要がある、という層がこの投資法のターゲット層なのだ。ポールさんいわく「かなりの数がいる」とのこと。実際に、ポールさんも彼らを相手にしていく中で夜逃げされたり、血痕を見たり、怖い思いや苦労をしながら運用した。本来ならばしたくないし、しなくてもいい苦労を、ポールさんはしている。

家賃を滞納するわ、トラブルは起こすわ、ウソもつくわ、およそ不動産投資家が忌避するような低属性の顧客、マジ基地たち。ではなぜポールさんはそんな彼らとズッ友でいられるのであろうか。Vol.3紹介文ではそのことについて考えていきたい。

ポールさんは児童養護施設で働いていたので、このような層の存在を既に知っていた。いわゆる「普通の」生活ができない人々。犯罪を犯してしまって社会的信用がなくなってしまったり、身体的・知的に障害を持っていて働けない人。異国の地である日本にやってきた、貧しい外国人。そういう、いわゆる「はぐれ者」が一般的な日本社会に参加することは難しい。悲しいことだが、実情なのだ。働きたくても住所不定では雇ってもらえないし、現住所がなければ怪しまれて部屋も借りられない。保証人となってくれる身内もいない。そんな人たちが人生を再生することは、想像以上に難しい。生活保護を受給して、幾ばくかのお金を持っていたとしても、この「社会的信用」という点で弱者である彼らには「住所」を獲得すること自体が難しいのだ。逆に言えば「住所」さえ確保できれば仕事を得られて人生をやり直す起点になる。この「住所」を供給しているのがポールさんなのだ。

マジ基地たちは、社会においてはほとんどの大家さんに忌避され入居拒否され、住所不定なので働くこともできず社会復帰ができない。詰んでしまっている。そんな人たちを受け入れている大家さん。それがポールさんなのだ。

多くの場合、マジ基地のズッ友たちはNPO団体や、来客されたけど手に負えなくなった不動産屋さんから「ポールさん何とかしてくれませんか?」という文脈で連絡が入ってくる。もしくはジモティーなどの掲示板で「住むところがないんです」という人からの応募。または「シラデン(知らない電話番号)」から「誰でも貸してくれる大家さんの番号だって聞いたんですけど…」と電話がかかってくる。

ポールさんはこういう「迷える子羊」を受け入れ入居させる。なぜ受け入れることができるのか?向き合い続けることができるのか?事実、マジ基地のズッ友たちは教育しても、嘘つかずに相談してよと言っても、結局は裏切られてしまうことも多いのだという。しかしポールさんは言う。

「それでも…それでも言う。それでも言うんだって。それが、愛でしょ」

社会的信用がないマジ基地ズッ友たちに「住所」を与えるということ。これはもはや社会福祉の域ではないだろうか。しかも行政の支援を受けない、個人単位での社会福祉活動である。自分の所有物件を貸して住所を与え、仕事を斡旋したり小遣いを渡すこともある。まさに過去の時代にいた「庄屋さん」そのものではないか。

Vol.2にてポールさんは地元の名士達から信任を受けて支援されたと書いた。図らずもポールさんはこうして、地元の人々を助け、面倒を見ている。まさに名士の行動と振る舞いである。

「大家といえば親も同然、店子(たなこ)といえば子も同然」

この言葉は江戸時代に生まれたという。当時の借家人は身分が低いことから公的な権利・義務がなく、家主(大家)が代わりにその保証・責任を負ったそうだ。この令和の時代に、ポールさんは入居者を子どものように面倒を見て、時には教育し、社会復帰を助けている。ビジネスを超越した「庄屋さん」活動ゆえに、他の人には真似できないことなのだ。ポールさんはよく冗談で「俺は富山の王様だ~!」と言っているが、この慈愛ある行動を見るにつけ、その兆しを感じずにはいられない。

個人単位による社会福祉。それがクレイジーマインド投資法の真髄である。

つづく。

著・ヤコバシ


【オーディオブックの正しい使い方を伝授する】
1.集中して聴かない。オーディオを聴くための時間をわざわざ取らない。スキマ時間や作業時間に『ながら』で聴くのが正しい使い方である。
2.ぼけーっと繰り返し聴く。聴き返すたびに毎回聴こえ方が違うぞ、とか、刺さる言葉が違うぞ、と思ったならそれは良い聴き方。一回で全部吸収してやろう、と言うのは悪い聴き方。
3.PCのnote.muサイトからMP3ファイルをダウンロードする。itunesその他で、スマホに同期する。電車や車での移動中、家事の最中に聴くのが良いと思う。ストリーミング再生で聴くのはあんまりおすすめしないかな。

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