シーズン7 #12(#104)『まぼろしの母』

  • 原題:mr. MONK and the Lady Next Door

  • 放送日:

  • 2009年1月23日

  • 2009年6月22日

  • スタッフ:

  • 脚本 ハイ・コンラッド&ジョー・トプリン

  • 監督 トーニア・マッキーマン

ジーナ・ローランズ(マージ・ジョンソン役)
マーカス・ジアマッティ(ジョン・キーズ役)
オードリー・ワシレフスキー(グロリア・カシンスキー役)
ジョー・ハーズリー(ウィンストン・カシンスキー役)
マーク・ヴァン(フランクリン館長役)
ジェームズ・カレリ(デヴィッド・エリオット役)

<ストーリー>
 ひょんなことから老婦人マージと出会ったモンクは、彼女から、隣人のキーズが大音量でドラムを叩くのを止めて欲しいと頼まれ、一肌脱ぐことに。首尾よく役目を果たしたあと、モンクは彼女の家に招かれ、母親のようなその存在感に、かつてない安らぎと愛情を覚えていく。ところが、前の晩に発生した宝石店の強盗事件の捜査で、そのキーズが容疑者に浮上、犯行時刻にマージが警察に苦情の電話をかけていたことからアリバイが成立してしまった。モンクの心に、“自分に近づいてくる人間には何か下心がるはず”という持ち前の疑念が膨れ上がり、マージとキーズはグルなのでは、と疑い始めてしまう――。

<解説>
 第5シーズン11話「モンクに親友」と対になる姉妹編。〝周囲の警告をよそに舞い上がるモンク〟のせつなさを描いた前回に対し、今回は〝向けられた愛情を信じ切れないモンク〟の姿に我々ファンの心がかき乱されるさらにハードな展開となっている(最も幸せな、モンクが食事の前の手洗いを忘れる[!]件りは、さりげないがシリーズ屈指の名場面といえるだろう)。
 そのドラマがメインに据えられた結果、今回のミステリ部分には、楽しくシンプルなトンデモ・トリックが据えられており、アヴァンではその準備ために殺人が発生して事件性を担保、クライマックスでは〝おバカ推理〟で笑いをとっていたディッシャーがそのままオチをつけるという、謎解きの方を傍流に徹しさせたバランス感覚が見事である。
 マージ役への、故ジョン・カサヴェテス夫人としても知られる名女優ジーナ・ローランズ(映画『グロリア』『こわれゆく女』等)の豪華かつぴったりなキャスティングも嬉しく、自宅の場面で、彼女の若き日の写真が見られるのも見どころとなっている。


<MEMO>
*エピローグでナタリーがモンクに言う「モンク船長、腹ペコですかい?」は、原語では「Shiver me timbers.You look hungry」。「Shiver me(あるいはmy) timbers(直訳は「我が木材を震わせろ」)」は、18世紀にイギリスの船乗りの間で生まれたスラングといわれ、スティーブンソンの小説『宝島』に登場する海賊ジョン・シルヴァーがしばしば口にする感嘆詞(驚いたな、なんてこったい、ぞっとするぜ等)してもっとも知られている。

*そして、日本語版では「ここ振れブンブン!」と訳されていて分からなかったのだが、第5シーズン13話「ただいま本番中」で、犯人のマックス・ハドソンが連呼していたフレーズも、この「Shiver me timbers!」のバリエーションとされる「Jiggle me timbers!」であった。

*(以下、準備中)


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