シーズン1 #09『消えた死体』

原題:mr.MONK takes a VACATION
放送日:
2002年9月20日
2004年5月25日
スタッフ:
脚本 ハイ・コンラッド
監督 ケヴィン・インチ
ゲストスター:
ポリー・ドレイパー(リタ・ブロンウィン役)
バリー・フラットマン(ジョン・フェニモア役)
アンドリュー・エアリー(ショーン役)
チャック・バーン(本人役)
グラハム・ハーレイ(トニー・ランディス役)
ベアトリス・ピザーノ(ガルシア夫人役)

<ストーリー>
 初めての休暇を手に入れたシャローナは、息子ベンジーモンクを〝引率〟してリゾートビーチに宿泊中。ところが、望遠鏡でホテルを眺めていたベンジーが、客室で女性が殺害されるのを目撃してしまう。モンクは、ホテルの女性警備係とともに問題の部屋に踏み込むが、室内には、死体はおろか争った痕跡すらなかった。
 部屋の主フェニモアが妻を殺したと推理するモンクだが、やがて夫人は生きていることが判明する。では、殺されたのはいったい誰なのか? 知り合った男性とのデートに忙しいシャローナは、ベンジーの作り話ではないかと疑うが、モンクは彼を信じ、調査を続行する――。

<考察> 
 本作は、「あなたが名探偵」等、クイズ形式のミステリの作者として知られ、アンディ・ブレックマンが番組のコンサルタントとして起用したハイ・コンラッドの初執筆作(シナリオ執筆自体、初めての経験だったという)である。  
 〝殺人を目撃したが信じてもらえない少年〟という古典的なテーマを〈モンク・ワールド〉に組み込んだ上質なミステリであり、このプロットでのお約束である「殺人の痕跡が見つからない」という状況を、そのまま犯人を特定する重要な伏線にしてしまうところなど、素晴らしいセンスである。
 さらに、捜査の相棒となる映画マニアの女性警備係の魅力的なキャラクターや、モンクが台詞なしのパントマイムだけで謎解きを行なう粋なクライマックスなど、ドラマとしての魅力も多く、コンラッド脚本は、見事、エドガー賞のTV ドラマ部門にノミネートされている。
 「女ってどうしてああなの?」「君も大人になれば分かるさ――分かったら私にも教えてくれよ」というベンジーモンクの会話は傑作であった。


<MEMO>
*「ゴミ収集のストライキがあってモンクがパニックになった」というシャローナの台詞が。これが、第5シーズンの大傑作エピソード「悪夢のゴミ戦争」へと発展したものと思われる。
以下、準備中です。

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