シーズン7 #6(#98)『悲恋』

  • 原題:mr. MONK Falls in Love

  • 放送日:

  • 2008年8月22日

  • 2009年5月11日

  • スタッフ:

  • 脚本 ジョシュ・シーガル&ダイアン・モーガン

  • 監督 アーレン・サンフォード

ジョアンナ・パクラ(レイラ・ズラタビッチ役)
ハイメ・ゴメス(サンチェス役)
ジョン・ダクイノ(マッキアーナン役)
クリスティナ・アナパウ(アマンダ役)
ダーレーン・カードン (ゼメニア人老婦人役)
マーカス・デミアン(ゼメニア人男性役)
リタ・ゾハール(ズラタヴィッチ夫人役)

<ストーリー>
 業務中のタクシー運転手が殺害され、遺留品から、戦渦にある故国ゼメニアからの難民支援を行っているレイラ・ズラタビッチという女性が容疑者として浮上した。モンクは、警部とともに彼女が働く難民センターを訪れるが、その高潔な美しさに、何と一目ぼれしてしまう。次々に見つかる証拠がすべて彼女を示しているにも関わらず、頑なに無罪を主張するモンク。だが、やがて被害者の身元が、多くのゼメニア国民を死に追いやった戦争犯罪人エメリックの逃亡中の姿だと判明し、家族や多くの友人を殺されているレイラは、動機もありと判断され、ついに逮捕されてしまう――。

<解説>
 原題通り、モンクがついに“もう一人の運命の女性”と巡り会う、シリーズ中でもとびきり特別な一篇。想像するに、本作は、次作「100回目の罠」と100回記念作品の座を争ったエピソードなのではないだろうか。
 ドラマチックで大胆な設定によるミステリ部分は、“なぜすべての手がかりが彼女を示しているか”という一点を核に恐るべき繊細さで組み立てられており、そこにトニー・シャルーブ乾坤一擲の名演、レイラ役ジョアンナ・パクラの魅力が加わって、本作は大傑作、それも第7シーズンまでシリーズを積み重ねてきたこの時期ならではの大傑作に仕上がっているように思われる。
 恒例の明るい(または余韻を残す)エピローグもなく、別れの場面で断ち切るように終わっていくラストは重く悲痛であるが、同時にそれは、ここまで回復した我らがMr.モンクの雄姿を寿ぐべき場面でもあるのだろう(モンクが真相に気づく直前の、警察の廊下でのナタリーとの会話は、その両面を象徴するシリーズ屈指の名シーンとなっているのでご注目を)。

<MEMO>
*レイラ役を演じたジョアンナ・パクラはポーランド出身で、映画『ゴーリキー・パーク』(83)『キッス』(90)『トゥームストーン』(93)等に出演。ヒロインのジェイミー・リー・カーティスをクライマックスで完全に食ってしまった『ヴァイラス』(99)でのロシア人技師役が特に印象的である。

*「ゼメニア」は架空の国であり、レイラが話す言語は、演じるジョアンナ・パクラの母国語=ポーランド語である。また、劇中に登場するゼメニアの国旗はクロアチアの国旗に近いもの、バス停で子どもの母親が口にする「スパシーボ」(ありがとう)や、レイラの母親が話す言葉は、ロシア語。そして、レイラのハット・ピンの意匠には、ウクライナ国章のモチーフが含まれているという。

*本作では、レイラの母親がロシア語で〈経緯はこうです〉のパートを担当。言葉は分からないが意味はほぼ完ぺきに伝わるというユニークなバリエーションとなっている。

*警部のいう「昨年、俺たちはビーチボールに吹き込んだ息だけを頼りに犯人を逮捕しただろう」は、第5シーズンの「警部の息子が家出?!」への言及である。

*(以下、準備中)


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