【コランダ地方】感謝の花
初めてポケモンリーグに挑戦した年。
相棒であるオセアンが進化をして、船を出ようと決めた年。
母親に教わったとはいえ、陸の作法もろくに分からないままに外の世界に飛び出した。
そこで船旅をしていた頃からずっと共に居た家族たち以外に、初めて「自分の目的のため」にポケモンを捕獲した。
最初に出会ったのは群れを率いるドラゴンだった。
気高く子を守る、母親であった彼女。躍起になって何度も挑んでいる間に、どうやら自身も放っておけない子供だと判断されたらしい。
なけなしの小遣いで買ったモンスターボールに、諦め半分で収まってくれた時の表情は今でも鮮明に思い出せる。
リーグ挑戦後に群れに戻っていった彼女は、今でも家族と仲良くやっているのだろうか。
モーリ__ずっと支えてくれていた、相棒のペリッパー__が届けてくれる実家からの手紙の中に、半透明の鱗がたまに紛れているのだから、きっと変わりないのだろう。
迷い込んだ森で出会ったのは、悪戯好きの妖精だった。
光を放つ不思議なキノコが面白くて、それを眺めていたら突然背後から脅かしてきて。
あまりに驚いたものだから、反射で殴りかかってしまったのを今でも申し訳ないと思っている。
それが何故か彼のツボに入ったようで、面白そうに自らボールに収まってくれた。
ボールから出たときも、入った時同様に唐突で気まぐれで。それがまた彼らしくて、いつかまた会いに来ると約束をして別れを終えた。
吹雪の中で出会ったのは、群れからはぐれて俯いている小さな白い子だった。
人見知りなのか最初は怯えた様子だったけれど、オセアンと共に励まし続けたおかげか、彼の群れを見つける頃にはすっかりと心を開いてくれていた。
そのまま共にいることを望んでくれた彼に、翼を与えられたことは今でも誇りであるとともに感謝をしている。
…留守をしている彼はみんなと仲良くやれているだろうか。一人が恐ろしいことを誰よりも知っている彼だからこそ、人一倍優しいことを知っている。心配はいらないなと、考えを改めた。
…感謝を伝える花を手に、最近はガラル地方に行っていないことを思いだす。
物思いにふけっていた自身を案じてか、共に歩いていた大切な伴侶が怪訝そうにこちらを見あげてきた。
何でもないよとだけ返して、保存がききそうなドライフラワーを数輪購入した。
旅をした数だけ、出会いと別れがあった。
近いうちにまた会いに行きたいという願いを込めて、姿を留めた花を大切に懐へとしまい込む。
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リーグ初挑戦がガラル地方なので、初旅パはガラルpk多めかなと。
(15年近く前だからダイマックスバトルが布教する前とか布教し始めたころかな?と勝手に思っているのでダイマックスバトルは馴染みがなさそう。バトル好きだし試してはいるんだろうけどもね)
テイは自分のことをトレーナーという意識というよりも、チームの監督的な立ち位置だと思っていて、pkたちが望む強さを与えたいと感じている。
リーグ挑戦後にその地方で捕まえた子は基本逃がしてるのを繰り返しているイメージ……という自分用のメモ。
今でもついて来てくれている子たちへと、当時共に歩んでくれていた子たちへの感謝を、改めて。