ジェンダーと漫画・アニメ
ある日のこと、子供が「これ面白いから読んでみて!」と、一冊の漫画を持ってきた。それは今人気の漫画であったが、胸が不自然に強調され、スカートが短く描かれた表紙で、私は最初エロ本かと思った。そこで、漫画やアニメで性(身体的性・社会的性)がどのように描かれているのか気になったのでここに気になった点を書き記そうと思う。
1.少女漫画と少年漫画
漫画の種類には「少年漫画」「少女漫画」と性別で区別するものがある。大まかに少年漫画は武闘至上主義、少女漫画は恋愛至上主義とも言われている。こうした分類は、LGBTQなど性の多様性に目を向けにくい世の中、また、性別によるステレオタイプを助長することにつながっていると私は思う。
少年漫画と少女漫画の描写の違いも面白い。私は漫画はあまり読まないので、本屋さんでざっと眺めただけだが、胸の不自然な強調、ミニスカートなどの露出が多いものは少年漫画に多く見られた。「女性像」「男性像」がどのように構築されるのかという視点で漫画を見ると、今の日本の抱える問題に非常につながるものが見えてくる。こうした描写は、漫画だけではなく、チラシやポスター、テレビでも見られる。Twitterで、多くの人がこうしたチラシやポスターについて、批判的な声を上げているのを見ると、少し希望を感じる。
もちろん全ての漫画が上記のような描写というわけではなく、性的固定観念を植え付けないよう配慮した漫画も多くはないがある。なので、買う側ももう少し描かれ方に目を向けて評価(購入)していくと、そうした漫画も増えていくではと思う。
ちなみに、国によっては日本の漫画が発売される際、こうした描写は変更されて販売されることがあるとのこと。漫画や本の文類に関しても、少なくとも私が行ったオーストラリアやカナダの本屋さんでは「女性向け・男性向け」という表記はなかった。
2.ジェンダーとアニメ
アニメも漫画と同様、「女性らしさ」「男性らしさ」など、固定的な性別役割分業を描くものが多く目につく。例えば、サザエさん・ちびまる子ちゃん・ドラえもん・しまじろう・クレヨンしんちゃん等、「家事は女性、仕事は男性」という固定観念や、物によってはセクハラや暴力的なシーンもある。
のだめカンタービレの作者、二ノ宮智子さんは2020年9月9日にTwitterにて、「この作品には数々の暴力、セクハラシーンがあるのでご注意下さい。描き始めた2001年の二ノ宮規格がもうね。。」と、注意喚起を行った。作者自身が認め、世に呼びかけるというのは、非常に嬉しく思った。
作品が作られた当初では、「当たり前」であった事も、時代が進むにつれ不適切な物は変えていくべきだと思う。多くの人に長年愛されている作品だからこそ、子どもに見せたいなと思える作品に変え続けていくことが大切ではないだろうか。
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