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神経症のメカニズム

 神経質(症)者は、理想が高く、“完全欲へのとらわれ”が強いために、常に、“かくあるべし”という自分の理想的な姿を設定してしまう。しかし、我々が住む不条理の現実には、そのような都合のよい状態はないので、そこで“かくあるべし”という理想志向性と、“かくある”
という現実志向性がもろに衝突してしまう。そのために両者の志向性が離れれば離れるほど、不安・葛藤が強くなり、神経質(症)者は現実と離反してしまうのである。

岩井 寛『森田療法』,  講談社 , 1968年, p12

 みなさんは「森田療法」なるものを聞いたことがありますか?

 詳細を省いてすごくざっくり言うと、フロイトが発明した西欧の「精神分析」に対抗するような形で、ちょうど100年前の日本で生まれたのが、この森田療法と呼ばれる精神療法になります。創始者の「森田正馬」の名前をとって、そのまま「森田療法」です。

 精神分析は、神経症患者(不安障害や強迫性障害、対人恐怖症などを抱えた患者)へのアプローチとして生まれた心理療法ですが、森田療法もその射程範囲は大きく変わりません。では、従来の(言い換えれば西欧形の)心理療法と森田療法は一体何が違っているのでしょうか。また、森田療法では神経質(症)者の特質をどのような形で捉えているのでしょうか。今回はざっとそんな話をしてきたいと思います。

<主要参考文献>


森田療法の特徴

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