シャネルのおばあちゃんとツイッター

友人の祖母が、田舎の片隅で小さな美容室を経営していた。

その名も、シャネル。

30年以上、シャネルという名で親しまれ、地元のおばあ様たちの社交場を兼ねた、鏡の前の椅子に座れば、何も頼まなくてもいつもの髪型に仕上げてくれる素敵な場所。

そんなのんびりとした経営をしているシャネルに事件が起こった。

なんと、本家本元のCHANELから警告状が送られてきたのだ。

内容は、「シャネルという名前は商標登録されているので、直ぐに店名を変えろ、さもなくば、法的措置を取るぞ」ということがもっと柔らかい表現で、しかしCHANELという名を使うことは断固として許さんぞというものだった。

これだけのバッタモンが横行する中で、おばあちゃん一人経営の3人も入ればいっぱいになってしまうお店を見逃さないCHANELの執念。

それから程なくして、店名を変え、看板も掛け替えたけれど、ご近所の人達はずっとシャネルと呼び続け、予約の電話を入れると、はい、シャネルですと元気に応答するおばあちゃん。
新しい店名で呼ぶ人は誰もいない。

因みにおばあちゃん、本物のシャネルから手紙が来た!ってその時の警告状の手紙を誇らしげに店内に飾ってたというエピソードがとても好き。

私の中では、おばあちゃん VS CHANEL は、おばあちゃんの勝ちだ。

今回のツイッター騒動も、きっとそうなると思う。
確かにXと社名は変わっても、世界中の人が、ツイッターって呼び続けるんじゃないかな。
おばあちゃんの小さな美容室がシャネルと呼び続けられていたように。

おばあちゃんが亡くなったとき、供花のほとんどに、シャネルさんへと書かれていたそうだ。


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