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ProjectKVと渡世の義理


・なんなのこの記事

最近ダメな方で話題になっているProjectKVについて、自分なりに文章でまとめ、これに関して抱いた感情を落ち着かせようというちょこざいな記事です。

この件、とにかくネット上にノイズが多いんですわ。
アンテナを立てなくても勝手に情報が入って来ちゃうんだけど、それに惑わされたくもないのですよ。

なので、いっそ自分で一連の事態について思ったり感じたりした事を書きたくなった。文面にしてまとめると落ち着いたりしますからね。
ほなやっていくぞ!

・円満退社したまではよかった

自分が情報を追っていく中で、ブルアカの開発チームに動きがあったと知ったのは、この春先の記事を見た時だった。

【翻訳】[ブルーアーカイブ2.5周年] キム・ヨンハ総括PD特集インタビュー Part.2

韓国メディアによるキム・ヨンハ統括PDへのインタビュー。
それをpin_taroさんという方が翻訳して載せてくれたこの記事。

記事の中ではヨンハPDからブルアカの成功や苦労が語られ、中盤あたりでMXスタジオ(ブルアカの開発スタジオ)内でディレクションの人事に多くの変更があったことが語られている。

ゲームディレクター、シナリオディレクター、アートディレクター。まさに中核たる人事の変更が同時に行われている。

びっくりはしたものの、かといって不安になる内容でもなかった。
交代してディレクターになった面々が『いつもの人たち』だったし、この人事でブルアカの作風が変わる事もなかろうと思えたからだ。

事実、ブルアカはそれからもメインストーリーや各種イベントを多少ゴタゴタしつつも手堅く展開してくれた。仕事の引き継ぎも何とか上手くやれたのだろう。

そして、ディレクションを降りたスタッフの一部は円満の形でネクソンを退社。

のちにブルアカ開発を離れたスタッフがDynamis OneのKV開発チームに合流していく訳なのだが、そのKV始動で事件が起きた。


・KVはブルアカに“寄せすぎた”

ProjectKVに始動の動きが見えたのは今年の8月某日でした。
スーパーティザーの名目でPVが公開され、これまで見えなかったKVという作品の姿が少しばかりあらわになった。

これを見た自分は「おっ、それっぽいね~~」などと思いつつニコニコしていた。

PVの雰囲気は実にブルアカっぽい。
銃の次は刀でやるんかあ、和風やな~楽しみ!
と、それ以上の事は特に思わなかった。

なんぼブルアカと雰囲気が似ているといっても、そりゃあ作っているスタッフがスタッフなのだからさもあらん。

参加クリエイターたちが得意な表現を用いつつ、新作を展開していくんだろうと思っていた。ブルアカには寄らない形で。

どっこいKV。
情報が出れば出るほど、作風がブルアカに寄っているのが明らかになっていった。

この画像は8/25に公開されたティザービジュアル。
背景の空にはキヴォトスと同じ幾何学模様が描かれており、よく見ると右奥に小さく描かれたキャラの頭上にはヘイロー(光輪)が浮かんでいる。

この時点で「おやまぁ」と思う人は思っていた事だろう。

これからのち、9/1をKVの本格始動日として作品のテーマがカウントダウンと共に公開されていくのだが、学園、少女、刀剣、活劇(物語)という字面が並んでいくと、だいぶ寄ってるなという感覚はやっぱりあった。

そして9/1となり、ProjectKVも正式に始動開始。
公式ホームページや新しいPVでもろもろ情報が公開となった。

公式サイトのストーリーティザー

公式ホームページが開かれ、登場人物を描いたPVなども公開。

ここまで来ると、ProjectKVがブルアカに寄せた作品だというのは、誰の目にも明らかだったろう。

多くの要素はブルアカをモチーフにしたと言っても過言ではないし、ストーリー概要に至っては「僕らがもう知っている物語」だとさえ嘯いている。

ブルアカを真剣に見てきた人であれば、KVがここまでに見せてきた世界観や語りは、新作の二文字で受け流せるものじゃあない。

ブルアカの世界観が、学園都市というテクスチャーを貼られた上でシナリオ(キャンペーン)が展開されている世界だというメタ設定を、こちらは知っている。

だから、KVという世界観を見れば、これはキヴォトスに新たなテクスチャーを貼り付けた、次のキャンペーンなのだと、そう世界同士の繋がりを感じざるを得ないのだ。

しかしながら、当然Dynamis Oneとネクソンには社としての繋がりはなく、KVもまたブルアカとは無関係の作品。

旧ツイッターでのキム・ヨンハPDのとあるリポストが、その証左だ。

そして、両者に関係がないのにも関わらず、KVとブルアカに繋がりがあるように感じられてしまったのなら、そりゃあ問題になるに決まってる。

・渡世に義理あり、人情あり

今回の件は、総じてKV開発チームが周囲への配慮を欠いた事により生み出された事態だと思う。

開発スタッフがほぼ同じである以上、KVが幾らかブルアカと似ていたとしても、それだけなら許容されたはず。でも、流石にこれはやりすぎた。
ブルアカの本山であるネクソン側からすれば、KVの発表は喧嘩を売られたとしか思えなかっただろう。

KVと同時に、スタッフの同人企画を発表したのも良くなかった。
あれは、ブルアカのスタッフがみんなKVに来たかのように宣伝しているのだと、そう受け取られても仕方のない告知だった。
こちらは、ブルアカのファンに対しても礼節を欠く行動だったと思う。

あまり現実的な話もしたくないのだが、こうした不義理を表に出す会社というのは、どうしたって成功をつかめない。
社会というのは、意外と多くの事が誠実さと義理によって運行されているからだ。

『信用』の二文字はかくも偉大。

この人たちは社会的に信用できるのか。
仕事を任せられるのか。心配せずにつきあっていけるのか。
新興はまずそういう周囲の視線に行動で応えなきゃならない。

社会からであれ、商談相手からであれ、ゲームをプレイするユーザーからであれ。信用があるとないとでは、向けられる視線に雲泥の差が生まれるからだ。

残念だけど、今のKV開発チームには、その信用を勝ち取るという意識を持った舵取りがいないようだ。

KVを発表する事でネクソン側が感じる事。
また、ブルアカのプレイヤーがどう受け止めるのか。

そこに少しでも配慮できる感性があったのなら、現在の形でのKV発表にGOサインを出す事もなかったはず。

もはや無関係とはいえ……いや、無関係だからこそ、KV開発チームには、残してきたものへの義理を立てて欲しかった。


・とはいえ、新作はちゃんと出して欲しい

ここまで、KV側は不味い事をしたぞとそんな話を散々書いてきたが、それはそれとしてDynamis OneはKVという新作を世に出して欲しい。

isakusan(ピカおじ)がまだ書きたいと言っていた物語を自分は見てみたいし、平成アニメのごとく服を剥かれる葦原津守こいとの活躍だって楽しみにしているのだ。

というか、こんな風に揉める前までは、ブルアカに加えてKVも楽しめる時間が来るぜヤッホーと楽しい気持ちでいたのだ。

なので、KVが今後各方面への義理果たしをクリアした上でKVの開発を進めるのであれば、それはもちろん応援していきたいと思う。

一度コケたくらいで、何もかもが終わりって訳でもない。
それこそブルアカでは失敗と再生の物語をみてきたのだからね。
これから頑張ればいいんすよ。

・などという記事を書いた今日になって

ProjectKV、企画が中止になったとの事です。
もう葦原津守みれないのか……う、うおぉ。

記事を書き直しに来たらもう動画も消されていた。
公式SNSなんかの画像もすぐ消されちゃうでしょう。

うーん、企画がポシャるところまでは見たくなかった。

本当に厳しい結果になってしまった。

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