ハダシの少年時代(後編)

長男が保育園の年少さんの時、お迎えに行くと必ずハダシで園庭を爆走していた話の続き。

親も先生たちも止められない彼の爆走。
それを静かに止めて、彼にクツをはかせてくれたのは、ふだん園の活動で長男とペアを組んでくれている年長のお兄さんや、そのお友だちでした。

そのころわたしがお兄さんたちに思っていたこと。

ありがとう。
でもどうがんばっても、うちの長男はこんな行動ができる子には育たんのやろうな。
うらやましいな。

そう思ってたらある日、そのお兄さんのお母さんが言ってくれました。
「長男くん(うちのハダシの少年)も大丈夫。
うちの子(ペアのお兄さん)も年少の時はすごくて、本当に心配だったのに、それがあれだけ成長したんだから。
長男くんも、必ず成長するよ。」

、、、そうなんですね。
、、、お兄さんでもそうだったんですね。
、、、でもたぶん、うちの子は違うんですよ。
お兄さんたちとは、違うんだと思います。
きっとお兄さんたちみたいにはなれない。
(デモモシカシテモシカシテソレガホントウダッタライイナ)

長男のはだしの少年時代は、その後やっぱり小学6年生まで続きました。

支援級に在籍した小学校6年間、普通級で授業を受けることもあったので、コロナの時期は「長男くんがハダシで歩き回るのを クラスのみんながいやがります」と普通級の担任の先生が教えてくれ

「長男よ、あなたのハダシをどんなにまわりの子が不安に思うか。ハダシでウィルスをばらまいてるかもしれないか。ハダシはやめなさい。」こんこんと言って聞かせた結果、ハダシで歩き回らなくはなったようでした。

でもその後6年生になると、その時の普通級の担任の先生からは

「長男くん、座席でウワハキもクツシタもぬいで授業受けてるんですよね、、」

と教えてもらいました。

でもね、やっぱりわたし自身の考え方が他の人
の考え方とズレているんでしょうか、その時は

「それで?人に迷惑かけてないし。授業中も立って歩かないし。がんばってるじゃんうちの長男!!」

としか思えなかったの。

先生には言いましたよ、
「そうですか、すみません。本人に言って聞かせます。」と。
そして長男とも話しました、
「どうして座席でクツシタぬぐの?」と。

そしたら、きゅうくつで苦しいんですって、ウワハキやクツシタをぬいでたら、リラックスして授業を普通級でも最後まで受けられるんですって。

「じゃあ、それでいいんじゃない。
席立つ時は、必ずウワハキはいてね。」

本人とはそう話しました。

本人と親にとっては、人に迷惑をかけない範囲でなら、自分ががんばれる環境を作ってがんばる。それが大切でした。

長かったハダシの少年時代を経て、中学1年の今年から、彼は普通学級に在籍することにしました。

他の小学校から入学した子どもたちの視線を意識しているのか?
中学校ではどうも、ウワハキもクツシタもはいているらしい。

体育で50メートル走のタイムをはかる時は、ひとりだけハダシで走ったらしいけど。

「そんなん(ハダシで走ること)タイム速くなるやん!ズルやん!」って、ネタにしてくれて、ことなきをえさせてくれた?のは、同じ小学校から入学したお友だちらしいです。
かしこさや優しさはこんなふうに使うんだな〜って、長男のまわりの子たちを見ると、いつも自分が教わります。
本当にありがとう。

長男をかばおうとするお友だちの優しさは、まわりの子にも伝わるんでしょうか、
人生ではじめて普通級に在籍している今年、本人の感想は「今のクラスがいちばん楽しい」!

まわりの人の優しさを浴びるだけ浴びさせてもらって(そうでないものもたくさん浴びているのかもしれないけれど)、長男は時々大コケしながらも、優しい人間に成長している気がします。

保育園の時に、ペアのお兄さんのお母さんが言ってくださったのは、本当だったなと思います。


かわいいでしょう わたしの息子
ズレてるでしょう わたしの息子
自慢したいけど隠したい
親のエゴを
ハダシで踏み越え

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