ガザの子 アリーの物語

報道によると、ガザでは毎日大勢の子供たちが殺されている。彼らには名前があり、彼らの物語がある。

Day 1
 僕の足にお父さんが名前を書いてくれました。お父さんとお母さんの名前も書いた。僕が誰かわかるようにするためです。みんな書いています。妹はキリー。まだ見つかっていません。沢山の手や足を見ましたがキリーはありませんでした。

Day 2
 太陽が崩れて壊れたコンクリートに反射してみんなを照らしています。僕たちは太陽とかくれんぼ遊びをします。鬼は太陽。太陽に照らされないように僕たちは逃げます。 そして突然のミサイルがシャームとマリアを永遠に隠しました。

Day 3
 僕が笑うとお父さんもお母さんも笑う。みんなも笑う。お父さんとお母さんは僕の笑い声は希望だと言う。 今日は世界中が満月だ。僕らのキャンプにもまん丸の月が出ている。月はみんなに笑顔を見せて笑っている。そして僕も月と一緒に笑う。みんなが笑う。

Day 4
 僕らの畑を戦車が滅茶苦茶にした。野菜も何もない。食料や水はほとんど入ってこない。食べ物と水を手に入れるために、お父さんたちはずっと走り回っている。僕らはわずかな食べ物を分け合って食べる。 『パンが飛んでる!捕まえろ!』ウマルの幻想をみんなで笑った。

Day 5
 キリーの左足が見つかった。学校の瓦礫の下で見つかった。お母さんは僕を抱きしめて離そうとしない。涙が出ない。僕もお母さんをしっかり抱いた。 僕らはキリーの左手をブルドーザーで掘った墓にほかの人と一緒に埋葬した。キリーの友達の女の子も一緒だった。さようならキリー。

Day 6
 僕らの学校は、空爆の避難場所になっていた。そこを狙ったひどい爆撃で校舎がなくなった。友達が何人もほかのおおぜいの人と一緒に死んだ。僕らは瓦礫の上で勉強している。焼けたりしてぼろぼろになった本を何度も読んでいる。音楽の授業が好きだったけど、楽器もない先生もいない。

Day 7
 ジュードが一人ぼっちになってしまった。父がジュドーは今日からお前の兄だと言った。ジュドーは戦士になってあいつらをやっつけると言っている。お前もなれと言われたけど、僕は大人になれない気がしているので、返事はしていない。

Day 8
 か細い声でどこかで赤ん坊が泣いている。食べさせるものがほとんどないので、生きられないと母が心配している。あいつらは病院を破壊して、水とミルクを取り上げて赤ん坊を殺している。赤ん坊が死んでしまえば、僕らはいつかこのガザから消えることになる。

Day 9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (アリーの物語は終わってしまった まだ10歳だった)


ここ数か月、ずっと自分の無力さを嫌というほど感じている。ガザを始めとするパレスチナの惨状はひどくなる一方である。ユダヤの知人も複数いて、彼らに軍事行動を止めるように働きかけているが、イスラエルが生存するために不可欠なことでありやめることはできないの一点張りであった。私のメールは今では無視されている。 どう公平に見ても、イスラエルはガザ、東エルサレム、ヨルダン川西岸にパレスチナ人が住めないようにしようとしているとしか思えない。ガザの北はブルドーザーで更地にすることが進められており、そこにユダヤ人を入植させようとしているように思える。ガザのパレスチナ人の日常は過酷なものだと思われる。自分を含め周りの人がいつ殺されてもおかしくない状況にある。 アインシュタインやフロイドが生きていたらどういうだろうか? サピエンス全史を書いたハラリはガザでの虐殺を正当なものとしているのだろうか? ハンナ・アーレントだったら先頭に立ってネタニヤフに反旗を翻したはずだ。 全世界のユダヤ人の良識を信じていいのか? 子供たちに明日はない。時間がない!


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