FP1級実技試験PART2

はじめまして、ハイボールおじさんといいます。
FP1級実技試験を受けた時の様子を記録として残しておきますので、今後受検される方の参考になれば幸いです。

学科試験が目標より高く取れ(170点)、実技試験も大丈夫だろうと最初は高を括っていましたが、実技特有の狭く深い知識ややりにくさに苦労しました。

実技試験対策として活用した主なものは下記のとおりです。
①  「23-24年版 合格テキストFP技能士1級 実技対策 精選問題集」(TAC出版)
②FP1級実技試験 過去問解説(動画含む)(くすもとFP事務所)
③1級FP過去問解説
④実技試験過去問(2022月2月、2023年6月、2023年9月)
⑤ラスパー氏のサイト
⑥「FPが知りたかった! 改正事項の最短整理」
⑦  自作の質疑応答集
①~③で過去問を読んで研究し、④でアウトプット(設例5分、メモ10分の練習)。
②は動画があり、面接の雰囲気をつかむのによい。
⑤は、頻出テーマや改正事項、数字関係をまとめたQA集があり、⑦で作成した質疑応答集の網羅性を高めるのに非常に役立った。
 ①~⑥から重要テーマや改正事項の口述として⑦を作成し、暇なときに繰り返し読み込みました。
 
 
私は、PART2からのスタートでした。
 【設例読解(15分)】
(心の中)
・「土地の無償返還に関する届出書」ね。権利金の認定課税を回避する方法の一つね。相当の地代(更地価格の6%/年)も聞いてきそう。
・建築費借入額を半分にする方法?これはわからんなあ。内部留保金5000万があるので、会社に株式を買い取ってもらうのかな。それだけでは足らないよな。
・共有の解消ね。共有の問題点をあげたうえで、現物分割、代償分割、換価分割やね。
 

【面接(12分)】
面接官は、40代くらいの男性(質問者)と、60代くらいの男性(書記)
 面接官(以下、面)
・設例を読んでいただいたかと思いますが、Aさんから聞いて確認する情報は何ですか。

・「甲建物、甲土地の取得費・取得日がわかる資料」「Aさんのライフプラン」「X社との賃貸借契約の内容」「Y社の提案内容に関するBさんの考え」
などです。

・Aさんのライフプランとはどういうこと?

・Aさんの家族構成、金融資産、収入をもとに、今後どういう生活をしていきたいかです。

・FPであるあなたが調べて確認する情報は?

・①現況調査として、周辺環境、道路交通状況等を現地で調査します。
②権利関係調査として、登記事項証明書、公図、地積測量図等を法務局で調査します。
③法令制限調査として、用途地域や建ぺい率などを市役所都市計画課、建築指導課等で調査します。
④市場調査として、Y社からの提案と同一規模の取引事例を近隣の不動産業者等で調査します。
 


・「土地の無償返還に関する届出書」を提出させていますが、これにはどういう意味がありますか。

・甲建物をX社が所有するにあたり、甲土地を土地所有者(C→A・B)から賃借していますが、その際、X社が権利金の支払いをしていない場合、権利金相当額の贈与があったものとして権利金の認定課税が課されてしまいますので、それを回避するために、提出しています。

・本ケースでは、土地の評価額はどうなりますか。

・地代が公租公課と記載されており、固定資産税・都市計画税程度と考えられるので、法律上、使用貸借契約とみなされます。使用貸借契約の場合は、自用地評価額となります。

・それでは、固定資産税等の3倍以上の賃料を負担していた場合は土地の評価はどうなりますか。

・その場合は、賃貸借契約とみなされますので、自用地評価額×80%となります。

・では、権利金の認定課税を回避する方法は他にもありますか。

・あります。相当の地代を支払っていた場合であり、土地の更地価額の年6%の賃料を支払っていた場合です。

・そうですね。
 

・Aさんが希望する建築費借入額に抑えるためにはどのような方法がありますか。

・(これはわからないな・・・。でも何かを話さないと。)1億8000万の建築費の半分なので、9000万円程度の借入に抑えるわけですから、その分の資金を捻出する必要があります。会社に内部留保が5000万円ありますので、Aさんが所有する株式を買い取ってもらうなどして資金を工面する必要があります。でもまだ足りないですね・・。

・この質問は後で戻ります。土地の共有は問題ありますか。あるとしたらどう解消したらいいですか。

・共有は、相続が発生すると権利関係がより複雑になるなど問題点があり、解消すべきです。方法としては、現物分割、代償分割、換価分割があります。

・この場合はどれがいいですか?

・100㎡程度の整形地が2700万円で売却できるので、これを売却してAとBで分けるという方法が考えられます。

・売るのはもったいなくないですか。現物分割してわけたほうがいいのでは。

・(そうなのか?な)すいません。現物分割で、300㎡ずつ分割します。

・話を少し戻して、Y社の提案通り建物を建てて、建物をABで共有するのは問題ありそう?

・土地と同様、問題が生じる可能性があります。

・そうだよね。そうすると建物はどうするのがいいんだろう?

・(???)

・建物を2棟にするのは・・

・はい、そうですね。土地を分割し、それぞれにアパートをA棟、B棟のように建設する方法がとれますね。
・冒頭の質問で、Aさんに聞くべき情報として、Aさんの金融資産および年金収入と、これくらい欲しいという理想の収入を聞き、そのギャップを埋めるために、賃貸アパートから得たい収入を割り出したいと思います。これがわかれば、賃貸アパートの規模が特定でき、Y社の提案内容よりも規模が小さいもので済めば、そもそも借入額が少なくて済みます。Aさんから丁寧に聞き取りを行い、そもそも賃貸アパートにどれくらいの収入を期待しているのかを特定すべきでした。ヒントをいただきありがとうございました。

・はい。では、本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

・不動産取引に関する具体的な税務相談として税理士、
 不動産の売買の媒介依頼等として宅地建物取引士、
適正な不動産価格の算定として不動産鑑定士、
 土地の測量、境界画定として土地家屋調査士などです。

・顧客から税務相談にのってくれと言われたらどうしますか。

・税務相談はたとえ無償であっても税理士でない者は行ってはならないという、いわゆる無償独占業務に該当し、税理士法52条に規定されています。ですので、丁重にお断りさせていただきます。

・はい、そうですね。
 
【所感】
 定番の質問(Aさんから聞いて確認、FP自身が確認、専門職業家)は、ある程度答えが事前に準備できるので、しっかり用意しておくべきでしょう。ただし、中身を突っ込んで聞いてこられたので(多くの受験生が似たような答えをするからか)、当日の設例にあてはめて答えれるようにすべきですね。
 土地の無償返還に関する届出書は、権利金の認定課税や土地の評価額、小規模宅地の特例の適用可否などを整理しておくべきですね。ここは確実に答えておくと合格ラインに乗ると思います。
 建築費半額は正直思いつきませんでしたが、そういう場合、面接官の方も助け船を出してくれるので、それに従ってとにかく会話を継続するようにしました。私の場合は、おそらくそもそも1億8000万円の賃貸アパートが必要なのかを確認することが大事ってことが言いたいのかなと思いました。Aさんから直接聞いて確認する情報として、賃貸アパートからどの程度の収入を求めているかがわかれば、おのずとアパートの規模がわかるので。Y社の提案をそのまま受け入れるのでなく、原点に戻り、Aさんに必要なものって何なのかから考えていくことの重要性を感じてほしいと言いたかったのかなと。面接官のメッセージを理解していますという意味を込めて、会話文にあるような答えをしました。


後半(PART1)へ続く


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