FP1級実技試験PART1

【設例読解(15分)】
(心の中)
・自筆証書遺言に反した遺産分割が可能かどうかがメインのテーマか。これは可能だよね。
・相続手続きか。相続登記や法定相続証明制度はキーワードになりそうだな。
・遺産分割の仕方によって相続税の増減か。小規模宅地の特例だろうね。
 
 
※回答の内容は誤りの場合がありますのでご容赦ください。
 
【面接】
面接官は、50代くらいの女性(質問者)と、60代くらいの男性(書記)
 
面接官(以下、面)
・設例を読んでいただいたかと思いますが、顧客の相談内容および問題点としてどのようなことが考えられますか。

・はい。
①Aさんの母親の自筆証書遺言が出てきたが、実態に合わない遺言の内容通りに分割する必要があるのか
②変更が可能ならば、どのような手続きが必要になるのか
③今後、どのような手順で相続手続きを進めていけばよいか
④遺産分割の内容によって相続税額が増減することがあるのか
⑤相続税軽減対策
⑥納税資金対策
などです。

・そうですね。では、この場合、遺言に反する遺産分割は可能ですか。

・はい。可能です。遺言に反しても、相続人であるA、C、Dの合意があれば、遺産分割協議によって分割できます。

・それでは、遺言執行者がいた場合はどうですか。

・遺言執行者ですか。弁護士がなることが多いかと思いますが、すいません、わかりません。

・わかりました。結構です。
 
 

・相続手続きについては、どうですか。

・はい。Bさんに所得があれば相続から4か月以内に準確定申告を、10カ月以内に相続税の申告が必要になります。

・時系列的に忘れているものがありませんか。

・(???)金融機関の名義変更などでしょうか。

・それもあるでしょうが。そもそも相続をどうするのか・・。

・失礼しました。相続放棄や限定承認をする場合は、相続から3カ月以内にする必要があり、これをしなかった場合、単純承認したとみなされます。

・そうですね。では、相続税の申告期限までに遺産分割が終了していない場合、相続税の申告は必要ですか。

・はい、必要です。その場合、法定相続分で相続したものとして、相続税を申告します。また、本件では、小規模宅地の特例の適用が考えられますので、相続税の申告期限までに、3年以内の分割見込書を提出し、実際に3年以内に遺産分割がされれば、その時点で適用されます。
(あっ、しまった。修正申告や更生の請求も触れておけばよかった・・)

・そうですね。
・相続税の申告手続きでは、どのような書類を添付しますか。

・戸籍謄本などです。

・誰の?

・被相続人のです。あ、法定相続情報証明制度を活用すれば、法務局に提出した法定相続情報一覧図の写しを相続関係の手続きに活用できますので、戸籍謄本の束を何度も出す必要はなくなります。

・そうですね!顧客にとって便利な手続きは優先的に提案しないとですね。

・はい。法定相続情報一覧図の写しは、4月から義務化される相続登記にも活用できますので、不動産の名義変更の際に便利です。

・4月から義務化される相続登記ですけど、どんな制度ですか。

・はい。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に登記する必要があるというものです。

・設例は2024年4月より前ですが、対象になりますか。

・はい。法律施行前に発生した相続も対象となります。

・期限は?

・同じく3年以内です。

・そうですね。
 


・遺産分割の内容によって相続税額が増減することがありますか。

・はい。Aさんが自宅を相続すれば、同居親族として特定居住用宅地として、小規模宅地の特例を適用でき、相続財産の評価額を減らすことができます。

・どれくらい?

・330㎡まで80%減額ができます。
・賃貸アパートの敷地もあり、貸付事業用宅地の適用も考えられますが、200㎡まで50%減額となり、特定居住用宅地とは面積調整が必要となりますので、特定居住用宅地のみを適用したほうがいいかと思います。

・そうですね。
・では、小規模宅地は考えないとした場合、この設例では、誰が何を相続するかで相続税額は変わりますか。

・う~ん、そうですね。配偶者がいれば、配偶者の税額軽減がありますが、この場合はいないので、変わらないと思います。

・はい。
 

・では、最後ですが、FPの6つの職業倫理は?

・①顧客利益の優先②守秘義務の遵守③顧客に対する説明義務④コンプライアンスの徹底⑤インフォームドコンセント⑥FP自身の能力啓発、です。

・はい。では、この中で重視しているものは何ですか。

・相続に関わる様々な制度を、顧客に丁寧に説明し、理解状況を確かめて、必ず同意を得たうえで提案すべきだからです。

・はい。
 
【所感】
 相続登記や法定相続情報証明制度といった改正事項や重要テーマは、丁寧に説明することを心掛けました。面接官の人も、何かチェックをしていました。加点されたのかもしれません。
 重要テーマは、過去問を見て、繰り返し出ているテーマは、出題者が「これは知っておいてほしい」というメッセージだと考えるべきでしょう。改正事項は、「FPが知りたかった! 改正事項の最短整理」や税理士法人山田&パートナーズのサイト、ラスパーさんのサイトなどを参考にしました。
 反省点は、相続が起こった場合、時系列でどのような手続きが必要になるのかちゃんと整理できていなかったことです。学科試験をクリアされた方なら、相続放棄・限定承認、準確定申告、相続税の申告はご存じでしょうが、これらを一つのテーマ(相続が起きた場合、どのような手続きが必要になるのか)として整理しておく必要があると思います。他には、設例にはありませんが、事業承継税制、遺留分に関する民法特例もバラバラに理解するのではなく、両制度は密接に関係していることを理解する必要があるでしょう。事業承継税制で贈与税等の納税が猶予されたとしても、遺留分を侵害していれば、民法特例の活用を検討すべきですから。


 結果は、140点と想定より良かったです。Bの項目の評価が高かったです。
 自分が一番良かったと思ったのは、会話が長く続き、Q→Aのラリーが
テンポよく進んだことです。面接官の質問に対する答えを端的に返していくことが重要だと思います。そのためには、自分の言葉であらかじめ質疑応答集を作っておくといいと思います。当日の心の余裕ができますので、難しい質問も落ち着いて対応でき、面接官の誘導(助け舟)にも対応しやすくなると思います。
 FP1級実技試験は情報が少ないので、皆さん苦労されていると思います。私もそうでした。過去の先輩方が残してくれたNOTEは非常に参考になり助けられました。私も拙い文章で申し訳ありませんが、これから受検される方にとって少しでも参考になればと思い作成しました。
 8人中7人が合格する試験であり(学科試験やCFPを突破している人が対象ですが)、難しい知識を増やすなどの奇をてらう勉強法よりは、過去何度も繰り返し求められている知識を確実に自分のものにするほうがいいのではないかと思います。是非、合格を勝ち取っていただければと思います。頑張ってください。 


 
 

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